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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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24.シリル様と私は相性がいいわ

 朝、王宮の侍女経由でディーお義姉様から、お茶会の誘いを受けた。もちろん参加するわ。


「休んで僕と過ごそうよ」


 私が逃げなかったことで、シリル様の甘えが前面に出てきた。末っ子だったので、弟妹が欲しかった私は嬉しさを噛み締める。でも、夫なのよね。昨夜はずっと抱き合って眠った。汗をかいたけれど、シリル様は腕を緩めなくて。


 汗で張り付いた夜着を脱がせながら、ラーラが呟く。


「マリー様はいま、お幸せですか?」


「ええ、とても幸せよ。皆様、私を大切にしてくれるわ」


 そう答えたら、ラーラは納得したみたい。ソールズベリー王国に腰を落ち着ける気になった、そう笑った。私がヴァイセンブルクに帰りたいと言い出したら、連絡するようお姉様に頼まれていたんですって。


「もう決めたの。ソールズベリー王国で生きていくわ」


 シリル様の執着は、本物よ。年齢差があっても、離さないと言い放った。ならば、信じてみようと思う。どちらにしろ、ヴァイセンブルク王国に損がない話だもの。


「お茶会は何色のドレスがいいかしら。同じ色は失礼よね」


 クローゼット部屋であれこれと選ぶ。明るい色で、ディーお義姉様と被らない色がいいわ。王宮の侍女はドレスの色を指定していかなかった。こちらから聞けばよかったのだけれど……。


「ディーお義姉様は、絶対に黄色を着ないよ」


 シリル様が顔を覗かせ、ぼそぼそとアドバイスをくれた。日に透ける美しい金髪だから、黄色だと印象がぼけてしまうのかも。納得しながら、シリル様を手招いた。


「せっかくですもの、私のドレスを選んでくださいな」


「いいの?! 僕が選んだドレスを着てくれるんだよね? 本当に?」


 いきなり饒舌になったシリル様に、ラーラは驚いた顔をしたが取り繕う。いそいそとドレスの森へ入っていき、私達を手招いた。私は赤毛なので、赤いドレスはほとんどない。近い色なら、オレンジかしら。


「これはどうだろう」


 裾と襟に緑の糸で刺繍が施された山吹色のドレスだった。私が着ると派手になりそう。


「こうしてスカーフを使えば、ほら。いいだろう?」


 シリル様の口調は、昨日までより柔らかくなった。年齢相応なのか、親しげに笑いかける。思わず見惚れてしまい、慌ててドレスへ視線を移した。山吹色の一分袖ドレスは、織り方が特殊で地模様が入っている。


 派手になりそうな色を、深い森の緑色のスカーフで隠す。それも襟ではなく、ベルトの位置から下で。一番面積の大きなスカートを半分ほど隠すことで、派手さは抑えられた。


「素敵ですね、こちらにしましょう。化粧と髪をお願いね、ラーラ」


「承知いたしました、マリー様」


 準備を整え、呼びに来た王宮の侍女と歩き出す。


「義姉上のところまで、送るよ」


 紳士的な振る舞いだけれど、私を離したくないのね。そう理解したら、嬉しいやら恥ずかしいやら。でも嫌な気持ちではなかった。


「お願いいたします」


 手を繋いで歩く。そのまま部屋に入るのかと思いきや、シリル様は私の手の甲へ唇を押し当て「迎えに来るから」と言い置いて去っていった。真っ赤な顔で入室することになり、ディーお義姉様の視線が痛いわ。

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― 新着の感想 ―
小人は次に麻婆豆腐を作ります。フライパンに刻んだ生姜と、ニンニクを入れて炒めます。
離れようとするから強く引っ張るのであって、今はマリーさんからもくっついて行っててイイ感じ。シリル様も嬉しそうで読んでてくすぐったいです(#^.^#) 
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