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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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56.その暴言はまずいわ

 シリル様は私に対して首を横に振った。何も言わなくていいのね? お任せすることにしたら、なぜかしっかり腕を組まれた。別に逃げたりしないのに。


「他国の王太子と約束がある。どいてくれ」


 少し先で振り返ったお兄様が、状況を判断するように目を細めた。


「え? でも、あのお話がしたくて」


「どいてくれ。友好国の王太子との約束を破らせるほど、君に価値があるとは思えない」


 きっちり「邪魔」と言い切るシリル様の辛辣さに、一言言いたくなる。泣きそうになってるわ。でも、さっき黙っててくれと示されたから。妻としては夫の顔を立てるべきよ。どかずにスカートを握る王女を避けて、シリル様はお兄様のほうへ向かった。


「っ! 私、あなたの妻になりたいの!!」


「迷惑だ」


 その瞬間、やっと状況が呑み込めた。そういうことなのね? 一目惚れでシリル様に微笑みかけて、隣にいる女である私を睨んだ。今も私に挨拶をしなかったのは、見落としたのではなく……意地悪? やだ、この子、いい度胸しているわ。


 他国に来てやらかし過ぎじゃないかしら? こてりと首を傾げたところへ、シリル様が話しかける。


「マリー、構ってはいけないよ」


「はい」


 優しくしないよう、警告されちゃった。確かに優しくされたら縋るし、諦められないわよね。余計に残酷だから、何もしないのが正解よ。私よりよほど大人の振る舞いだった。


「マリー、アル殿。大変なことになっているね」


「お兄様……」


 お兄様もやりとりから理解したようで、眉尻を下げて感情を伝えてくる。まだ後ろで「好きです」だの「お話を聞いて」と騒ぐが、使節団の数人が止めに入った。


 現時点で、まだ同盟も友好関係も結んでいない王族相手に、絡んでいる状態だもの。外交問題になってしまうわ。しかもシリル様は妻帯者で、隣に私がいる。まずいことに、お兄様もご一緒なのよ。


 私が隣国の元王女で、両国は協定を結んだばかり。嫁いだ事情が反転したため、我が国のほうが心理的に優位な状態だった。そこで私を無視して話をした挙句、シリル様を口説こうとするなんて。自殺行為も同然だった。


 サルセド王国には、妻帯者に言い寄って不貞を持ちかける、身持ちの悪い王女がいる。他国も参加する夜会で、それを吹聴した形だった。今後を考えたら、なんとしても黙らせたいのが使節団の本音ね。


「王女殿下は疲れておられるようだ。部屋でお休みいただくとしよう」


 年配男性の指示に、サルセドから同行した女性文官が視線を遮る位置に立つ。壁際に控える侍女達も動くが、王女の暴言のほうが早かった。


「赤毛の女なんて、似合わないわっ!」


 ……本当に、王族としての教育を受けた子なの?

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― 新着の感想 ―
トドメ差した(@ ̄□ ̄@;)!!外交問題だ!! 小人が王女に跳び蹴りしました(`・ω・´)ゞ
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