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13話゜どうすればいいの

お久しぶりです。今回は『夏実』視点の話となっています。


 どうしよう……言っちゃったよ……たっちゃんに好きだって……聞かれたよね、絶対。

 ていうか聞こえるように言っちゃったもん……


 あーー! 何やってんだろー私ー! なんであの流れで言ったのさー! あそこはじゃーねって言って別れるとこじゃん!


 はぁ……バカ……私のバカバカばかぁぁぁ!!


 ドアがしまった途端、なんでこんなことを言ってしまったのだろうとドアにもたれて後悔する。

 顔が熱くて顔から火が出るという言葉の意味がよく分かる。


 きっと今鏡を見たら茹でダコ見たいに真っ赤なんだろう。


 しばらくすると自分の部屋に戻り、ほころびたうさぎのぬいぐるみを抱き、ベットにダイブした。


 うぅ.......もう、どうしよう。

 足をバタバタさせぬいぐるみに、顔をうずめる。


 明日どんな感じで会えばいいのさ、いつも通りに出来るかな.......出来ないよぉ.......

 明日休もうかなー、意味無いと思うけど。



 別に失恋をした訳でもないのに、そんな変な気持ちに包まれた。

 ご飯もあまり喉を通らず、お風呂に入っていてもついボーとしてしまってのぼせてしまった。

 コップ一杯の水を飲むとしばらくベランダに出て、涼しい外の空気を浴びていると、少し冷静になり窓とカーテンを閉めて静かにベットに横になる。



 たっちゃんは私の事は、ただの幼なじみって言ってた。でも私は幼なじみじゃなくて異性として好きなんだよ。


 この気持ちは一体どうしたらいいの? つい好きだって言ったけど、本当に告白したわけじゃない。いつかきっと絶対、正面をみて伝えたい。



 今はもう忘れよう……しばらく話しかけられなそうだけど……





 ちょっとあいていたカーテンの隙間から日が差し込んできて、雀の鳴き声が聞こえる。


「んっ……ふぁぁ……もう朝かー」

 ついさっき眠ったかのように感じた。それだけ深く眠ったんだろう。


 一通りの支度をすませると、家の前で友達を待つ。

 10分ぐらいの間、Web小説を漁るのが待っている時の暇つぶしだ。


 お気に入り登録をして家でゆっくり読む。たまにアフレコの練習もしている。



「ごめーん! ちょっと遅れちゃった」

「ううんー、別に大丈夫だよー。いつもの事だしー」

「それもそっか! じゃーいこう!」



 学校までの30分ぐらいの距離を美結(みゆ)と好きなアニメだとか、ライトノベルの話をしながらゆっくり歩く。


「このあいだのフェス楽しかったから、夏実も来ればよかったのに」

「本当は行きたかったけどねー。レッスンで埋まっちゃってー」

「流石。未来のスター声優さんは違いますなー」

「もー! やめてよー!」


 笑いながらトンっと、美結の腕を叩く。


「いいじゃん! 祐くんも応援してるんだし!」

「もうたっちゃんの名前ださないでー」

「なんで? もしかして喧嘩でもしちゃった?」

「そうじゃない。その、ううん、やっぱなんでもないー」

「気になるじゃんか!」

 じーと目を細くして見つめてくる。何?と聞かなくとも分かる。なんの事なのか言いなさいと言うことだ。


「実はさ……たっちゃんに好きって言っちゃったんだよね……」

 そう言った瞬間美結の顔は、ものすごく驚いた様子だった。


「えっ、まって!? 告白したの!?」

「そう言えるのかな……? たっちゃんの返事も聞いてないし、そもそも伝わったかも……」

「んー。まぁ、祐くんはバカだからね」

「そこがいいんだよねー、バカでちょっと変態だけど話していてとても楽しいし、でもこれって言う理由はないかなー」


 自分の気持ちはどんなようなものなのか、なんで好きになったのかというのはよく分からないけど、理由は別になかった。ただ普通に好きになったという事だ。


「なるほどねー、私はよく分かってないけど夏実はすごく仲良いんだもんね」

「そーだねー、幼稚園の頃かなーそこからほとんどずっと一緒だった」

「もう付き合っちゃえよー! このこの!」

 肘を私の横腹に押し付けてくる。


「もうーやめてよー! ていうか話してたら恥ずかしくなっちゃったー」

 昨日のことをどんどん思い出してしまい、また顔が火照る。

 あー……やばい……あついよ、恥ずかしくて


「可愛いですねー、大好きな人を思って真っ赤になるなんて、ぷぷぷー」

「本当にやめてぇぇ!」

 煙がでそうなほどになり、つい強い力で美結の肩を叩く。


「あはは、ごめんごめん」

「もー、次たっちゃんの名前出したら怒る!」

「言わないから! でもさ、同じクラスじゃないっけ?」

「そこなんだよねー、だからちょっと不安なんだよねー、声をかけにくいというか」

「そうだろうね、でもいつものように接した方がいいと思うよ。その方が気を使わなくていいし」

「そーしてみるよー」



 恋愛相談的な話に付き合ってくれたお礼に、学校の近くにあるコンビニに行き、ペットポトルのミルクティーとメロンパンを奢った。



いつも通り、いつも通り。何も無かったようにすればいいんだよね。


たっちゃんがあまり気にしてませんように……

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