第6話:思い出
…でもね、あいちゃん。
さっきの言葉は、ちょっと違うよ。
「友達にしてあげたわけじゃないよ。私達が友達になりたかったんだよ!!」
そう、あいちゃんは、「友達にしてくれたのは」と言ったけれど。
私達が、友達になりたかっただけなんだよ…!
「未来ちゃん!?」
「みーちゃん!」
二人が同時にこちらの方を向く。
二人とも、驚いた表情だったけど、私には少し嬉しそうに見える。
そこに、拓ちゃんがあいちゃんに謝ろうと前に出る。
「藍っ!!」
「…たっくん」
あいちゃんの顔が一気にこわばる。
「悪かった!あんな、無神経な事言って…」
しかし、その台詞を聞き、こわばった顔は、一瞬にしてやわらぐ。
「…いいんだよ。あたしが放課後に行かなかった理由を言わなかったのが悪いんだし。」
いいところで悪いんだけど、気になったことを一つ聞くことにする。
「でさ、あいちゃんが放課後に来なかった理由って何なの?」
「うん…。それがね…」
あいちゃんは、にっこりと笑って話し始めた…。
「あたし達が、友達になった日の記念パーティをやろうと思って…ずっと用意してたの…。」
悲しそうに、あいちゃんが笑う。
「黙っててごめんね。でも、みんなを驚かせたくて…」
あいちゃんのその言葉に、拓ちゃんはよりいっそう申し訳なさそうな顔をする。
「…っ…。俺こそ、悪かった…。そんな理由があったなんてよ…」
そして、二人はお互いにだまりこんでしまう。
そこで私は、みんなにある提案をする。
「…じゃぁ、あいちゃん。もうパーティの準備は出来てるの?」
「あ…、うん。だいたいは。」
あいちゃんの答えは、私の提案にとってとても助かる答えだった。
「じゃぁさ、これからやろうよ!仲直りの記念もかねて!」
私の提案に、あいちゃんはぱぁっと笑顔になってくれる。
「う…ん!そうだね!!」
***
そのあと、私達は友達になった日の記念パーティと仲直りパーティをやった。
記念パーティでは、みんなが今までで一番印象深かったことなどを話して盛り上がった。
例えば、
「みんなで海に行ったとき、思いっきりカニに指挟まれてるヤツがいたよなー」、とか。
指を挟まれていた本人は、斜め上方向をじぃ〜っ、て見てたけどね。
あとは、
「雪が降ったときに、雪だるまをつくるか、かまくらをつくるかで口論になって、取っ組み合いの喧嘩にまでなったよなー、ああ、懐かしい」とか。
そう、しみじみと言っていた本人も、取っ組み合いの喧嘩をしていたような気がするんだけど…。とは思ったけど、そこで言っちゃぁまずいことになりかねないから。
で、その結果。
かまくらの上に雪のたまをのせることになりました〜。
でも。
重量オーバーで、かまくらまでつぶれちゃった。
…という、悲しい思い出とか。
その次は仲直りパーティということで、仲直りに関しての約束をひとりずつ言っていくことになった。
まず、私の番。
「じゃあ、約束しよう!!これからは、絶対に喧嘩しない!したとしても、必ず仲直りする!!」
次に、みおちゃんが言った。
「放課後来れないときは、しっかり理由を伝える!勘違いがないように!」
拓ちゃんが言う番だった。
「仲間と過ごす時間を大切にする!たとえ、これからその時間が減ってしまうとしても!!」
あいちゃんの番。
「仲間を一番大切にする!仲間がいなくなることって、つらいことだと思うから…。」
最後に、ひろちゃんが言った。
「仲間がいる幸せをかみしめて毎日を過ごす。絶対にそれを忘れたりはしない!!」
***
私が、ある話題を切り出した。
「ねぇ、みんな。聞いて、くれるかな?…拓ちゃんと、あいちゃんが喧嘩した次の日からかき始めた曲があるんだけど…。」
そう言って私はパソコンを取り出す。
そして、曲をかける。
この話題を切り出したのには、ある理由があったからだ。
この曲には、私のあの灰色の日々の思いが詰まっている。
友達が居ることの喜び。
友達が一人居なくなることの悲しみ。
友達と過ごした日々。
それは、どれほどまでに輝いていたのかを。
それを、みんなに知ってほしくて、作曲したんだ。
「題名は…“あの、夏の日の思い出。”」
やっぱり小説を消すのやめました。
なんとなくもったいなくて…
7話は消させていただきました。
この小説もここで完結です。更新予定は、ありません。
読んでくださった皆様、そしてアドバイスをくださったMさんとMさんとSさんとRさん。
ありがとう。みんなみんな大好きだ。