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結婚して初めての夜 sideミランダ ※R

初夜の話です。

R回ですので、苦手な方はご注意ください。

 結婚式の後は集まって頂いた人たちを集めての食事会です。ララお母様とお母様とロンダがいいねと言ってくれたオレンジ色のカーネーションがモチーフとなっているドレスに身を包みました。みなさんと一緒に食べる食事は美味しくて楽しくて、本当に夢のような一時でした。


 そして、なんとそのままお城に泊まれることになったんです!


 お城に泊まれるなんて本当に夢みたいです。物語の中で想像したままのお部屋に心は弾みます。

 質のよい調度品。なんとも大きなベッド。スプリングがきいたベッドはふかふかで子供みたいにジャンプしたくなります!


 私はこの時、幸せでテンションがとても高くなっていました。


「アルファ様、見てください! すっごいふかふかですよ!」


 ベッドにダイブした私はアルファ様を手招きします。それをアルファ様は複雑そうな顔で見ていました。


「あまりはしゃぐと落ちるぞ」


 そう言われ、手をとられました。

 そして、手を握られたままベッドに座らせられます。


「ミランダ」

「はい」

「結婚してくれてありがとう」


 優しい感謝の言葉。それにとくんと胸が高鳴ります。


「ミランダにはいくら感謝しても足りない。出逢った頃からそうだ。君は私のコンプレックスも、醜い感情も全て受け止めてくれた。そして、私にかけがえのない愛を教えてくれた」


 コツンとおでこがくっつきます。


「ありがとう、ミランダ。君に出逢えて私は本当に幸せだ」


 その言葉が優しくて、嬉しくて、涙が込み上げてきます。


「アルファ様…私も幸せです。アルファ様と出逢えて、結婚できて…っ」


 ちゃんと言いたいのに涙声になって言葉になりませんでした。色々なことが頭を過って感極まっていました。涙を拭う私にアルファ様が優しく頭を抱き寄せてくれました。


「これからも幸せになろう。二人で」

「はい…」


 そう言うとふっと見つめ合いました。熱のこもった瞳。私はこの瞳を幾度となく見てきました。そして、この先に何をするかも、もう分かっています。

 目を閉じる。それが合図。


 数秒後にアルファ様の唇の感触がしました。


 深い溺れるようなキスはまだ恥ずかしくてドキドキして息苦しくなります。久しぶりだから…? 呼吸が上手くできません。


 ーぷちん


 キスをしながら、胸元のボタンが外れた気がして目を開きます。私が目を開いたのにアルファ様も気づいてアルファ様が離れます。


 たぶん私はとても間抜けな顔をしていたのでしょう。アルファ様が驚いた顔をしているので。


「なぜ、服を脱ぐのですか?」

「…………」


 不思議に思って見上げると、アルファ様が口元を押さえてふいっと視線をそらします。あ、久しぶりに見る照れ顔…それに思わず顔が緩んでいると、アルファ様が戸惑いの声を出します。


「ミランダ…」

「はい。アルファ様」

「その…私達は結婚した」

「はい。アルファ様」

「…だから、結婚して初めての夜になる」

「そうですね。初めての…」



 ―――初めての?



 顔は笑ったまま固まります。


 結婚して初めての夜ということは…


 初夜!?


 ガバッとアルファ様から離れます。


 いくらそういうことに疎い私でも何をするかは分かっています。でも…え? どうしましょう! 何も練習や勉強をしてません!!


 どうしましょう!?

 どうしたらいいの!?


 青ざめる私にアルファ様がはぁと、息を吐き出します。そのため息は呆れたものだと思い、ますます青ざめます。

 そうよね…閨の覚悟もない妻なんて呆れられて当然だわ!


 あぁ、私ったら本当に…!


「ミランダ…」


 アルファ様が私の指先を掴みます。それに大袈裟にビクリとしてしまいました。

 アルファ様はそれに微笑んで、穏やかに話し出します。


「焦る必要はない。君は少しずつ夫婦になればいいと言ってくれた。私もそう思う。心の準備ができるまで待つから、怖がらないでくれ」

「アルファ様…」


 気を使ってくださる言葉。それにホッとしているはずなのに、一抹の寂しさがありました。覚悟もないのに、私は…


「アルファ様…アルファ様はその…すぐ子供が欲しくはないですか?」


 アルファ様が目を見開きます。自分でも何を言いたいのか上手くまとまりません。でも、口だけは達者に言葉を紡ぎました。


「私は子供が欲しいです。でも、その…私の準備を待っていたら、いつできるか…」


 顔は熱く。頭は沸騰し、くらくらします。恥ずかしいことを言っているような気がしますが、それすら分かりません。

 すると、アルファ様がまた息を吐き出します。ほんのり顔が赤くて、視線をそらされます。


「頼むから、あまり煽らないでくれ」


 少し困ったように吐き出された言葉。

 握った指先が熱い。


「欲しいに決まっている…君との子だぞ。絶対に可愛い」


 照れた顔で言われて、心臓がきゅっと痛みました。ドキドキと高鳴る鼓動を聞きながら、口を開きます。


 私は、何を言おうとしてるの?

 自分でもよく分からないまま、言葉がするりと出てきました。


「なら…」


「私に命を宿してください」


「っ…」


 そう言うとアルファ様にベッドに押し倒されました。よくきいたスプリングのおかげで背中は痛くありません。

 見上げたアルファ様の瞳は火傷しそうなくらい熱かったです。


「ちゃんと意味が分かって言っているのか?」


 それにこくりと頷きます。


「…先程まで怖がっていただろう…無理はさせたくない」

「怖くはないです…ただ…」

「ただ?」

「私…そのやり方を分かっていなくて…アルファ様に幻滅されたくなくて…だから」


「アルファ様が教えて下さいっ!」

「…………」


「その…初めてですので、もろもろ可笑しな所があるかもしれませんが…何卒、ご指導のほどを―――っ!」


 アルファ様に口を塞がれて言葉が飲み込まれます。深まった唇が離れ、アルファ様が熱い眼差しのまま言いました。


「愛してる、ミランダ」


 耳に熱い息がかかります。


「私の全てをあげるから、君の全てを私にくれ」


 そして、そのまま強く抱きしめられました。


 その後のどうなったかは、私の口からはとても言えません…恥ずかしくて。


 ただ、アルファ様はかなりの甘党だと思います。だって、お菓子のように甘くなった私を何度も食べてくださったのですから…


 甘く溶けて消えた夢の一夜はこうして過ぎていきました。



下記、余談です。





きっとミランダは初夜を忘れているなーと思いながら書きました。

次は初夜のアルファ視点です。

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