前話
初投稿です。拙い文ですが、ご容赦下さい。よろしくお願いします。
「おぉ、勇者達よ!よくぞ召喚に応じてくれた!感謝するぞ!」
重く威厳のある声が聞こえ、そちらの方を向くと、そこには肌が黒く頭に3本の赤黒いツノの生えた黒髪で鋭い目つきの貫禄ある男が、王座と呼ぶに相応しい豪華絢爛な椅子に座っていた。
訳も分からず周りを見渡すとローブを纏った魔術士風の者達が喜びの声を上げていた。「やったぞ!」「成功だ!」などと、突然のことで戸惑うこちらの気を無視してはしゃいでいた。
……確か自分は授業が終わり、友達と遊びに出掛けようと家を出た所だったはずだ。だが気付くと、世界遺産のアルハンブラ宮殿の様な、繊細で煌びやかな装飾の施された壁や柱が並ぶ、儀式場にも見える広間の中心に立っていた。
その広間には窓は無く光源と呼べる物は、周囲の壁に等間隔で並ぶ、赤,青,緑,紫など、色とりどりのゆらゆらと淡く輝きを放つ炎と、半球状の天井付近で白く輝く大きな水晶だけである。
周囲を観察し自分に起きた現況を推測し始めた時、脇腹をつつかれ「なぁ。」と隣から声を掛けられた。振り向いて見るとそこには自分と同じく戸惑い顔の友人を含む男女4人が居た。
「なぁ、一体何が起きたか分かる人いる?」
と小声で皆に話し掛けてきたのは、この後会う予定だった友達である。名前は剣崎 優人といい、黒髪黒眼で、高身長。目つきはキリッとしているものの、柔らかい雰囲気をしている爽やかイケメンである。
「……いいえ、分からないわ。私はさっきまで友人と買い物をしていたはずなのに、気付いたら此処に。」
まず最初に答えたのは、20代後半位に見える、赤みがかった茶色い髪をストレートに胸まで伸ばした女性だ。背が高く足もスラッとしている女性は、モデルをしていても可笑しくないくらいの美人だった。
「俺はジムで筋トレしてたはずだ。」
次に答えたのは、ガッシリした体躯の男だった。鋭い目つきの男は首にタオルを掛けてはいるものの、上半身ハダカでプロレスラーの様な格好をしていた。
「まずは、目の前にいる人に話を聞いてみようよ!」
と若干興奮気味に言ってきたのは、中学生くらいの細身の男の子だ。男の子は戸惑ってはいるものの、目は爛々と輝いており、何かを期待するような眼差しをしていた。この状況にもある程度予想がついているようで、少し楽しそうにしていた。
自分と勇人は目を見合わせ「そうだね。皆さんはどうですか?」と勇人が返し、自分は「あぁ。」と返す。他の人も異論は無いようだ。まぁ、何も分からない状況なのだから当然か。
……成程。と中学生の様子に自分の置かれた現況にある程度の推測が立ち、現実か?と憂鬱になったところで、暫く様子見をしていた王座に座る男から声が掛かった。
「勇者達よ、突然のことで戸惑うのも無理はないが、事情を説明するから、一先ず我らの話を聴いてはくれんか?我はこの国【スレイスミス】を治めておる王である。勇者達よ、我が国を救ってくれ!…フゥ…爺!!後は任せた。」
そう言うと、王様は側に控えていた侍女らしき格好の美女に支えられながら、荒々しく音を立てながら退出していった。
……? 若干疑問に思っていると、ローブを纏った者達に指示を出していた人物がこちらへ、スッと近づいてきて自己紹介を始めた。
「お待たせ致しました。私この国で宰相の相談役をしております、鬼族のフィクサー・イントリッグと申します。この度、勇者様方の案内役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。…王の事はお気になさらないでください。王は先祖代々受け継がれてきた魔力をこの儀式で扱い疲れているだけですので。」
イントイッグさんは、肌の色は灰色で、髪は額の黄土色の角を強調するように銀髪のオールバック、身体つきは細身だが服の上からでも鍛えられているのが分かる位筋肉がしっかりしている、渋い顔つきの老翁だった。
