第十話 変身
小説を読んで頂きありがとうございます。
少し遅れてしまい申し訳ありませんでした。
ー時間は遡り学校の授業が終わったばかりの放課後ー
登校時に出会いそのまま学校に行った光希の姉である新木朱美と桜崎はるは、その後同じクラスということもあり一緒に放課後までの間を過ごすうちにすっかり意気投合し、放課後になり帰る時にはお互いに下の名前で呼ぶほどまで打ち解けていた。
「そういえば、はるはなんで朝あった時光希に声をかけたの?しかも騎士様なんて言っちゃって。うふふ、もしかして光希に一目惚れでもした?まぁ仕方ないかもね、だって私の自慢の弟なんですから。」
「もうっ、それはやめてって言ったじゃないですか朱美ちゃん。自分でもなんであんな言い方したんだろうと思ってるんですから。もっと他に違う言い方もあったのにぃ…思い返すたびに恥ずかしい。」
朝の発言を思い出し桜崎はるになぜあのような発言をしたのかと聞いた新木朱美は弟である光希との関係を伺うために質問したのだった。
(光希はあんまり私以外の人と喋らなかったりして友達も少ないから気にしてたけど、女の子なら話は別。私のチェックを受けてからでないと光希はそうそう渡すことなんかしませんよ。)
朱美の弟に対する思いは他の姉弟愛より深く弟離れすることは難しいと親から思われているほどだ。そんな朱美は朝から気にはなっていたのだがなかなか聞き出せなかったことを切り出し、質問したのだが自分が思った以上に桜崎はるのことを気に入っており自分の発言を思い出し恥ずかしがる様子にも愛着が湧き可愛すぎるという思いで弟への疑念がかわいいに上書きされていた。
「もうっ、恥ずかしがってるはるちゃんかわいい!勢いでああいう恥ずかしいこと言うなんてはるちゃんって天然?そう言うところも本当に可愛いなぁ。」
「ふぇぇ!急に抱き付かないでよぉ朱美ちゃん。びっくりするでしょう?」
「えへへはるちゃんごめんって。だってかわいいだもん仕方ないよ〜。」
もうっと怒りながらも今までほとんど人との触れ合いをしてこなかった桜崎はるはその距離感に温かさを感じていた。桜崎はるにとって、新木朱美という彼女の存在はとても大きな存在となっていたのだ。
そんな2人が帰ろうと校舎を出たところで
ドカーン!!
大きな爆発音が聞こえてきた。
「キャア!」
「な、何よ!今の音!」
急いで2人は周りを見回すと周りで生徒たちが逃げ惑いパニックになる中、グラウンドから煙が出ているのを見つけ爆発音の原因を見に行こうとグラウンドを見回せる場所へと向かった。
見渡せる場所に向かうことにした朱美と桜崎はるは、近くだと何があるかわからないからと安全に爆発の原因をみることができるかもしれないと、人が少なく見渡せる場所として普段人も来ず使われることのない校舎の屋上に向かっていた。
屋上に着き息を整えながら爆発の原因はなんだったのかと確認し朱美は自分の見ているものを疑い、桜崎はるは昨日に体験したものと似た存在だと感じ恐怖した。
「なんなのあの黒い影みたいなの。人を襲ってるの?なんで?いったいなんなのこれ。」
朱美が混乱している中、桜崎はるは昨日のことを思い出していた。
(昨日の騎士様が来れば、この状況をなんとかできるかもしれないけれどそんなにうまいこと行くわけもないよね。昨日の騎士様と雰囲気が似てたから光希くんに騎士様なんて言っちゃったけど今ではなんであんなこと言っちゃったのだろうと思ってるし、あぁもう本当にどうすればいいんだろう。わたしにもあの騎士様みたいに戦える力があればこの状況をなんとかできるかもしれないけどそんなことは無理だしなぁ。)
そんなことを考えながら何もできずに見ていた朱美と桜崎はるは、しばらくして見覚えのある人物が黒と黄の色をした女によって攻撃され避けている姿を見つける。
「光希!!」
「光希くん!!」
その姿を見た朱美はすぐさま現場に行こうとするが、それを見た桜崎はるが手を取り止める。
「何するの、はるちゃん!光希が襲われてるの!だから早く行かないと!」
「今の私たちが行っても何もできないよ!朱美ちゃん!何か考えないとかえって危険かもしれないよ!」
そう言っても聞かず何としてでも行こうとする朱美をなんとか止めようと桜崎はるが必死になっていたとき
「ならば貴方達のあの悪魔に対抗するための力を解放させましょう。」
2人に声をかける存在が現れた。
2人は声がした方向を見てみるとそこには不思議な雰囲気を纏い綺麗なクリーム色をした少し小柄な鳩がいた。
えっ?と理解ができずに固まっていると
