第二十四話 温かさ
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光希、朱美はリビングではるからはるの両親について聞いた後、その後は日が暮れそうな頃までたわいもないことを話し合い楽しく談笑していた。
「あっ、そろそろ私帰らないとお母さんが帰ってくるからお暇するね。」
「もうそんな時間かぁ、楽しい時間はあっという間だね。はるちゃんまたいつでもきてね。両親の人が忙しい時とかは家に来てもらっても良いから。」
「ありがとう、朱美ちゃん。うん、もしそういう時があったらお願いするね。」
「うん、遠慮しなくていいからね。光希ははるちゃんを家まで送ってあげて。ちょっと暗くなってきてるみたいだから、女の子1人だと危ないと思うし。今日お母さんが友達と食べてくるっていってた日だから、私晩御飯の用意しておくし。」
「あぁそっか、了解。じゃあはる先輩、家まで送るよ。ついでにコンビニで買い物もしようと思うし。」
「じゃあ、お願いするね。光希くんがいるなら心強いし、何より安心するからね。」
「分かるわ、それ。昔よりここ最近の光希って一緒にいると不思議と安心する心強さがあるのよね。」
「なんだそれ、もうとにかく早くしないと完全に日が暮れるよ。はる先輩早く行こう。」
「ふふ、そうだね。じゃあ朱美ちゃんお邪魔しました。光希くん家まで借りるね。」
「はーい。光希はちゃんと返してよね。そのまま持ち帰ったらだめだから。」
「いや、だから弟をものみたいにいうなよ。ちゃんと帰ってくるし。」
「ふふふ、光希くんが良ければ家にそのまま持ち帰っちゃうかも。光希くん外てくれると落ち着くし安心するから。」
「いやいや、いきなりいってもこっちが落ち着かないからちゃんと帰るよ。」
帰りの際もお互いに多少打ち解けたこともあり軽口を言い合えるぐらいになっていた。それから光希ははるを家まで送るため新木家から出ていくのであった。
「光希くんほんとにごめんね。わざわざ送ってもらって。」
「全然大丈夫だよ。ついでにコンビニにもよる予定だから。」
「ふふふ、ありがとう。光希くんは優しいね。」
そう言って笑いかけるはるに光希は自分には『優しい』という言葉をかけてもらう価値はないと罪悪感を抱きながら愛想笑いをするのであった。
(俺はこの世界の話の流れを知っていた。なのに桜崎はるの家族のことを変えようとはしなかった。今の昔の家族に戻りつつある結果は彼女自身で手に入れた結果だ。自分は知ってて放置していた。自分の力の無さを感じて、自分が強くなることを優先したから、だから本当は自分なんて『優しい』なんて言ってもらう資格はないし、今後言われても素直には受け取れないだろう。今も知っていて何もできないから放置していることだってあるのだから。助けられるなら助けているけど、今の俺には力がないから…。)
「『気にしなくて良いよ。』」
「えっ?」
思い詰めて黙り込んでいた光希の心を読むかのように桜崎はるは光希へと言葉をかける。
「光希くん今、思い詰めたような顔をしてたよ?私の親の話聞いてた時と同じような顔。きっと光希くんは噂とかで私の親のこと知ってたのに、何もできなかったみたいなこと考えてないかな?
けど、そんなことは気にしなくて良いよ。
人はなんでもできるわけじゃないんだし、そういうところを支え合うのが人なんだしね。私も朱美ちゃんと出会わなければ、きっとこの気持ちもわからなかっただろうし。」
そういったはるは光希と目を合わせて母親が子供に言い聞かせるように言葉を続けた。
「自分1人で悩んでいても分からないことって、他の人からしたらなんでもないことだったりするんだよ。そうすると、案外簡単に解決しちゃったりすることもあると思うんだ。
私は親が喧嘩ばかりだったから、人と話しても言い合いになるんじゃないかって思ってて前まではほとんど人と話したりしなかったの。だけど光希くんと朱美ちゃんに出会ってから、朱美ちゃんと話すようになってから、それは私の思い込みだったんだって知ったの。そのおかげで私はお母さんと話すことができるようになって、お父さんとも話せるようになった。それで今は一緒にまたご飯を食べれるようにまでは戻ってきたんだ。
これは私の恥ずかしい勘違いから起きたことだけど、そのおかげで私が本当に勘違いしていることを知ることができた。だから、えっと、あはは何かかっこよくお姉さんらしいこと言いたかったんだけど最後の最後でいい言葉が出てこないや。けど、これだけは言えるよ。
『あなたは、1人じゃないよ。私がいるから。』
まぁ、光希くんにはもっと身近に朱美ちゃんがいるから大丈夫かもだけどね。」
はるはそこまでいうと急に恥ずかしくなってきたのか、少し頬を赤くしながらまた道を歩き始めた。そんなはるの言葉を聞き、光希は驚きながらも胸が温かくなっているのを感じた。
(…さすがこの世界、メモプリの主人公。良いタイミングにいい言葉を聞かせてくれる。
……いや、違うか。この世界は俺の知ってるメモプリの世界と似てるけどそうじゃない。今の俺にはここは現実なんだ。だからさっきの言葉は主人公だからとかじゃなくて、桜崎はるという人間の言葉なんだよな。けどまさか、アニメでもいってた言葉を自分が言われるとは思ってなかったな。『あなたは、1人じゃないよ。私がいるから。』か、そういって他の魔法少女達も心が救われるところがあったな。それで仲間になっていってた。あれは主人公だからとか関係なく桜崎はるという人間の温かな気持ちから出た言葉だったんだと今なら思えるな。そりゃあ一緒にいたくなるよなこんな温かい気持ちにさせられたら。こだけどいってもはる先輩はこれも俺達と出会ったおかげとかいいそうだな。)
光希ははるの人としての温かさを感じ、この気持ちははるがもつ心がそうさせているのではと思えた。
「はる先輩、ありがとう。」
「えっ、あっいやその、ちょっと今思うと恥ずかしいことを言ったなと思って、お礼を言われるなんてことは…。」
「はる先輩が言ってくれたおかげでちょっと気持ちが軽くなった。はる先輩と一緒にいると心が温かくなって、とても落ち着くような気がするよ。いつも一緒にいたいと思えるほどに。」
「ぇ、ふぇぇええぇぇえ!!」
光希の少し告白にも近い発言によりはるは驚き、頭の中がぐるぐるとして思考が何もまとまらずそのまま「えと、その、ちょっと今日はもうここまででいいからありがとうございました〜〜!!」と言葉を残し、その場から逃げるように走り去っていった。
「えっちょっと、はる先輩!!急にどうしたの!はる先輩〜!!」
一方の光希は自分の思ったことをそのまま口にしただけだったため、自分がどういった発言をしたのかを理解していないままただ呆然とその場に佇んでいた。
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