第二十二話 箱
小説を読んで頂きありがとうございます。
時はアスモデウスが成長する1ヶ月前まで遡る
「クソクソクソクソクソッ!次は絶対殺す!八つ裂きにしてやる!」
アスモデウスは光希によって敗北といえる撤退をしたことに屈辱を味わされ苛立ちを抑えられずにいた。
「クソッ!クソッ!クソッ!…ッ、はぁはぁはぁ。」
「それだけ叫んだのなら、少しは落ち着きましたかな?」
少し落ち着き始めたアスモデウスに声をかけてきたのは、アスモデウスを連れて帰ってきたマモンであった。
「何しにきたの。笑いにきたんだったらぶっ飛ばすわよ。」
「いえいえ、そのようなことは。ただ、ルシフェルからの贈り物がありましてこのように参上したまでです。」
「贈り物?」
「えぇ、こちらになります。」
そういってマモンが取り出したのは小さな黒い箱であった。
「なにそれ、それがルシフェルからの贈り物なの?」
「はい、なかにはあなたにふさわしいものが入っているとおっしゃっていましたよ。アスモにふさわしいものだと。」
「ふーん、そうなんだ。」
アスモデウスはルシフェルの贈り物という小さな黒い箱をマモンから受け取り、まじまじと見た後開けてみることにした。
「…ッ、な、なによ!これっ!」
アスモデウスが箱を開けると中からは黒いモヤが溢れ出し箱を開けたアスモデウスに向かって覆いかぶさるように襲いかかった。
「いやっ!なによこれ!マモン!助けてっ!マモン!!」
「…いやはや、申し訳ありませんアスモ。私はルシフェルから贈り物を届けるようにといわれたあとに、その後何があっても手を出すなといわれておりますゆえあなたを助けることはできません。ルシフェルのいうことに逆らえばどうなるのか、あなたならわかるでしょう?」
「なっ!そんな、いやっ!いやよ!離れなさい!いや、いやっ、いやぁぁぁああぁああ!!」
アスモデウスの叫び声が響き渡りしばらくして叫び声も収まりシンと静まりかえる中、黒いモヤがすうっとアスモデウスの身体に溶け込むように消えていった。
「ふむ、失敗ですかな?」
ピクリともしないアスモデウスの様子に、マモンが独り言を呟いたときアスモデウスの身体に変化が起きはじめた。人間が歳をとるように身体がみるみる成長していき、人間で言うと20代ぐらいの身体になると成長も止まりはじめた。
「…んっ、あれ?ここは?私なんでこんなところで寝てるの?」
成長した姿になったアスモデウスは目が覚めたようだが、意識が混乱しているようであった。
「アスモよ。目が覚めたか。」
「…マモン?」
「はい、そうですよ。あなたがあの天使の犬にやられたところを助けた私ですよ。」
「っ!!そうだ、アイツにやられて私はマモンに庇われて…。アイツが、アイツのせいでわからないの?アイツのせいで私このっ、こんなになるまで眠らされていたの?アイツがっ、アイツが私をこうしたのかぁぁあぁぁああ!!」
アスモデウスはマモンから渡されたルシフェルの贈り物のことは全て頭から消え去り、意識の混乱や身体の変化など全て光希によって引き起こされたと思い光希に対して異常なほどの憎しみを持つようになっていった。
(実験は成功のようですよ、ルシフェル。アスモデウスはあの天使の力を使う男に対しての執着が強くなり私たちが放っておいても好きに暴れてくれるでしょう。しかし、このままでは無駄に暴れるだけで目的はなし得ませんね。少し調整が必要ですか。)
そう考えたマモンは暴れそうになっていたアスモデウスに声をかけた。
「アスモ、君をこのようにしたあの人間の男を殺したいのであれば1つだけついでにして欲しいことがあるのです。そのかわりそれ以外のやり方は好きにしていただいて構いません。」
「……その言う通りにすれば、あとはアイツを好きにしていいの。」
「ええ、構いません。あなたの思うがままにしていただいて結構です。」
「…分かった。何をすればいいの。」
「えぇ、それは…。」
マモンがいうして欲しいことを聞いたアスモデウスはマモンが何をしたいのか理解できなかった。
「よく分からないけど、それをしてからだったら好きに暴れてもいいってことなんだよね。」
「はいそうです。それだけしていただければ、あとは何も言うことはありません。」
「…分かった。じゃあとりあえずマモンのいうことをしてくる。」
そういってアスモデウスはいつも悪魔達のいる暗い暗闇の空間から人間の世界へと渡っていった。
(これでひとまず私達の戦力の増強となりましょう。さぁこれからが楽しみですね。)
アスモデウスが人間の世界へと渡ってから1ヶ月後、アスモデウスはマモンに用事を済ませたことを伝えて「約束は守ったから」といい人間の世界へと渡っていった。
トレーニングによって成長した光希達とルシフェルからの贈り物によって成長したアスモデウスが出会うのはもう間近であった。
小説を読んで頂きありがとうございました。
次話もよろしくお願いいたします。




