第四話 改変後
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「邪魔をするな!たかが天使の末端の力を借りただけの人間風情ガァぁあ!!」
そう怒鳴ったルーシーはマスコットキャラとしては見たくないほどの禍々しい姿に変わり見ただけで悪魔に属する何かとわかるような容姿に変貌した。
「ひっ!」
桜崎はるがルーシーだったものの変貌した姿を見て小さな悲鳴をあげる。
それもそうだろう、愛らしかった丸っこいボディはトゲトゲしい体つきになり顔は愛くるしい顔が今にもこっちに噛みつきそうなイカツイ顔つきに変わっていたのだから。
光希は桜崎はるを庇うようにして立つとルーシーが素早い動きで桜崎はるを狙って突進してきた。
「やらせるかっ!」
ガキンッ!
光希の鎧をつけた腕とルーシーの鋭い牙がぶつかり合いキンッと金属音のような高い音が響き渡る。
「チッ、小さいしすばしっこいからかなりめんどくさいな。」
攻撃を防いだ光希にルーシーはグルルルと威嚇しながらこちらの様子を伺っていた。
(ここで睨み合っていてもしょうがないか。ならここは攻めさせてもらう!)
そう思い光希は腕に光を固めルーシーに突撃する。
「ガアァァァッ!」
ルーシーもそれに対抗するように光希に向かって飛びかかった。
「うおぉぉぉおお!!」
右腕に白い光が集まりその輝きをぶつけるかのように、こちらに飛びかかってくるルーシーに振り抜いた。
「グワァアァァァ!!」
途中で光希の攻撃を受けきれないと悟ったのか避けようとルーシーは体を捻った。が避けきれず右腕の輝きをまともにくらったルーシーは吹っ飛び、攻撃を喰らった箇所は消滅していた。そこから黒い粒子のようなものが流れ出ていきそのままルーシーは立つことができなくなってたおれた。
「ルーシー、いや、ルシフェル。お前が成そうとしていることは俺が絶対に止める。だから覚えておけ、次も同じように現れたら同じように倒してやる。」
それを聞いたルーシーは最後の力を使い切るように立ち上がり、光希に向かって叫んだ。
「図ニ乗ルナヨ!人間ガァァァァァア!!次ハ必ズ殺シテヤル!!絶対ニダ!!覚エテオケ!!俺ハ必ズオ前ヲ殺ス!!覚エテオケェェェェェェエ!!!!」
そう叫ぶと分身体の身体が耐えられなくなったのか、塵のように散って消えていった。
(これでもう元の話通りには進まなくなった。やり方は本当にこれでよかったのかはわからないがとりあえず1人はシナリオを変えられたからよしとするか。)
そう考え「ふぅ」と一息つくと光希は桜崎はるを見て話しかけた。
「大丈夫か?怪我はしていないか?」
「…ぁ、はい大丈夫です。ありがとうございました。」
そう言ってこちらをみた目にはまだ先程の恐怖による怯えの色が見える。
(そりゃそうだよな、いきなりあんなの見たら怖いよな。どうしよう、こう言う時なんて言えばいいんだろうなぁ。)
「脅かしてしまってすまなかった。先程は君があの悪魔と契約しそうなところを見て慌ててしまっていたのだ。そばにいた君への配慮が足りなかった。すまない。」
そう言って光希は頭を下げて謝罪をした。すると桜崎はるはあわあわとして、急いで頭を上げさせた。
「頭を上げてください!私は危なかったところを助けて頂いたのですから、むしろこちらが頭を下げて感謝しなければいけません!危ないところを助けていただきありがとうございました。あと少しであの悪魔の甘言にそそのかされ契約してしまうところでした。本当にありがとうございました。」
そう言って深々と頭を下げる桜崎はるに光希は驚いていた。
(あれ、この子ってこんなにはじめて会った人と話せたっけ?確か人との会話が苦手で引っ込み思案だったためなかなか人に悩み事を話せず、その後仲良くなった朱美姉だけには普通に接するようになるはずだったけど?まぁでもこんなに怪しい今の自分とこれだけ話せるならこの子は大丈夫そうだな。)
そう思った光希はこのまま別れても大丈夫だと判断し早々に立ち去ることにした。
「そうか、ならばこれからは甘い言葉を持ちかけられても鵜呑みにせず気をつけてくれればいい。それでは、私はこれで失礼する。」
バッと空高く跳び、その場から去る光希に後ろから「あっ、待ってくだぁ…」という声が聞こえた気がしたが気のせいだとそのままその場を離れるのだった。
(バレないよう騎士っぽい口調で喋ったつもりだけど、途中で素も出ちゃって危なかったかもしれないな。次からは気をつけていかないと。)
そう思いながら光希は目立たないように人がこなさそうな木陰に隠れ変身を解くのだった。
その後、光希は登校中だったことを思い出し慌てて学校に行こうとするが道がわからないので散々迷い着いた時にはもう既に授業の半分が終わっている時間だった。教師から散々怒られた。
次話もよろしくお願いいたします。