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誕生日
ショーウィンドのケーキたちにミノリの心は踊った。今年はどれにしようか、じっくり眺める。苺のショートケーキにチーズケーキ、季節限定の蜜柑のケーキも捨てがたい。
散々悩んだあげく、ミノリはチーズケーキを選んだ。値段は気にしない。自分へのご褒美だ。
ケーキが型崩れしないよう、丁寧に丁寧に、阪急電車に揺られ二十分。そこから五分歩くとアパートメントが見える。築三十年以上だ。ここへ越してきて、もう二十四年経つ。
中には当然誰もいない。がんらどうの部屋とむわっとした空気が四十路のミノリを迎えた。
すぐにミノリは窓を開けた。
シンとした冷気が部屋に充ち巡る。寒が暖に勝った頃合いを見計らい、ミノリは箱を開けてケーキを皿へ移した。
花柄に縁取られたプレートにチーズケーキがワンピース、ちょこんと坐している。それが無性に……。
ミノリはチーズケーキを握り潰し、ぶち投げた。
何が誕生日だっ。バカヤロウ。
滾る憤りに涙が溢れた。
四十歳になってごめんなさい。けれども、ありがとうございます。
嗚呼、感情って生だ。




