1話゜ 青春の序章
はじめまして。宮神タツグと言います。
初めての投稿なので、ぜひ暖かい目で見てください!
「あのっ....! わ、私と……その……付き合ってください!」
優しく涼しい秋風でたなびくカーテンに優しい夕焼けのひかりがゆらゆらと揺れる教室に、彼女の力いっぱい振り絞った声が響く。その声はまるで生まれたての子猫が鳴いているかのようだ。
「――っ、俺なんかで……いいのか?」
あまり驚きはしなかった。彼女が俺に好意を抱いていることは薄々感づいていた。
けれどやっぱりこの状況になれていないせいか、謎の緊張はするもので、拳を握りしめ、息を飲み間を置いて答えた。
「うん……」
手をスカートの後にやり、視線を下にしたり、俺の目を見たりもじもじしながら答える。
「こんな俺でいいならこっちこそ、その、よろしくな」
なんで上から!? あとなんか変じゃないよね? やばい……恥ずかしい。
「あっ……ありがとう……、でさ、その……このあと……私の家に来れるかな?」
と彼女は顔を赤くして恥ずかしそうにしている。
俺は当たり前だと即答した。 この先の展開はもうあれしかないと感じ取っていたからだ。
彼女と家で二人……もうアレしかないだろうからな!
根拠はないが、謎の自信に満ち溢れる。
告白されたばかりで早くないか? とは思うが彼女と俺は中学生の頃から仲が良く、デート的なこともしていたからなのかその事はあまり気にしなかった。
これは大人の階段を1段、いや2段、いやいや、もうすべて登りきるだろう。
あ、ちなみに俺の名前は襟元祐! 偏差値70以上の進学校に通う高校3年! 受験もあって大変な時期にこんなことをしていいのかって?
いいに決まってるさ、だってこんなこと一生に一度あるかないかだよ? 誘われたならやるしか無いだろ。
そして彼女の名前は七海ちゃん! とても可愛くていい匂いで何より胸が大きい。 髪はロング、胸が大きい、可愛い、いい匂い、優しくて明るい。なんとも俺の理想の女子だ。
まぁ、本当はもう少し身長が低くてロリ顔の方が俺は好きなんだけどな。
いかんいかん、俺の性癖がただ漏れになるところだった! いや、もう遅いか?
まぁそんなわけでこんな彼女に誘われたならやるしか無いだろ!!
さよなら! 僕の童○!
「上がって……」
意をけして俺は彼女の家に上がり込み、部屋へと入った。
とてもすごくいい匂いがする。女の子の匂いだ。
「その……私、初めてだから……優しくしてね?」
暗くて彼女の顔はよく見えないがとてもいい顔をしているに違いない。 電気をつけてみてやりたいがせっかくのムードを台無しにはしたくない。
「あぁ……俺も初めてだから、その……うまく出来るか」
もう俺のスーパーきのこがビックきのこになってしまいはち切れそうになっていた。 ズボンや下着を突き破ってしまうのではいかと思うほどまでだ。
「じゃあ……いれるぞ?」
「うん……」
ドクンドクンと二人の心臓の鼓動が時計の秒針とともに部屋に鳴る。
残念だがここで終わりだよ! キラッ!