指示をしていたはずなのに、流れるような所作で話に加わってきた様子にビクッと吃驚しつつも、感嘆と虞の念を抱き、少し行動を慎重にしようと潜考する。
長話になると云うので別室に案内され、そこで話を聞くと大方は予想通りだった。
要は、漫画やラノベでよくある異世界召喚という奴だ。
この世界には《魔素》が存在し、
様々な現象を創り出す'魔術'として発展した世界だ。
この国【スレイスミス】は鬼とドワーフを中心とした広大な土地を持つ国である。この国は資源が豊富でそんな資源を狙って、魔族が支配する国【マーベルック】が攻めてきているというのだ。
魔族は魔力を多く持ち、様々な〈属性〉を持つ'魔術'の扱いに長けた者が多い。且つ、遠距離や広範囲の'魔術'が得意だそうだ。
だが、此方は魔力量は多く身体は屈強なものの、〈属性〉を持つ'魔術'に弱く、遠距離や広範囲の'魔術'は苦手な者が多くを占めるらしい。
又、此方はドワーフの〈土属性〉の'魔術'がほとんどなので、防戦一方の戦いを強いられている。
戦いは、魔術だけで決まるものでもないが、現状時間を稼ぐ事しか出来ていない。
このままでは、緩やかに滅亡していくと悟った王は“召喚の儀”を行う事を決意した。
この“召喚の儀”とは建国時より代々王家に伝わる儀式で、王家に危機が迫った時に行い。異世界より危機を解決する力を秘めた者達を召喚する儀式、と云う事らしい。
そして、召喚されたのがここにいる5人というわけだ。
「如何でしょうか。ここまでで、御質問など御座いますでしょうか?」
とここで、一旦話を止めて「一息入れましょう。」とイントリッグさんが飲み物と菓子を侍女らしき女性に用意させ、質問を取った。
「力はどうやったら使えるの!?」
と興奮を隠しきれない様子の中学生が聞くと。
「少々お待ち下さい。今、皆様の魔術適性を調べる準備をしておりますので。もうすぐ皆様も魔術を使えるようになりますよ。」
そうイントリッグさんが返すと、「どんな魔術が使えるのかな⁉︎な⁉︎」と忽ちのうちに落ち着きが無くなっていく様子の中学生。まぁ、この位の年頃なら仕方ないか。と思う反面、自分も少々興奮している事も自覚している。
「…あの、魔族の人達と話し合い等はしなかったんですか?」
と魔族との宥和の意志を示す優人。しかしイントリッグさんから語られた話は、此方の常識が自分達の知るものとは懸絶していることを認識させられた。
「一応、降伏勧告は申しておりましたが、王はどんなことが在ろうと降伏はしないでしょう。魔族の国に降伏などすれば何をされるか分かりません。奴等は、自分達が優越感を得る為ならばどんな事でもするそうですよ。」
そして話は、前回の勇者召喚と建国の話に移る。
要は、魔族の国で虐げられていた、王族の祖先達は隙を見て王城の禁書庫から、解読中の“召喚の儀”の文献を使い、1人の勇者を召喚した。
そして、その力を持って虐げられていた者達を連れ、此の地に逃げ延びたという事だ。
それから、逃げ延びた此の地で建国し、王族に魔族の残虐さが伝えられているのだというのだ。
又、勇者の力を恐れた魔族達は、以降折衝を避けた為、王族達は勇者と共に此の地で安全に建国して行ったという事らしい。
だが近年、力を増し勢力を伸ばす、勇者の驚怖が忘れつつある魔族達が、この国の資源を狙い始めた。これで話は戻るのだった。
魔族に虐げられた話になった時、皆の顔色は不安や怒り、恐怖といった感情に染まっていた。特に、その様子を想像してしまったのだろう、唯一の女性は震えており、優人に励まされていた。そして、ある程度落ち着いてきた時、
「…あの、元の世界に帰るにはどうしたらいいんですか?」