「私は、今あの場所で暴れている悪魔と対をなす天使といわれている存在です。貴方達は天使のカケラをその胸秘めており、その力を使うことであの悪魔に対抗し得る力を手に入れることができます。どうか人間たちを、この世界をあの悪魔達から救うため貴方達の力を貸して頂きたいのです。共に悪魔を倒すために。」
突然現れた天使と名乗る鳩の言葉に怪しさを感じ思考している桜崎はるを置いて、混乱しながらも今も襲われている光希のことを考えていた朱美は怪しさなどは全て捨てただ大切な弟のために迷いはなかった。
「私に力があるのなら天使のカケラだか知らないけどそれを使って力を頂戴!このまま黙ってみているだけなんてできないわ!」
「朱美ちゃん!だったら私もお願い!朱美ちゃんだけにはできないもの!お願い天使さん!」
2人の声を聞き天使を名乗った鳩はそれに応えるかのように翼を広げた。
「貴方達の協力に感謝いたします。それでは力を解放いたします。貴方達に主の御加護があらんことを。」
そういった鳩の広げた羽が光だし2人の視界を奪うとそこにはあの鳩はおらず、何もなかったかのような状態であったが2人は感覚で自分達に変化が起こったことに気がつく。
「朱美ちゃん…これって…。」
「…うん。これなら光希を助けられると思う。巻き込んでごめん。でも一緒についてきてくれて嬉しかった。行こうはるちゃん。」
「…うん。私もせっかく仲良くなった友達の弟がピンチなのに何もできないのは嫌だったから。それに朱美ちゃんを放っておいたら危ないと思うし。」
「…それはちょっと酷いと思うんだけど。」
ふふっと笑い合いお互いに見つめ合うと、屋上から光希を執拗に追い詰めて楽しむ悪魔アスモデウスを見て自分の中にある力が共鳴するのを感じる。
「いくよっ!」
「うん!」
2人には自分の中にある力が共鳴することにより、どのように力を使えばいいのかが理解できた。
「慈愛深き神よ、我が声に応え、我が誓いを、人々を守るための力をお貸しください!『我が誓い!果たさんがために為に!』」
「寛容深き神よ、我が声に応え、我が誓いを、私の愛するもの達を守るために力をお貸しください!『我が誓い!果たさんがために為に!』」
桜崎はると朱美が変身のための言葉を唱えると2人を光の球体が包み込み始めた。
球体の中では腕、脚、胴、頭とフリルがあしらわれた魔法少女らしい衣装が装着される。
桜崎はるはピンクを基調とした衣装に、新木朱美は緑を基調とした衣装に変身した。
その後変身し終わると包み込んでいた球体は消えその中から変身した2人が現れる。
「我が名はジエル!人々の愛を守護するもの!」
「我が名はリエル!人々の心を守護するもの!」
「「人を地へと落とす悪魔たちよ、元の世界へ帰りなさい!」」
変身した後、2人は自分の意思に関わらず口から出したセリフに混乱したり、自分達の格好に驚いたりしていると
ドガァン!ドガァン!ドガァン!
グラウンドから響いてくる音に自分達のやるべきことを思い出し、今も襲われている光希のためにグラウンドへと向かった。
2人はそれぞれ天使の力により生み出したステッキを携え、グラウンドまで飛ぶと光希を見つけ直行した。するとその時にとどめを刺そうと襲う斬撃が光希対して放たれそれをみた2人が同時にシールドを張り間一髪のところで防ぐことに成功した。
ガキィン!
金属が勢いよきぶつかり合ったような音が響き渡った。
「光希になにしてんのよ!この蜂女!」
「光希くんにはこれ以上手は出させません!」
2人はギリギリ間に合ったことを確認し安堵するが、ボロボロの姿になった光希を見て、目の前の悪魔に対する怒りが湧いてきた。
「私の可愛い弟に怪我させたこと、後悔させてやるわ!」
「無抵抗な人にこんな仕打ちをするなんて、貴方にはお説教が必要のようですね!」
2人がそれぞれ怒りを込めて悪魔に叫ぶと、それを聞いて去ろうとしていた悪魔が振り返りすごい形相で睨みつけて叫んできた。
「あ"ぁ"!!うるさいんだよ!気持ちの悪い天使の気配を纏いやがった小娘が!私のことに口出すんじゃないよ!私は好きなようにやるだけだ!邪魔すんじゃねぇ!!」
そう言って怒り狂った悪魔アスモデウスは2人に向かって斬撃を放つが2人はそれを先ほどと同じシールドで対抗して攻撃を防いだ。
「鬱陶しいんだよ!天使はまた私達の邪魔しやがって!」
「貴方にはお仕置きをします!光希くんをこんなにしたんだから絶対にです!」
「えぇ!なんたって私の1番大切なモノに傷をつけたんだから、その代償は高くつけさせて貰うわよ!」
魔法少女に変身した2人が敵幹部とされる悪魔と対峙する。
そんな2人を見て光希は頭が混乱しっぱなしであった。
小説を読んで頂きありがとうございました。
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