この日に燃えゆく-サクリファイス-
朽ちかけた白樹
どれ程の年月を生きたか知れぬその足許へ
赤い火を放ち、私は背を向けた
吹きすさぶ風は冷たく、私の蒼白い頬を裂き
立ち上る炎は空を焦がす
舞い上がる黒煙の中、うなじを撫でる熱を感じ
私は進む
左手を掲げ、降り始めた雪を指先に
いつか愛したあの日々を想い
この熱と冷たさは、あの日々と同じ
私は忘れない
薄汚れたカーキ色のコートの襟を立て
指先をポケットに押し込み
この命が続く限り
またあの地平を目指すだろう
この日に燃えゆく
私は忘れない
この熱と冷たさは、あの日々と同じ
サクリファイス
私は忘れない