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転校生
アツヒコ
「おい、聞いたか、今日転校生が来るらしいぞ」
カズキ
「マジ? 男? 女?」
アツヒコ
「男、男。なんでもソイツ、夏目漱石みたいなやつらしいぜ」
カズキ
「夏目漱石? どういう意味だよ」
アツヒコ
「ほら、漱石の由来になった〈石に漱ぎ、流れに枕す〉ってトンチンカンな野郎を指す言葉があるだろう。それと同じだよ」
カズキ
「あぁ、石で歯を磨いて、川の流れを枕にする逆のやつね」
アツヒコ
「そうそう……ソイツ、整髪料を顔に、フェイスクリームを髪に塗るらしい」
カズキ
「うわっキモっ」
アツヒコ
「しかも、I LOVE YOUは〈太陽がギラギラですね〉って訳すらしい」
カズキ
「激ヤバじゃねぇか」
アツヒコ
「そんなネコが来んだって」
カズキ
「え、ネコ!?」
アツヒコ
「そう、転校生は猫である、名前は犬伏猋」
カズキ
「いや、名前!!」