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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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30.私の意思を確認するため

 クリスお義兄様との協議はすぐに終わり、補償額はお互いに納得する数字で落ち着いた。頂くのは、輸入していた農産物などの四割ほど。その他に技術支援をお願いするみたい。農地の水路や街道整備、橋を造るノウハウを教えてもらう。


 持ち出し自体は少ない上、技術者の育成に必要な実践の場が得られる。ソールズベリー王国にも利がある取り決めとなった。隣国同士、良い関係が築ければ幸いだわ。


 忙しい宰相が母国から出てきたのは、補償の詳細を決めるためではなく……私の意思を確認するのが目的だったの。嫁いだ際の「侯爵家のご子息が亡くなった」が原因で、疎外されていないか。不遇を押し付けられていないか。


 お姉様が大騒ぎで、確認してきてくれと懇願した。本来なら王族の誰かが来ればよかったのだけれど、お父様達は無理だし、王太子のお兄様は論外。興奮しているお姉様は嫁ぎ先が決まっているし、もうすぐ嫁入り時期なのでダメ。でも大臣クラスでは失礼に当たる。


 いろいろ考慮した結果、宰相が派遣された。大臣でもよかったのでは? と尋ねたら、大臣では役者不足ですと返ってくる。王女殿下から本心をお伺いするなら、王族か準王族でないと。なるほどと思うより、もう私は隣国の王弟妃で人妻なのに、と苦笑いが浮かんだ。


 宰相はお父様の従兄だから、ぎりぎり準王族に含まれるの。我が国は王族の数が多いから、準王族が格上げされることは滅多にないわ。私も幼い頃は、宰相に遊んでもらったと聞くけれど、覚えていないのよね。


「無理はなさっていませんか」


「まったく! すごく優しくしていただいてるし、生活も至れり尽くせり。旦那様も素敵な方よ」


「年の差は……その」


「全く問題ないわ」


 癖のことは語れないから、自信満々に言い切ったけれど、複雑そうな顔ね。もしかして、私が幼い少年を手籠にしたと思っていない?


「失礼する。マリー、まだ? 一緒にお風呂入ろうよ」


 子供みたいな口調で、もじもじしながらシリル様が強請る。宰相は顔を赤くして「し、失礼いたします」と部屋を出て行った。え? あれれ……絶対に誤解された!


「シリル様!」


「意外と純情だね。宰相が務まるのかな」


 ソールズベリーの宰相はタヌキだよ。とんでもない情報を口にして、シリル様はにやりと笑った。この王族を制御するのなら、確かにタヌキくらいの腹黒さは必要かも。


「はぁ……私が変態みたいに伝わるじゃないですか」


「僕は変態でも気にしないけど、マリーの名誉回復もしようか。今夜は同盟締結の祝賀会だから、僕の色を纏ってね……奥様」


 私、ちょっと早まったかもしれない。


「もちろんですわ、旦那様」


 にっこり笑って返したら、シリル様が真っ赤になって……つられて私も赤くなった。

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