第1話 [完]
著・Erimoto Tasuk
「どうでしょうか! これが俺の最新作!」
俺は目の前の女性編集者に自信満々で問いかける。
「どうでしょうかじゃねーだろがぁ!」
8畳一部屋のこじんまりとした部屋に怒声とテーブルをバシンと叩く音が鳴り響く。
あまりにも大きな声で、反射的に耳を塞いでしまった。
「えぇ!? な、なぜそんなにお怒りを……」
「お前なぁ……はぁ、まずいいか? 私はなお前に最新作ができたと呼び出された。 いいのが出来たからとな! 渋々きて蓋を開けてみりゃなんだこれは、これじゃただのエロ小説じゃねえかよ!」
ピリピリとしながら机をトントンと人差し指で叩くと、俺の原稿をバサッと放り投げた。
「ひぃ! まぁまぁ、怒らないでくださいって、ここの家の壁薄いんすから……そして今もう夜中の23時ですよ? 迷惑ですよ。追い出されたらどうするんですか守山さん」
「お前……いい加減にしないとマジで殺るぞ……」
彼女、守山しずかは関節をポキポキと鳴らし、今にも一撃必殺のパンチを放とうとしている。
「す、すいましぇん! 痛いことだけは……やめてくだしゃいっ!」
あまりの恐怖に噛んでしまったよ。 こぇぇ……
守山さんのパンチ喰らったらひとたまりもぞ……高校では元空手部で全日本大会では何度も優勝している。 そのパンチを食らったのならもう終わり。
噂によればヤンキーに絡まれた際、脅しでコンクリート塀を殴ったところその塀が崩れ落ちたとか……。
「はぁ……私が何を言いたいのか、分かるか? 分かるわけないよなバカには。 まず、私はどんな話を書いたらいいとアドバイスしたか覚えてるよな?」
呆れた様子で肘を机におき、肩ほどの長さの髪の毛をかきあげる。
「えぇ、今流行りの異世界転生の話を書いたらと……」
俺は目を背け、声の音量を最小限に抑えた。
「そうだ、それなのになんでこんな話になってるんだ? あれか? 新手のセクハラかこれは」
「いやいや! セクハラなんかしませんよ俺!」
「そんなに自信満々に言われてもな……」
「で、何が気に入らないんです?」
「全部だ」
「ほへ?」
その一言で思わず耳を疑い、甲高い気持ちの悪い声を出した。
「ツッコミどころが多くて何処からつっこめばいいか分からないが、何故主人公はお前なんだ? ただの妄想を書き綴っただけか? それになんだお前の性癖丸出しは! ハッキリいうとキモいぞ。 巨乳がいいだ? ロリが好きだ? 知ったことかガキが! しかも自己紹介のタイミングはなんなんだ一体。 そして最後のキラッってなんだキラッってそれにな……」
「ああーー!! それ以外は……俺のメンタルがやられますから」
何ならもう最初の時点でボロボロだ……。
確かに俺の変態的妄想を詰め込んでいる話かもしれないが、それの何が悪いのかと問い詰めようとしたが守山さんの獲物を見つけたライオンかのようにギロっとした目を見た瞬間、その気は一瞬にして覚めた。
「さて、何か言いたいことはあるか?」
怖ぇよ……まじで……。
「なら、これだけ……鈴本さんは面白いって言ってましたーとだけ……」
「……鈴本? 誰だ?」
「あっ! えー、『漆黒の闇を包みし堕天使』っていえば分かりますかね……」
「あー……変な名前のあいつか……。 あいつもお前と並ぶほどのバカだからな」
「まぁ、確かにそうですね」
漆黒の闇を包みし堕天使こと鈴本さんは俺と同じラノベ作家をしている。
名前も変で、馬鹿ではあるが漆黒の……鈴本さんの作品はアニメ化もされ、今人気の作家だ。
「それはそうとだな、これからはお前自身がうちに来て欲しい。 それとこれは没だ。」
守山さんは原稿をまとめると俺にバサッと雑に渡す。
「そうですよねー。 けど俺、異世界書くの苦手といか……ラブコメを書きたいんすよね」
「そうか。別に書きたいものがあるならいい。だが、あまり下品な言葉は慎むようにな、最近うるせぇからな」
そう言いながら守山さんはタバコとライターを取り出す。
「あぁぁ!! やめてください! 匂いがついちゃいますから!」
俺は火をつけようとした守山さんの手を掴み止めた。
「ひやっ!? ちょっ!?」
何とも色気のある声を出すのでつい見とれてしまった。
何だろうか。なんかとてもエロい……。
「あっ、その、すみません」
「いや大丈夫だ、私もちょっと驚いただけだ。」
守山さんの顔は赤く、恥じらいを隠しているように見える。
まぁ、気のせいか。
「もう0時になるか、私は帰る。まだやることがあるからな。 お前も無理せず寝て無理せず書けよ」
「わかりました! 必ずや守山さんが唸る作品を書いてみせましょう!」
「ふっ……相変わらず自信だけは溢れてるな」
「えぇ! 自信だけはあるんで!」
俺はどんな辛い事が起きても、ポジティブに変える。
あの日から俺はそう決意したのだ。
ただ1つ、今の悩みといえば青春を謳歌してない事だけだ。
いつ来るのだ、俺、襟元祐の最高の青春ラブコメは。