と女性が質問すると…、イントリッグさんは顔を少々顰め、
「……大変申し上げ難いのですが、先程話した様に文献は解読途中だった為、半分しか持ち出せなかったそうです。ですから、可能性があるとしたら魔族の国の残り半分の文献しか皆様が帰る方法はありません。」
と述べる。不安げな表情になる自分や女性に対しマッチョの男性が、
「魔族をブッ飛ばすんだから丁度いいだろ。」
と凄味を利かした低い声で話す。そこに、
「まあまあ、そんなに物騒な事言わなくても。しかし、魔族はどうにかしないとね。僕達が帰るためにもね。」
と優しく落ち着かせる様に勇人が笑みを浮かべ言葉を添える。
移動中も皆に話しかけていたし、話がスムーズに行える様皆の様子に気を配っている様子は流石だな。……本当に勇人がいると助かるな、勇人の言葉は柔らかい割に説得力あるからな。こういう訳の分からん時、勇人がいるだけで凄く冷静でいられるな。
・・・・・・
「ーーーーこれで話は終わりです。皆様方を此方の都合で勝手に喚びだしたのですから、断っても文句は言えません。ですが、どうか私達を救っては戴けないでしょうか!……勿論、私達に加勢をして下さらなくても、最低限の魔術の指導と援助はさせて戴きますので。」
大まかな話を終え、頭を下げるイントリッグさんに対して、
「任せてください!必ず救って見せます!」
「魔族をぶっ飛ばせば良いんだろ。」
「こ、怖いけど、帰るためには頑張らないと。」
「魔族は許せないもんね!」
「……」
と周りの皆が返事をするなか、自分は無言で周りの反応を窺っていた。
「……どうしたの?」
勇人が無言でいた自分に話しかけてきた。
そこで自分の考えていた事を話すことにした。
「皆、今決めるのは早計じゃないかな。自分はもう少し慎重に皆で相談したいし、考える時間が欲しい。」
「……そ、そうですよ皆様。魔族軍が此方の最寄りの集落に辿り着くまでにまだ幾許か時はあります。……そうですね、時間稼ぎをしながらの後退をしておりますので、約1年程掛かるでしょう。
ですので、半月程様子を見てもらい、そこで改めて決めて戴くと言う事で如何でしょうか?」
時間が欲しいという自分の考えに対し、イントリッグさんは半月と提案してきた。
そこへ、トントンとドアをノックする音が聞こえ、
「失礼します。鑑定紙の準備が整いました。」
と女性の声が聞こえ、ピクッと真っ先に反応したのは中学生だった。
「では、皆で相談しながら、結論は半月後という事でいいですよ、な。」
と勇人が自分の肩を叩き笑顔で同意を求めてくるので「あぁ。」と自分が返し、会話を一度終わらせた。
では、と会話がひと段落終えたところで、イントリッグさんがスラッとした印象の地味なメイド服の様な服を着た侍女達を部屋の中に入れ、机の上に1本のナイフと5つの小瓶と紙を自分達の前に並べさせた。
そして、実演を交えた説明が始まった。
「まず始めに、この小瓶に血を一滴入れます。そして、中の液体と血が馴染む迄待ちます。」
イントリッグさんがナイフを人差し指に押し付け、血を一滴小瓶に入れる。
「安心してください。血止めの魔術がありますので、深く切ってしまっても大丈夫ですよ。」
切った指を控えていた侍女に止血させ、暫く待っていると、小瓶の液体が淡く光り始め、そこでイントリッグさんが液体を紙に振り掛けた。
「このように、液体が光り始めたところで、紙に振り掛けてください。光りが終えてしまうと紙に振り掛けても反応しないので気を付けてください。」
すると名前しか書かれていなかった紙に文字が浮かび始め、
『フィクサー・イントリッグ』
〈種族〉 「妖鬼」
〈属性〉 「土」
〈魔力〉 「C」
〈特性〉 「従者」「守護」
〈魔術〉 「自己強化」
「粘土壁」
「土創製」
