第十四話 追跡
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「実はね私の弟の光希さ。ちょっと前まではすごい病弱で中学に登校するのは無理だろうって言われてたほどなの。」
朱美の語る内容にはるは思わず「えっ」と声を出してしまいハッとなるが、朱美はそういう反応をするとわかっていたのかこちらを見て少し困ったような顔をしながら笑っていた。
「そうでしょ?今の光希を見てたら想像できないでしょ?何時ごろからかは忘れたけど急に体調が悪くなってそれから、身体全体の活動が徐々に弱まってあと少しでそのまま心臓も動かなくなってしまうところまでいったりしたの。原因は不明で病院で入院するほど弱まったりしていた程だったの。私達家族はもう半分諦めてたりしたぐらいあの時の光希の状態は悪かったんだ。だけどね、ある時を境に徐々に回復して退院して家で普通の生活をできるほどまで回復したんだよね。それからは身体の様子は大丈夫そうで元気に学校にも来れるようになったんだ。最近になってたまにちょっとおかしい時もあるようになったんだけど、私はどんなに変わっても光希があんなに元気でいられることがとっても嬉しくてね。もうあんな光希は見たくないから、そうならないように光希のためならなんでもするって決めてるの。だからもしさっきはるちゃんが話してた悪魔が光希が危なかったあの頃の私のところにもきてたらきっと光希のことを願ってしまってたと思う。だからはるちゃんのように私もその騎士様に助けられてたらきっと同じようにお礼を言いたいと思うから私も次会った時は騎士様にお話しできるように頼んでみるよ。きっとあの騎士様も悪魔と戦っているんだろうし、次また悪魔が来たら会えるよ。まぁ、できれば悪魔にはきてほしくないんだけどね。」
あははと笑いながら言う朱美にはるは自分が暗い顔をしてしまったから気を遣わせてしまったと思い申し訳ないと思うも、朱美の明るい笑顔につられて自分も少し笑い少し明るさを取り戻した。そして、自分も辛いことがあったけどきっとはるも大丈夫と励ましてくれた朱美に感謝した。
「うん、そうだね。できれば悪魔にはもう会いたくないけど、あの時騎士様も逃げたって言ってたしきっとまた来るだろうと思う。その時は今回みたいに負けずに勝つよ。そして騎士様にも話しかけてあの時のお礼を言う。」
「よしっ、じゃあ次は悪魔に勝って騎士様にお礼を言おう!今日は私達いきなり変身して戦ったから慣れてなかっただけだよ!後、私も騎士様には今日助けてもらったお礼言いたいし次を逃さないようにしないとね。よしそれじゃあ、そろそろ学校に戻りますか。みんな何があったか戻ってきてるみたいだし、今戻った方が自然だと思う。後は光希も探さないといけないしね。」
「うん、いこう。」
そういって2人は学校へと戻っていった。
2人が去った後すぐに2人がいた場所には光る球体が現れ、その場所を観察するかの様に止まりしばらくしてすうっと消えていった。
この時現れた光る球体を見たものは誰もいなかった。
学校での騒ぎによって今日の授業は急遽終了となり生徒は全員下校となった。
グラウンドでの爆発騒ぎは下校途中も生徒達の間で話題となり
「爆発するようなものは置いてなかったらしいのに爆発があったらしいぜ」「爆発したのって謎の超常現象らしいぞ」「学校に恨みを持った幽霊の仕業らしい」
などとさまざまな噂がされていた。
そんな周りの話を聞き流しながら光希は今の現状をどうするか思考していた。
それは、今一緒に帰っている朱美姉と桜崎はるについてである。今回の騒ぎで生徒全員が下校となったため、いつもは時間が合わない上の学年の生徒も一緒のタイミングに帰ることとなったのだ。もちろんそうなると朱美姉から誘われるのは分かっていたので了承したのだが、その朱美姉が桜崎はるを連れてきたのだ。なんでも、今日家に親が帰ってくるの遅いみたいだから親が帰る時間まで家に来てもらうことにしたということらしい。
(たしかに今日こんなことがあった後に女の子が家で1人になるのを知ったら、「なら私の家においでよ」ということになってもおかしくはないと思う。けど、だけど今日の朝知り合ってそんなにすぐに仲良くなってるとは思わないじゃん!そういえば変身してた時も既に結構親しく声を掛け合っていたりした気もするし、元々アニメでも仲良くしてたから俺的には違和感はないけど仲良くなるの早すぎるでしょ?これじゃあこれから俺はより気をつけて行動しないといけなくなる。そんなに俺は気にして行動をできる方じゃないからバレる可能性が高くなってしまう。これからはなるべく気づかれないように騎士の姿のときは声は低く、そして騎士らしい口調を意識して絶対に素を出さないようにしないと…。)
今後のことについて光希が思考して周りが見えていなくなっている時、朱美とはるは光希について話していた。
「本当に今日お邪魔しにいっても良かったのかな?なんだか、光希くんとても困ってるように見てるけど。」
「大丈夫よ。あれは何かくだらない考え込んでるだけだから。最近多いのよね、ああやって黙りこくって何か考えているような感じになるの。大きな声で声かけたり、しばらくしたら普通の感じに戻ってるから気にしないで。」
「う、うん。朱美ちゃんがそう言うなら。けど、本当に今日お家にいきなりお邪魔しちゃって良いの?お母さんとか迷惑じゃないかな?」
「大丈夫だって。母さんそういうこと気にしないし、むしろこんなに可愛いはるちゃん連れてきたら喜ぶよ。こんなに可愛い子が来てくれるなんて嬉しいって。」
「もうっ、朱美ちゃんからかわないでよ。」
はるをからかい「あはは」と笑う朱美にはるが頬を膨らませて抗議する、そんな2人の少し後ろをいまだ思考しながらついて歩いている光希達3人は気づかなかった。
自分たちを追跡し観察している光る球体に。
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