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龍ノ旅人(旧題 仮免龍神が行く!)  作者: まなしし
第3章 人間の国と勇者編
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11話 出会い

「ソフィ。なんか今男の声がしなかったか?」


「すぅ〜はぁ〜……え、男の声ですか?そういえば聞こえたような」


俺がそう言うと、渾身の一撃が決まって気持ちが落ち着いたソフィアと一緒にリリーシェが着弾した方へ視線を向ける。


すると入り口の方から銀髪をなびかせ、瞳を紅く輝かせたリリーシェが人のような何かを引きずりながら物凄い形相でこっちへ走って来た。着地の衝撃で封印がほとんど解けたようだが、まだ体のあちこちに水晶がくっ付けている。


「いきなり何すんじゃこんのクソガキィィ!!!お前なんて血を吸い尽くして眷属にしてくれるわぁ!!」


理不尽な暴力(リリーシェ視点)に襲われ、怒り心頭なリリーシェはそう言うと引きずっていたモノを俺の方に投げながら凄まじい速度でソフィアの背後に回り込み、その首筋に噛み付く


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!牙が!牙がもげるぅぅぅ!!」


が、ソフィアの悲鳴ではなく、ガキィィィン!と言う硬質な音が響いたかと思うと、リリーシェが悲鳴を上げ、口を抑えながら地面に倒れた。ソフィアが冷静に“龍気"で強化していた首筋にモロに噛み付いてしまったようだ。


「うん、“龍気"の部分展開もなかなか上達してきたな」


「ありがとうございます兄様!止まっていると出来るんですが、やっぱり動きながらだとまだ難しいですね〜訓練あるのみ!ですよ!……ところで、この人が言っていた眷属とは?」


「あぁ、まだ教えてなかったな。普通の吸血鬼は血を吸わないと生きていけないが、最上位種の真祖は空気中の魔力を取り込むだけで生きていけるようになるんだ。そんな真祖に血を吸われるとどうなるかと言うと、眷属。つまりソイツに絶対服従の奴隷みたいになってしまうんだ。長く生きている真祖ほど眷属が多くなる傾向があるが、こいつは研究バカだからいないようだな。まぁ龍人は体質的に呪い系の魔法に強いからよほど弱ってない限り効かないがな」


「へぇ〜!面白い生き物ですねぇ」


ちなみに、地球でも有名な吸血鬼の弱点である、銀、聖水、日光はこの世界の吸血鬼にも有効だが真祖には効果がなかったりする。


あまりの痛さに悶絶している吸血鬼などまるで気にせず2人でそんな会話をした後、俺は涙目になっているリリーシェにトートから聞いた話をする。


「な、なるひょど……しょれで怒っていてゃにょか……ひ、ひかひ蹴り飛ばしゅのはやりひゅぎでは?」


「確かにそうですね……分かりました、次からはもう少し力を抑えて蹴り飛ばしますね!」


「ぬぅん……」


事情を理解し、口の痛みに耐えながらも精一杯の抗議をしてみるリリーシェだったが、ソフィアに斜め上の謝罪をされて言葉に詰まってしまった。


「ぐぅ、いてて……」


微妙な空気が流れ始めたその時、突如そんな声が上がり、みんなの視線が俺の腕に集まる。


「お、気が付いたか……ってお前日本人か?どうしてこんなところに」


「あ、はい……ってうぇ⁉︎何で知ってるんですか⁉︎」


目を覚ました黒髪の少年はそう驚きながらも、俺が尋ねると自分の正体とここへ辿り着いた経緯を話してくれた。


「なるほど、勇者の訓練中に遭難か。まさか召喚されたのが日本人だとはな……事情は分かった、こちらとしても好都合だ。では先程の質問に答えよう。俺は天龍族のレイクルと言う……」


