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放浪人フーベルト
ノヴァンゲルドから数時間、馬を連れて彼は現れた。
小汚い商業人のような服装、薄茶色の髪を後ろで小さくまとめ、その青い猫のような目が人を気味悪がらせた。
雪の積もった山々の麓を必要最低限の荷物で放浪する、彼は俗に言う放浪人だ。
歩く事7時間、彼はようやく立ち止まり荷物を降ろした。
目の前には大きな門、そして聳え立つ城壁。
ここがモルヘン、国で一番大きな街だ。
中世の鎧を着た門番二人は彼に対して警戒心を抱きながらも、彼がフーベルトと名乗るとその重い門をしぶしぶ開いた。
「ありがとう」フーベルトは馬と共に門を潜り、その見た目とは裏腹に広大な敷地内に足を踏み入れた。
彼はある女性を探しここに来たのだが、あまりの広さに戸惑ってしまった。