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第四十四話 3人目の覚醒

小説を読んで頂きありがとうございます。

沙菜恵(さなえ)は目の前の光景に頭が追いついていなかった。

たまたま絡まれて困っている男の子を助けたら、その子とその姉に偶然出会いお礼の押し売りでご飯を奢ってもらうことになった。

それだけのはずだったのに…。




「お迎えにあがりましたよ。悪魔らしく地獄へとね。」




悪魔と名乗る者は、銀髪の左目にモノクルをつけた老紳士という感じの者だった。

ただ直感的にこの人は人間では無いということがわかるほどに、その者からは恐怖が伝わってきた。

沙菜恵(さなえ)はその恐怖から頭が働かない状態になっていた。




「なによ、あいつ。」




ようやく出せた声もそれだけであった。

しかしその後大きな振動とともに現れた大きな鳥のようなものを見た時に沙菜恵(さなえ)は衝撃を受けた。


人の動きをするその鳥のような不思議な生物は地味な色合いをしていて、何故かメガネのようなものをかけていた。

その姿を見て沙菜恵(さなえ)にはある1人の親友が頭に浮かんだ。




美希(みき)?」




思わず口から出たそれは幼い頃に親友として仲良くしていた友人の名前だった。

今は学校が違うためほとんど合わなかったがそれまではよく一緒にいては楽しく過ごしていた。

だが美希(みき)という少女は気が弱く良くいじめられていた。だからそれを見かけては沙菜恵(さなえ)が庇うというようなことがよくあった。

今目の前にいる鳥のような不思議な生物は怪物と言われるような風貌をしているのに、なぜか親友だった友人の姿がかぶった。

そんなふうに思っているとマモンと朱美(あけみ)の会話が聞こえてきた。




「今回のあなた達のお相手はこちらの彼女にしていただきます。少々問題もありますが、まぁ実験として役立って頂きましょう。」


「彼女って。まさか、人…なの。」




それを聞いた時、沙菜恵(さなえ)は頭が真っ白になった。

現れた時からまさかと思っていたがここで彼女が関係あるはずがないと思っていたのに、この会話で直感的にこの怪物が美希(みき)だと理解してしまったのだ。

彼女だと理解したく無いのに目の前の光景が理解させてくる。彼女では無いと否定したくて違うところを探すほど、彼女と思える部分ばかり見つけてしまう。


沙菜恵(さなえ)は自分が彼女と離れたからこうなったのだと悟った。

彼女を守ることをしなくなったからこうなったのだと思い深い絶望を感じた。

だが、その時に朱美(あけみ)の言葉が耳に入った。




「あなた達だけは本当に許せないわね。」





沙菜恵(さなえ)はその言葉を聞いて気づいた。


許せない。

そうだ、奴らが許せない。


私は親友だった美希(みき)がこんな姿になってしまうほどに追い詰めた奴らが許せない。

こんな姿になった美希(みき)を利用するこの目の前にいる悪魔が許せない。

何より、親友を守り助けることができなかった自分が許せない。


そんな許せない自分を変えたい。

誰も悲しまされないように変えたい。

誰も利用されないように変えたい。

そして、親友を守り助けることができるぐらいに変わりたい。

今の無力な自分を変えたい!!



そう強く思った沙菜恵(さなえ)の頭の中に突然声が響いた。




「ならば、貴方のその悪魔と対峙する力を解放させましょう。」




その言葉を聞いた直後、沙菜恵(さなえ)は何かのエネルギーのようなものが自分の中で溢れてくるのを感じた。そしてその力は、目の前にいるマモンと共鳴しているようでもあった。




「ふむ、この感じは…。」


「えっ、この感じって。はるちゃんはいないし。ってことは沙菜恵(さなえ)さんっ!!」


(まさか覚醒するのか!3人目の魔法少女が!)




マモン、朱美(あけみ)光希(みつき)がそれぞれ沙菜恵(さなえ)の様子の変化に気づきそちらを見た。するとそこにはマモンと怪物と化した親友の方を見る沙菜恵(さなえ)の姿があった。




「よくも、よくも私の親友をそんな姿にしてくれたわね。……美希(みき)今まで辛い思いさせてごめんなさい。もう大丈夫だから、すぐに元通りにしてあげるから。」




そういうと沙菜恵(さなえ)は決意とともに叫んだ。




「清き神よ、我が声に応え、我が誓いを、節制の名の下にこの世の(ことわり)を守るために力をお貸しください!『我が誓い!果たさんが為に!』」

小説を読んで頂きありがとうございました。

次話もよろしくお願いいたします。

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