事情を把握した俺は今度は彼にこちらの事を説明する。面倒なので自分が龍神だとか転生しているとかは伏せて話す。


「レ、レイクルさんに、ソフィアさん、そしてリリーシェさんですね!天龍族ですか……話には聞いていましたが本当にいたんですね。それにしても僕達を止める?魔王を倒すのは正しい事なのでは?」


話を聞いていた彼は俺らを見渡した後何故か目を見開いて固まっていたがハッと我に返ってそう聞いてきた。そんなに衝撃的な内容だったのだろうか。


「これはただの人間族による魔国領への侵略だ。大方資源狙いだろう、お前らは騙されているんだよ。龍人族は一騎当千の異世界人にこの世界の均衡を崩されないように動いている。俺達はその中でも召喚魔法陣をぶっ壊してお前らを元の世界に返すのが主な役割なんだが……ここで会ったのも何かの縁だ。一緒に来ないか?」


俺は前から勇者に接触できないかと考えていた。説得するなら身内にして貰った方が有効だし、少しでも詳しく情報が欲しかったからだ。悪い奴ではなさそうだし誘わない手はないだろう。俺の話を聞いたノブヤは少し考えた後ゆっくりと口を開いた。


「なるほど、そう言われると確かに納得出来る所はありますね。王様達は山脈の向こう側を魔族に奪われたから何としてでも取り返さねばならないと言っていましたが、街の雰囲気は戦争ムードって感じではありませんでしたし……というか、帰れるんですか⁉︎王様達は魔王を倒したら帰れるって言っていましたよ⁉︎」


「そんな訳あるか。魔王と言っても魔族のトップって言うだけで実際ただの強い魔族だぞ。というか召喚があるんだから送還もあるに決まってるだろ。まぁ、勇者召喚は大昔に流れ着いた地球人が帰るために研究した魔法の副産物らしく少し特殊だが問題ない。だがかなり力を使うから今すぐにとはいかないぞ」


俺がそう言うと安心したのかノブヤは力なくヘナヘナと地面に座り込んだ。


「……分かりました。一人じゃここから脱出できそうにありませんし、ぜひご一緒させて下さい!!……荷物持ちくらいしか出来そうにありませんけど」


「どういう事だ?俺達がフォローするし、勇者ならすぐ成長すると思うぞ?」


「じ、実は……」


安心した顔から一変して今度は申し訳なさそうに顔を暗くして話し出すノブヤ。感情豊かなやつだ。


「異空間収納術か……なんだ、なかなか強力な異能じゃないか!!」


「えぇ⁉︎だ、だって物を出し入れ出来るだけなんですよ!!魔法だってまともに使えなくて……それでみんなに馬鹿にされてたのに」


「まぁ確かに収納術って聞くとそれしか思い浮かばないのも無理はないか、周りに馬鹿にされて余計に視野が狭くなってしまったのかもな。だがその異能は無限の可能性を秘めているぞ、日本人ならファンタジー的な発想をもっと豊かにしろ!」


そう言うと俺は彼に、その素晴らしい可能性を耳打ちした。すると半信半疑だった彼の顔が徐々に希望に満ちたように明るくなる。


「……た、確かにそれならいけそうです!!というか無意識にやっていかかもしれません。そうか、なんでそれに気付かなかったんだ!!」


「やっと気づいたか、だがそれを使いこなすには戦闘経験と高い身体能力が必須だ。ビシバシ鍛えるから覚悟しろよ!!」


「は、はい!これを鍛えてみんなを見返してやります!よろしくお願いします!!」


「よし!逆走になるが、早速迷宮攻略を開始するぞ。大丈夫、この4人ならいける。自信を持っていこう!」



最弱の勇者が強くなって再び仲間と対峙する。なかなか燃える展開じゃないか!

頭にはてなマークを浮かべている女子2名を余所にすっかり2人で盛り上がった後、俺はみんなにそう声をかけて元来た道へと向かう。仲間が一気に2人増え、まだ見ぬ迷宮に挑むと思うとワクワクが止まらなかった。

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