プロローグ
初投稿です。勢いに任せて書きました。後悔はしていない。
水中から浮かび上がるように、まどろんでいた意識が覚醒する。
「うぅ……」
ゆっくりと体を起こし目を開けると、見渡す限りの真っ白な大地と白みがかった青空が広がっていた。
「ここは……」
まだはっきりとしない頭で状況を整理しようとしていると、突然背後から声を掛けられた。
「おお勇者、死んでしまうとは情けない」
どこかで聞いたことのあるようなセリフに若干混乱しながら振り返ると、古代ギリシャ人のような服装に身を包み、大きな太刀を腰に下げた銀髪の大男が金色の瞳でこちらを見つめていた。いきなり現れた大男とその全てを見通すような瞳に身を固めていると、男はさらに口を開いた。
「お前さんは死んだのさ」
訳わかんない場所で訳わかんないオッサンに訳わかんない言葉を掛けられ、また僕は意識を失った。
しばらく経って再び意識を取り戻した。夢オチを期待しながら目を開けたけれどそんなことはなく、相変わらず白と青の空間が広がっている。例のオッサンは僕より少し離れたところに太刀を抱えて胡座をかいていた。
「お、やっと起きたか」
オッサンは目覚めた僕に気がつくと、立ち上がってこちらへ向かってきた。
「……ここはどこですか?」
混乱も少し落ち着き、僕は意を決して聞いてみる。
「ここは神界、お前さんが勇者やってた世界の神様がいるところだな」
「僕が……勇者……ッ!!」
改めて勇者という単語を受け止めた時、今までの記憶が堰を切ったように頭に流れてきた。
高校1年の夏休み、部屋でゴロゴロしてたら突然召喚されたこと。王様に魔王を倒せと言われて剣を持たされたこと。基礎訓練を終え、仲間と共に少しづつ力をつけながら魔王城を目指したこと。そして…
「そうだ……魔王と一騎打ちになって……心臓に剣を突き刺して……」
「あぁ、お前さんは魔王を倒したぞ。胸に風穴開けられたけどな」
「ということは……相打ち……?」
「そうなるな。あぁ、お前さんがやられた後はちゃんと仲間が残りの魔族を倒したぞ。お前さんが死んでみんな悲しんでたが」
「はぁ……」
勇者をやっていた時の記憶はあるが、不思議となんの感情も湧かなかった。どこか夢を見ていたような、他人事のような不思議な感覚だ。
「あの……先ほどここは神界って言ってましたが、つまりあなたは神様ってことですよね?死んだ僕に何の用ですか?」
「はぁ……って、まぁいいや、質問に答えるが俺は神だ。ここの世界のじゃないがな」
ん?ここの世界じゃない??とても気になるワードだったがぐっとこらえて続きを聞く。
「そんでもって相打ち勇者君への用事だが……」
……なんかムカつく言い方だな
「お前さんさ、神様やってみない?」
……………………は?