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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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45/108

45.星空の髪飾りだわ

 お店の中は賑やかだった。恋人や友人同士でお買い物する人が目立つ。親子や家族づれは少なかった。


 内装は落ち着いたベージュ系で、大きなシャンデリアがある。その光が反射して、店内の装飾品が輝いていた。すごく綺麗だわ。一番近くの棚には、耳飾りがあった。歩きながら移動すれば、首飾りや指輪もある。装飾品全般、なんでも扱っている感じね。


 シリル様は私の手を引いて歩き、奥の一角で止まった。並んでいるのは、値札がない商品ばかり。お兄様に聞いたことがあるわ。貴族は購入したものの値段が他人にバレるのを嫌うから、わざと値札なしなの。購入する際に聞いて判断するのよ。


 ヴァイセンブルク王国では、手前に安いものを置く。手が届かない距離は店員が取り出す高級品だった。どうやら同じみたいね。大粒の宝石がついた装飾品は、奥に置かれている。


「この辺かな……琥珀もいいけれど、サファイアを出してくれる?」


 お忍びなのに、正体がバレそう。いいのかしら。ちらりと確認すれば、店内に同行したのはラーラとアーサーだった。ダレルは出入口を見張っている。後ろからアーサーが覗いて、アドバイスをした。


「こちらなどいかがですかな?」


「ああ、マリーの髪に映えそうだ」


 大きな一粒石のサファイアが、まるでカメオのように輝く。これは……王家の夜会でもなければ使用できない。豪華すぎて、いつ落ちるか心配になるもの。高価な品より、普段使いの髪飾り……どう伝えるべきか。


「あの……こちらも素敵ですが、あちらはいかがですか?」


 助け舟を出すラーラが示したのは、銀のキラキラした粒が混じる青い石だった。高価な宝石ではないのか、大粒だけれど手前に並ぶ。サファイアやダイアモンドのように透き通った石ではなく、夜空の色だった。この銀の粒も星みたい。


「綺麗、星空みたいだわ。それに、ほら。シリル様の瞳の色に、星が溶けたようです」


「っ、そ……それも買おう」


 えっと? それも? と聞こえたような。焦る間に、大粒のサファイアの髪飾りは、商品棚から奥へ運ばれた。手前の宝石は、ラピスラズリと呼ぶらしい。名前も可愛いわ。


「そっちは付けていくから」


 すっと鏡が用意され、椅子も運ばれてきた。店員さん達、慣れているのね。アーサーが引いた椅子に座り、手際よくラーラが髪を整える。さきほど見惚れたラピスラズリの髪飾りが、ぱちんと音を立てて髪を留めた。


 もう一枚用意された鏡に映し、雰囲気を確認する。すごく気に入ったわ。嬉しそうなシリル様が、僕の瞳の色……と呟いていた。彼も気に入ってくれたなら、本当に良かった。


 次はどのお店を覗こうかしら。パンは絶対に買って帰りたいわ。

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