にゃんでも屋 ~世界最強生物、猫の便利屋~ (3分小説)
2月22日、にゃんにゃんにゃんの日ということでハイファン系猫小説です。
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猫、それはこの世界において最上位の生き物である。
大地を駆ければ風を追い越し、水を前にすれば大海でさえも爪の一振りで二つに割り、軽い跳躍で天空すらもすべる。この世界において猫は龍や魔王すらも凌駕する存在だった。
そんな世界で猫が人間の愛玩動物になるということはもちろんありえない。しかしとある場所に猫と共存する一人人間がいた。
「にゃーん」
机に向かって作業していると可愛らしい鳴き声が耳に届く。
鳴き声のほうに目を向けてみれば足元に猫が擦り寄ってきていた、俺はその子を抱き上げるとひざに乗せ、片手で猫の背中を撫でながら作業を再開する。 暫くしないうちにゴロゴロとのどを鳴らす音が静かな部屋に響き始める。
そんな時間がどれだけ経っただろうか、じきに俺の作業も終わり猫も俺のひざで寝息を立て始めた頃、この部屋と外を隔てる木製のドアが叩かれる。
「どうぞ」
猫がひざで寝ているため動くことが出来ない俺は声でドアの向こう側の人物に入室の許可を出す。
「し、失礼します。 えっと、ここが『にゃんでも屋』であってますか?」
ドアから入ってきたのは茶髪が映える色白の少女。
彼女は入ってきた場所が自分の求めていた場所であるか問う。
「ええ、確かにここは『にゃんでも屋』ですが、何かご依頼でも?」
俺がいるこの場所はにゃんでも屋と呼ばれる便利屋だ、ちなみに俺はこの店の店主をしている。
「は、はい。実は私の住んでいる村で干ばつが起きまして・・・」
「分かりました、では干ばつを解消すればよいのですね。料金は先払いでロージ金貨9枚相当といったところでしょうか。」
高速で脳内で演算を済ませ、料金を算出する。
「は、はい。これで大丈夫ですか?」
そういって少女が袋から取り出したのは済んだ輝きを放つ一枚の硬貨、刻まれた模様を見るにサバニスタ聖貨だな。価値は現在のレートを考えるにロージ金貨9枚に少し及ばないといったところだろうか? まぁ少しくらいの誤差だ、これで引き受けてやろう。 そうすれば最悪後から強請ることも出来るからな・・・
「サバニスタ聖貨ですね、では確かに頂戴いたしました。 それではまずお客様のお名前と、在住の村をご記入ください。」
そういって俺はひざで眠る猫を起こさないように細心の注意を払いつつも机の引き出しから一枚の紙を取り出して少女の、いや、お客様の前にペンとともに差し出す。
お客様はペンを取り紙に自分と村の名前を書き込んでいく。 ・・・お客様の名前はリボン様というようだ。その名前を見ると少し懐かしい気持ちになる、というのも今ひざに乗っている猫がここに来る前はリボンという名前の猫が俺のひざを占領していたのだ。とはいっても今はもうリボンは居ないのだがね・・・
「はい、リボン様ですね、村は・・・メノジ村ですか。ではそちらにかけてお待ちください。」
部屋の壁際に並べられた木製のイスを勧めると俺はひざの上で眠る猫、ダイヤの背を軽く叩き起こしてやる。
怪訝そうな目でまだ眠っていたいと訴えるダイヤだが場の空気からこれから仕事が始まるのだと理解した瞬間俺のひざから飛び降りてのんきに伸びをする。
「ダイヤ、仕事だ。干ばつの解消だってさ」
そういうとダイヤは「そんなことは分かっている」とでもいうような視線を向けてきながらもにゃんと返事をする。 どうやら完全に眠っていたわけではなく夢うつつ程度にはお客の話を聞いていたようだ。
「じゃあ行きましょうか、そちらのドアをくぐればメノジ村につながっているはずですので。」
なんとこの木の扉、転移魔法の付加がかけられているためいろいろな場所につなげられる所謂どこでもドアなのだ。というのもかなり前に来たお客様に後に大賢者と呼ばれるようになったお客様が・・・・っと、それよりも今は目の前のお客様、リボン様のほうを優先しないとな。
「えっと、このドアがメノジ村に・・・・?」
まぁ普通疑問に思うよな・・・
「えぇ、実はこの扉には特殊な魔法がかけられておりまして・・・イテッ!?」
お客様に説明をしようとしたところダイヤが俺の脚を軽く引っかき始めた。
わかった、わかったよ。早く仕事済ませたいんだろ?分かったから引っかくのをやめなさい
「申し訳ありませんお客様、話はまた後ほど、ということで・・・」
「は、はい。」
若干困惑した様子のお客様だがまぁ当然だわな、転移魔法の扉があるだけでなく人間と猫と当然のように戯れてんだもん。
と、お客様が扉を押し開く。部屋に日光が差し込むのと同時に熱い空気が顔にぶつかる。
ダイヤは嫌そうな顔ではあるが・・・まぁ余裕だろう。
「これはひどいですね・・・」
ドアを潜り抜けて広がっていた光景はカラカラに辛いた空気と畑、俺が今たっているこの地面はひび割れており水がないことがよく分かる。
しかしメノジ村の位置的に考えて干ばつがおこるような地域ではないはずだ。まぁ普通に考えて何かしらの原因があるわけだ。
そこからは早かった。村を回って情報収集をするとこの村を拠点に活動する狩人が見慣れない魔物を見たという話をしていたことが分かった。話を聴きに行くとその魔物は炎を体にまとう巨大な人型。特徴を一つ一つ聴いていくとそれがイフリートだと判った。
イフリートのような魔物だったらダイヤの、猫の敵にはならない。
村の外でイフリートを探し出しダイヤが爪を振るい一撃で消し去ると嘘のように空に雲がかかってくる。
これで干ばつは解消したはずだ。
俺たちは静かに村を去り仕事今日もを終えた。
2222文字にあわせるのが一番大変だった・・・
短編なんだから22222くらいがんばれって?さすがに1時間半じゃあそれはキツすぎますよ・・・
はいどうも読者様、じゃがイムと申します。普段はまぁチマチマと小説を投稿させていただいております私ですが今回は猫小説を書かせていただきました。雑な部分もあるとは思いますが楽しんでいただけたら幸いです。(主に2222にあわせるためですが最後が雑すぎるんですよね・・・)
では最後に宣伝だけして〆たいと思います。
『ハーレム王だったけど息子含めすべてを奪われたから世界滅ぼす。』
http://ncode.syosetu.com/n5285dt/
よければこちらも見てやってくださいな。