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16話゜熱い男と夏休み

 一学期も終わり、お待ちかねの夏休みへ突入しようとしている。

 俺にとっては別に楽しみでもなんでもない。約1ヶ月の休みはきっと何もせずに家でアニメを見たり、ラノベを読んだりとゴロゴロしているだけだ。


 そして夏休み前最後の授業であるLHRが始まり、早々と課題やら成績表が渡される。

 課題に関しては進路のこともあるからなのか、履歴書の練習や進学や就職に役に立つ常識的な問題なのでそこまで難しくもない。

 成績だってそんなに悪くは無いが、数学と英語が致命的だ。

 先生に遅刻が多いと一言書いてあっただけで、それ以上悪いことは書いてなかった。


 まだ時間は残っている。配布物も配り終わり、ある程度の話も終わり何をしようかと先生が困っていたところ、1人の生徒が立ち上がる。



「みんな、夏休みが明けたらすぐ文化祭が始まる! そこで俺たち、3年4組で何をするか決めよう!」

 そう仕切り始めたのはこのクラスの学級委員であり、生徒会にも所属している、大白熱志(おおしろあつし)

 名の通り熱い男だ。余計教室が熱く感じる。


 北南(ほくなん)高校文化祭は県内でもかなりクオリティが高く有名で、毎年9月の第1土曜日、日曜日と2日に分けて開催される。

 はっきり言って土日にやるのはめんどくさい気もするが、月曜と火曜日が振替休日として休みになるから結果オーライと言ったところだ。



 さて、大白が仕切っているのはいいものの中々いい案が出ないまま10分が経過した。

 それにしびれを切らしたのか、大白は熱血教師かのようにみんなに熱く語り始める。


「みんな! 本当にこのままでいいのか! これが俺たちにとって最後の北祭(ほくさい)なんだ! だから最高の出店を作ろうじゃないか!」

 その思いはみんなの心に届いた………かとおもったが、気だるそうにしていたり、全く関係の無い話をしてたり、携帯を見てたり、寝てたりと聞く耳を持つもの自体少なかった。


 それを見ていた大白は何度も同じことを語りかけるが、誰も何も言わない。

 さすがに可哀想に思えてきた俺は、なにか一言でも意見を出そうと考えていたその時、1人の女子が口を開く。


「あのさー、別に何もやらなくて良くないー? ウチらがやらなくたって他の奴らはやるっしょ?」

 彼女の名前は青葉由香里(あおばゆかり)いわゆるギャルっていうやつだ。


 このクラス…いや、この学校全体でもトップに君臨する。

 見た目は悪くは無いが、目付きが悪く常にヘビのように睨んでいる。

 金髪でポニーテール、いつもパックのりんごジュースを飲み、棒のついた飴を舐めている。

 それにしてもいつも長袖だけど暑くないのか? 別に俺が気にすることではないか。



 見た目通り言葉には刺があり、思ったことはなんでも言うタイプだろう。

 まぁ、普通にしていれば目をつけられることは無いのでいいが。


「それじゃダメだっ! 俺たち北南生はこの北祭の為にここまで来たんじゃないか!」

 いや、そんなつもりでこの期間過ごしてないから。


「今こそ我々北南生の底力を見せるときだっー! 一致団結になって最高の北祭にするぞー! おー!!」

 シーンとしている。大白の威勢のいい掛け声以外何も聞こえない。

 空気を読んだ先生が拍手をした。それに続き夏実と俺、若林の他に2,3人の小さな花火が散ったあとのような拍手が起こった。


 それからもなんの意見も出ぬまま時間が経ち授業が終わり、先生が「えー、とりあえずいい文化祭にするぞ。そして夏休みは何事もないように過ごせ。それじゃー終わるぞ」と適当にまとめると号令をかける。



 そんなわけで授業が終わり夏休みが始まったわけだが、俺の夏休みは楽できる訳は無かった。

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