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四季彩宝石箱  作者: 泉柳ミカサ
33/1059

マトリックス勧誘

駅のトイレで一発キメてからは尾崎は快調そのものだった。気軽なステップで改札を抜けると、不意に生あくびが出る。

すると開いた口が侘しくなり、途端に尾崎は煙草を咥え、真っ赤なジッポで火をつけた。

紫煙が視界を霞める。煙の切れ間からアルファロメオが見えた。身に覚えのない車だ。ただ、ナンバーが『333』だけに、妙に神経が昂った。

ちなみに尾崎の愛車は真紅のポルシェだ。

「すみません」

再度、煙草を吹かしたとき、一人の男が声をかけてきた。スーツをまとったその男は脇にバインダーを挟み、ボールペンを握っていた。

尾崎は男をシカトし、足早に立ち去る。

「すみません」男はなおも同じトーンでそういい、跡をつけてくる。

尾崎は舌打ちし、さらに歩みを速める。

「すみません」

「すみません」

「すみません」 

周辺の風景が一変しても男は諦めず、勧誘を続ける。

「すみません」

「すみません」

「すみません」

「すみません」

体力には自信があった尾崎だが、早々に息は上がっていた。

「すみません」

「すみません」

「すみません」

「すみません」

「すみません」

間もなく家に着く、寸のところで尾崎は観念し、男を睨みつけた。それでも男は飄々とした顔立ちでまた口を開けた。

「すみません、私こういう者で……」


「……マトリかよ」尾崎は甘い息混じりにそう呟いた。

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