イントリッグさんの詳細らしき文字が表れた。明らかに日本語ではない文字なのにその意味が理解できている自分に驚きつつ隣を見てみると、他の人達も同じ様に目を見開いていた。
「ここに書かれているのは、私の〈種族〉と身に宿る魔力の〈属性〉と〈魔力〉量。そして、この〈特性〉というのは、自身の気質や鍛えた資質などが表れます。又、この〈魔術〉は使うことの出来るものが書かれます。」
驚いている自分達を他所に説明は進んでいく、
「この後、皆様にもこの鑑定紙をしてもらい、……どうなさいました?」
こちらの様子に気付いたイントリッグさんは、説明を一度止めこちらに話を振ってきた。
「あの、この紙に書かれている文字が僕等の見たこともない文字であるにもかかわらず、内容が理解できてしまっていることに驚いてしまって……。」
自分達全員が思っていたことを勇人が代弁し、それに対しイントリッグさんが、
「そういえば、その説明がまだでしたね。では先にそちらの説明をしてしまいましょう。ソニア、こちらへ。」
「は~い。」
イントリッグさんに呼ばれ、侍女の奥から1人やや小柄な女性が出てきた。
そのソニアと呼ばれた女性は、膝まである秋の芒の様な黄金色の長い髪をうっすらと透明感のある紫色の丸い石によって腰の辺りで纏めた、やや薄い赤褐色の肌をした女性で、大きな金色の瞳を眠たそうに半眼にしており、ダボッとした服装も相まって全体的にぽけ~とした雰囲気になっていた。
「え~、アタシはドワーフ族のソニアって言います。」
「ソニアはこの鑑定紙の原型を発明した人物の曾孫にあたり、自身も研究者であり、鑑定紙の改良に大きく貢献した才女です。
ソニア、皆様に召喚時の文字理解についての説明をして差し上げなさい。」
ソニアはイントリッグさんの紹介を受け、ペコリと頭を下げてから説明を始めた。
「はい。とはいっても、“召喚の儀”の術式は未だ全てを解析出来た訳ではありません。ですが、解析出来た術式に、異世界から此方の世界に航る際に、身体に言語理解の術が組み込まれるようになっている様なんです。
又、この喋っている言葉もそちらの世界とは違うのですが、文字は形自体に意味がある場合がある為に、文字の形を残し意味だけ理解出来る術式になっていると思われます。
その為、この世界では、こうして話をしている言葉は、口に出した瞬間にお互いの言語に直接変換されていることが前回召喚された勇者の協力によってわかっています。この事象を利用して、今迄は鑑定紙の材料の性質上、鑑定紙のサイズが今の大きさより小さく出来ず、紙に組み込める術式も少なかった為、鑑定紙に〈種族〉〈属性〉〈魔力〉をひとつの項目に対し1枚使っていた物をーーーーーー(以下略)ーーーーーーとなります。術式自体は勇者が持っていた《鑑定》の術式を元にーーーーーー(以下略)ーーーーーーになる事によって「ッオッホン」……。」
そのほんわかとした雰囲気からは想像がつかないマシンガントーク、且つ徐々に説明が細かくエスカレートしていくソニアに、
周りが呆然とした表情になっている様子に、うっわーと思っていると、イントリッグさんが咳払いをして話を止める。
「ソニア、そこまでで十分ですよ。まったく貴女という人は……相変わらずですね。
つまりですね、召喚時に皆様身体に此方の世界の言語を理解する術式が組み込まれているのです。」
少々呆れ顔のイントリッグさんがソニアの説明を短く綺麗に纏めてくれた。一方ソニアはシュンと気落ちして後ろに下がり、下を向いていた。
「さて、皆様にはこの後、同様に魔力鑑定をしてもらいます。その結果を踏まえ魔術の訓練予定を組みますので、
今、部屋を用意させていますので、そちらでお寛ぎ下さい。
その後は、時間も時間ですので、御夕食を用意致します。何か苦手な食材等御座いますか?」
説明が終わり、今後の予定の話になっていきーーその結果ーー訓練は明日から徐々にしていくことになり、今日は魔力鑑定の後は自由に建物を見て良いそうだ。
