表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/108

005.やっと名前が決まったわ!

 昨日はすみませんでした_( _*´ ꒳ `*)_15分で1000文字なんて早く書けたわ。と油断していた猫がお詫びします。全然書けていなかった/(^o^)\


*********************



 疑ってごめんなさい。一週間もせずに歩き回れるようになり、ベッドの住人から脱出できた。お父様とお母様が駆け付け、お兄様の手紙を持ってくる。自由に国境を越えるお父様達への恨みまで記してあって、お祝いの手紙なのに、と大笑いした。


「義兄上殿は……王妃殿下が怖いようだね」


「ええ。お義姉様が妊娠なさっているから……いまは動けないわ」


 お父様達はお祝い続きで、国境を右へ左へ。実はガイスト王国へ嫁いだお姉様も、二人目を出産しそうなの。お祝いの品をたくさんいただいたけれど、馬車にはまだ積んであるのよ。たぶん、お姉様の出産報告があったら飛んでいく気だわ。


「マリー、もう休んだほうがいいよ」


 シリルはすごく心配して、私に寝ているよう繰り返す。でもね、もう飽きちゃったのよ。子供の頃っていつまでも寝ていたくて、勉強や作法の授業をさぼりたかったの。赤ちゃんが産まれて、ずっと寝ていていいよと言われても……泣いてないか気になるし、お乳は張るし……。


 結局寝られないのよね。そうすると暇を持て余して、うろうろ歩き回ってしまう。公爵家の侍女長になったラーラは忙しいし、一人でふらりと出かける。すぐにシリルに捕まって連れ戻される繰り返しだった。


「名前、決まった?」


「絞ったんだけど、まだだね」


 双子だと思わなかったので、名前は一人分のつもりだった。候補をいくつか並べていたら、二人になったでしょう? ちょうどいいから二つ選ぼうとしたら……揉めてしまったの。お母様は「せっかくだから対になった響きがいい」らしいわ。お父様は「聞き分けやすいよう別の響きにするべき」と断言した。


 真逆なのよね。そのうえ、シリルも迷っている。男女の双子だから、将来的にあまり顔は似ないんですって。双子っぽい名前も素敵だし、全然違う響きも好きよ。シリルが方向性を決めてくれたら、私が「これ」と指さすつもりだった。でも決まらないの。


「じゃあ、私が方向を決めて、最後にシリルが選ぶのは?」


 役割を逆にしましょう。私なら即断即決よ! 得意げに胸を張れば、ちょっと……圧迫されて痛い。医者の先生に搾るよう言われたけれど、自分でやると痛いのよ。シリルに頼んだら、怖くてできないと。ラーラかお母様に頼むしかなさそう。


「うん、逆にしよう」


「じゃあ、似てない響きにしましょ! 男女だし、呼んだ時に聞き間違えちゃうから」


 同じような響きにしたら双子っぽいけど、あくまでも男の子と女の子一人ずつなの。一緒くたに判断される名前はダメよ。名前は人生を表すと本に書いてあったから。それぞれに独立した公女と公子であると知ってほしい。


「そっか。マリーの意見に従って、女の子はユーディット、男の子はギルベルトでどうかな」


「ユーディット、ギルベルト。やっと名前がついたわ」


 本人達に教えてあげなくちゃ! 大喜びで廊下を進む。後ろから追いかけるシリルが腕を絡めて「一人で転んだらどうするのさ」と文句を言った。素直に「おいていかないで」と言えばいいのに。


 閉じ込めるだの、人に会わせたくないだの、いろいろ言うけれど……シリルは寂しがりやなだけだと思う。私を大切にしてくれるシリルを、私も大事に包んであげたい。


「大好きよ、シリル。私に可愛い子供達を授けてくれてありがとう」


「っ、僕のほうが……何倍も、幸せにしてもらってる。ありがとう、マリー」


 立ち止まってキスをする。でも……また忙しく歩き出した。子供部屋から泣き声が聞こえるわ! あの泣き声はどっちかしら?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