序章 「深夜アニメ『メモリア・プリンシパリティ』最終回 より」
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アニメ「メモリア・プリンシパリティ」
前回までのあらすじ
桜崎はるが変身する魔法少女ジエルと新木朱美が変身する魔法少女リエルは敵と共に倒れていった仲間たちの思いを背負い最後の敵ルシフェルと対峙する。
だがルシフェルの圧倒的な力の前に手も足も出ず避けるだけで精一杯な状態であった。体力が削られ動きが鈍くなるジエル、そこを狙ってルシフェルの鋭い攻撃がジエルに当たると思われたが、寸前リエルが庇いその傷により力尽きてしまう。
リエルの喪失によりジエルは悔やみ落ち込むが、攻撃の手を止めないルシフェルの攻撃により一度考えることをやめ必ずルシフェルを倒すことをリエルに誓った。今まで倒れていった仲間たちの、みんなの想いを胸にルシフェルと対峙し、世界を脅かす敵との戦いに終止符を打つため最後の決着に挑む。
魔法少女ジエルの前には最後の敵であり全ての元凶でもあるルシフェルと対峙していた。
ルシフェルは人を見下げるほどの大きな身体に3対の黒い翼を持ち、ヤギの頭に人のように2足で立つ悪魔の姿をしている。
「まだ抵抗するか、天使の使いよ。貴様の力では私に敵うはずがない。そこで絶望しながらさっさと消えるが良い!!」
そう言ってルシフェルはその大きな口から漆黒の炎を吐き出した。
その炎を天使の力により飛んで避けるジエルは、ルシフェルへの対抗する攻撃をどうするか必死に考えながら執拗に追いかけてくるルシフェルの炎攻撃を避けていた。
(このままじゃ私もやられてしまう。けど、そんなことになったら今までのみんなの努力が無駄になっちゃう!それだけは絶対に嫌だ!絶対、絶対に!ルシフェルを倒す!みんなの!私を庇ったリエル、朱美ちゃんのためにも!)
魔法少女ジエルこと桜崎はるは今まで倒れた仲間たち、何より自分を庇い倒れた魔法少女リエル、変身前からの親友でもあった新木朱美のためにも絶対に負けられないという思いを胸に、ルシフェルの炎を避け再び対峙し攻撃をしようとした時ジエルの胸に温かいものを感じた。
ジエルは最初は何かと思ったがその温かさから感じるものに気づくとわずかに微笑みルシフェルへと眼差しを向けた。
「このままでは、あなたには私だけでは勝てません。」
「…命乞いか?ならば今すぐに灰にしてやる!くらえっ!」
ゴウッ!
ジエルの方へと勢いよく向かってくる漆黒の炎を見てもジエルは1歩もその場から動かなかった。
「朱美ちゃん、私も今そっちにいくね。『慈愛深き神よ、我が誓いに応え、我が前に立ちはだかる闇を祓い給え。メモリア・プリンシパリティ』」
ジエルによって放たれた光の塊は勢いよく向かってきていた漆黒の炎を散らしながら、ルシフェルの方へと向かっていく。
「なんだと、この『ちから』は…ぐわぁぁぁあ!!」
漆黒の炎を吐き対抗しようとしていたルシフェルだったがそのままジエルによって放たれた光の塊に飲み込まれそのまま光の塊を受けた箇所から粒子になって消え始めた。
「みんな…やっと守れたよ…」
そういったジエルは先程の技の影響で自分の思い出や存在が消えていくことを理解し、消えゆく自分の運命に覚悟はしていたがつーっと涙を流しながらその場に立ち尽くした。
魔法少女と最後のラスボスとの戦いが終わり魔法少女は消えゆくラスボスを見ながら佇む。
その後、魔法少女も思い出や存在と共に体が消えてゆき最後には何もなかったかのように決戦の大地には風が吹いていた。
その後、アニメではエンディングでそれぞれの魔法少女となった少女たちの願いが叶えられた映像が映った。
不仲が解消され幸せそうにすごす夫婦、不治の病が完治し喜ぶ男の子とその家族、いじめられていた女の子に新しい友達ができて幸せそうに学校に通っている様子、人への親切を大事にして家族にも愛を注いでいる父親の姿。
それぞれの幸せそうな映像が流れるがしかし、そこにその光景を心から願っていた少女の姿はなかった。
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