第十二話 強制力
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「いやはや、まさかアスモがここまでやられるとは思いもしませんでした。貴方があのルシフェルの分身体を倒したという天使の御使いですか。なかなか厄介そうな力をお持ちですね、貴方は今ここで潰しておく方が得策でしょうか?」
コチラを睨みつけるように見ながら淡々と語るマモンが対峙する。
そのマモンの視線を真っ直ぐと受け止めて対峙していた光希はマモンの強さを肌で感じ身体から危険信号が発されて身体がすくんでしまっていた。
(やばいぞ!ここまで力の差があるなんて、アスモデウスとマモンの力の差がこれだけだとルシフェルの本体はもっとってことだろ?今はまだルシフェルは出てこないとしても今目の前にいるマモンがいることがまずい。このままだとみんなやられる。どうすれば…。)
光希は今できることを必死に考えながらマモンから目を離さずに見ていた。すると、マモンが光希から視線を外したかと思うとそのままスタスタとアスモデウスを抱えた状態で歩き出した。
「ふむ、今日のところはこの子の回収を優先するとして引き上げて帰りましょうか。どうやら貴方達ならば私1人でも対処できるだろうと判断しましたので。また次に会う時までには更なる研鑽をして私と互角程度には強くなっていることを願っていますよ。天使の御使いよ。」
そういってマモンは目の前に黒い渦を出すとすうっと中に入り、マモンが入っていった後黒い渦は周りに溶け込むように消えていった。
その様子を見ていた光希は相手に見逃されたことにホッとするやら悔しいやらでその場に立ちすくんでしまっていた。
(ルシフェルの分身体だったルーシーの時はたまたま勝てただけだったんだ。本来の力を持ってる状態ならルシフェルはもっと強くてあのマモンですら足元にも及ばないやつだったはず。そんなやつと俺は今後戦えるのか?マモンに睨まれただけで動けなくなってしまうほどの今の俺にには無理だ…。)
そう思いこれから自分はどうするべきか思い悩んでいしまっていたとき後ろからうめき声が聞こえた。
「ぅ…ぅうんっ」
声がした方に視線を向けると。倒れていたジエルとリエルが起き始めるところだった。
光希ははっとして自分が今バレるのは危ないと思いすぐにでもその場を離れようとしたのだが、離れる前にジエルがこちらを向いた。
「…誰?…っ、騎士様!!」
「…敵?…騎士様?それってたしか朝に言ってたあの?」
ジエルが光希の姿を見て叫び、リエルがその声を聞き朝の出来事を思い出してこちらを見ていた。
(やばいっ、遅かった。このまま普通に声を出すと朱美姉に声でバレるかもしれない。)
光希は先程までの危機とは別にまた新たな危機に面することになった。
(このまま俺が光希だとバレたら他にもいろんなことを話さないといけなくなって、自分が転生者だってことがバレてしまうかもしれない。そんなことにならないように、とにかくバレないよう声を低めに2人もこの場から離れるように言ったら早くこの場から離れよう。)
そう考えた光希は咳払いをして2人の方へと身体を向け声をかけた。
「…敵は逃げたようだ。人が集まって来ると思われるので、君たちも早くこの場から去るといい。ではな。」
「あっ、待って!」
ジエルの声を聞きながらも光希は急いでその場から去り、一刻も早く変身を解除するべく人気の少ない場所へと向かった。一方で取り残された2人は、なんとか立てるぐらいにはなっていて2人でお互いの肩を貸し支え合って立っていた。
「あぁ、また行っちゃった…。」
「ジエル、とりあえず私達も早くここから離れよう。人が集まってきちゃう。」
光希が去っていった方向をジエルは何かを言いたげに見つめ、そんなジエルに移動しようとリエルが声をかけて2人はその場を後にした。
今回の戦いで壊れた体育倉庫は、校舎の一部が謎の爆発をしたこととされ報道もされた。
だが、誰も何もなかったかのように悪魔のことに関しては覚えていなかった。
光希達の変身をする3人を除いて。
それはまるで何かの強制力が働いているようであった。
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