いよいよ、魔力鑑定の時がきた。
「では皆様、順にこのナイフをお使い下さい。」
「ありがとうございます。」
先ず初めに勇人がナイフを受取り、中学生、レスラー、と渡っていき、最後に女性がナイフでプツッと自身の人差し指の第一関節部を刺し、小瓶に血を入れた。
自分はというと、ナイフが回ってくる前にブチッと親指の腹を噛み、血を入れていた。
ぼたっ。
予想以上に深く噛み切ってしまったらしく、血がボタボタと溢れてきたため、親指を吸っていると、その様子に気付いた勇人の傷の手当てをしていた侍女が、慌てて駆け寄ってきた。
南瓜の様な濃い黄褐色の肌で、短めのオレンジ色の髪を編み込み頭の後ろからツインテールで出した碧眼の侍女は、駆け寄って来るなり、
「なにやってるんですかっ! ほらっ!腕かして!」
自分の左腕を取り、傷口に手を翳す。
すると、ぽぅーと傷口が光に包まれていき、あれほど血が溢れていた傷がスッと小さくなっていき、最後には傷そのものが綺麗に無くなっていた。
「はいっ!できました。私は鬼族のキキュアです。治療系の魔術が得意です。でも、気を付けて下さいね。治療系の魔術を使える人は少ないんですから。」
治療を終えるとキキュアは前髪を捲り、赤く短い角を見せ自己紹介をしてきた。それから勇人の方へと戻っていき、てきぱきと他の人の傷の手当てをしていった。
……………
………
……
そして、鑑定結果が出た。
皆が自分の紙にそれぞれの名前を書き、自身の鑑定結果と名前をイントリッグさんに伝えていく。イントリッグさんは、日本語は読めないらしく異世界召喚による翻訳は自分達にのみ有効なようだった。
『ユウト・ケンザキ』
〈種族〉 「人」
〈属性〉 「光」「火」
〈魔力〉 「S」
〈特性〉 「勇者」「勇敢」
〈魔術〉 「魔法剣」
『ゴウ・ヨロイダテ』
〈種族〉 「人」
〈属性〉 「光」「土」
〈魔力〉 「A」
〈特性〉 「勇者」「守護」
〈魔術〉 「鎧装化」
「反射」
『コウ・ヤハギ』
〈種族〉 「人」
〈属性〉 「光」「火」「水」「雷」「土」「空」「闇」
〈魔力〉 「B」
〈特性〉 「勇者」「必中」
〈魔術〉 「魔弓」《レインボウ》」
『ソラ・シミズ』
〈種族〉 「人」
〈属性〉 「光」「水」
〈魔力〉 「A」
〈特性〉 「勇者」「癒し」
〈魔術〉 「治療」
「浄化」
「皆様すごいですね、魔力量は多いですし、属性が複数扱える事も凄く珍しい事です。更に、光属性は魔族に対して有効です。それに、貴重且つ強力な魔術に適性があるみたいですね。」
次々と明らかになる皆の能力を褒めるイントリッグさんに対し、
……あれ?……おいおい、これは一体?
「……どうしたの?」
次々と分かる皆の結果を怪訝そうに感じている自分に、勇人が声をかける。
「……いや、見てもらったほうが分かるよ。」
そう言い、自分の結果を見せる。
『コウキ・サラキ』
〈種族〉 「人」
〈属性〉 「土」「水」「空」
〈魔力〉 「S」
〈特性〉 「巻き込まれた者」「思考実験」
〈魔術〉 「生成」
他の皆が“勇者”の特性が現れたのに対し、自分の特性には“巻き込まれた者”と現れたのである。
しかも、“巻き込まれた者”はイントリッグさん達には読めない文字で書かれていたらしく、
「これは!?、一体?」
この結果にイントリッグさんとソニアが顔を見合わせ話し合う。
その話し合いの結果、この鑑定紙に使われている術式が前勇者の魔術を参考にしているため、という結論までしか解らないそうだ。
ここで、一旦話を区切り取りあえず、部屋へ案内されることになった。
巫衣 弥七と申します。私の妄想を詰め込んだ作品です。本来ならもっと短くしたかったのですが、妄想が膨れ上がってしまった為、前後編に分けました。