お風呂の時間とこれからに想いを馳せて
気紛れに書いた短編が好評だったおかげでこの小説のブックマーク数が50件越えました!
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食器を片付けたところで、パウルが来ました。
「あーいたいた咲夜。ちょっと、こっち来て」
そう言うや否や腕をつかまれて引っ張られて行きます。
「イッ、イテテテ。ちょっと、どこまでいくんですか!?」
「すぐそこだよー……あ、着いた着いた。ここだよ」
食堂を出て2、3分歩いた所のドアを開くと脱衣所と、2つドアがありました。
「んとね、村に滞在する人のお風呂とトイレだよ。着替え置いてるから、着替えていいよー。脱いだ服は魔法使ってキレイにしとくから。お風呂が左で、トイレが右だよ、そいじゃごゆっくりー」
え、そのまま放置ですか!?……まあ、いっか。
服を脱いで、カゴに入ってたタオルを持って右のドアを開けると、確かに木でできたお風呂があり、シャワーが4つありました。
シャワーに近づくと何か書かれています。なんでしょう?
丸い円が書かれている中に大きく一文字で『水』と漢字で書いてあります。その周りにも字が書いてありますが……これ、アルファベット?
観察しているといきなりドアが開きました。
「ごめん、ごめん。使い方説明するのすっかり忘れてたよ」
「んぎゃあぁぁああ!!あ、開ける時にはノックをするか、声をかけて下さいっ!!!」
流石に5歳の体でも、全裸は見られたくありません!だけど僕の叫びはスルーされ、パウルはそのまま入ってきました。何故だか、リツも一緒にいます。
「ここの道具全部、魔力で動かすんだよ。魔方陣あるでしょ?そこに魔力流してねー」
ハア…怒っても無駄なのがよおく分かりました。それよりもこの落書きっぽいの魔方陣だったようです。
……魔力足りますかね?
「あ、魔力はちょっぴり流せば蛇口捻るとお湯出るようになるからー。お風呂のお湯は今溜めてあげるよ。」
魔力が足りなくて倒れる心配がなくなってホッとしました。
パウルが空っぽのお風呂に両手を翳すと、一瞬で水が満たされました。ふわぁ、こんな風に使えるようになりたいなあ……
お風呂をいっぱいにした後、もっとビックリする光景を目にしました。
「ホワアァァアア!?て、手が、手がどこに消えたんですか!?」
「ん、なに?あ、そっか『ボックス』知らないもんね。ちょっと待っててよ。……あったあった。これこれ」
そう言って空中から両手サイズの赤い石?を取り出しました。石からは火の魔法を使った時と似た魔力を感じます。
「さっきのは無属性中級魔法『ボックス』物の出し入れが出来る便利な魔法だよ。ボックスの中は時間が経たないから食べ物が腐ることもないよ。ただ、『ボックス』の大きさは個人の魔力量で変わるってペーターが言ってたんだ」
あれかな、ネコ型ロボットのポッケやよくある魔法の袋みたいな感じですかね。
「そんでコレはねー火属性の魔力を溜めた魔石なんだ。あったかいからこのままカイロ代わりにするときもあるし、こんな風にも使うよ」
パウルがお風呂に魔石を入れて魔石に触れていると、魔石の魔力が広がっていくのが分かります。
いつの間にかお風呂から湯気が上がっています。恐る恐るお風呂に手を入れると、ちょっと熱いお湯になっていました。アチチッ。
「こんなもんでいい?」
「ハ、ハイ……それにしても、魔法って本当に便利ですねえ」
ボクが答えると、パウルは魔石をお湯から取り出して水気を飛ばしてから『ボックス』にしまいました。物が消えるのはやっぱり不思議ですね。
「僕たちはこれが普通だからよくわかんないや。後は大丈夫だよね?そいじゃ、今度こそごゆっくりー」
「あ、はい。ありがとうございました」
パウルはそういって出ていきました。さてと、まずはリツをキレイにしましょうかね。
シャワーの側に木でできた容器があったのでそれが石鹸だと思うので、手に取ると「body」と書いてます。
………ま、まさかそんな訳ないですよね。もう1つの容器を見てみると「head」と書いてあります。
はあ、もうビックリするのに疲れましたよ。なんで異世界なのに『英語』があるんですか……
いやいや、前向きに考えましょう。英語が使われてるって事は、日常会話は分からないけど、道を尋ねる位の会話はギリギリ出来るって事だから良いことなんだよ!
ありがとう、義務教育!!帰ったらもっと真面目に勉強します!
リツに小さくなってもらってボディソープを泡立ててワシャワシャ洗います。朝キレイにしてもらったからか、そんなに汚れてませんね。リツも気持ち良さそうにしてて良かったです。さて、泡を流しましょうかね。
シャワーの魔方陣にちょっとだけ魔力を流すと、結構な量のお湯が出てきました。どんな仕組みなんでしょう?後でペーター辺りに聞いてみますか。
リツの泡を洗い流し、自分も体をパパッと洗って一緒にお湯に浸かります。ふい〜極楽、極楽♪
リツはスイスイお湯の中で泳いでいます。うっわあ〜カッワイイなあ〜
リツで和んでいたらドアの向こう側から魔力を感じました。あれ?誰か魔法使ったのでしょうか。
気になったのでお風呂から出てドアを開けると、ポルンとペーターがいました。
「2人とも、何してるんですか?」
「一時間経っても出てこないから様子を見に来たんですよ。長湯で倒れても運ぶのに大変ですから」
「ソレハドウモ……じゃなくて、魔法使ってましたよね?それが気になったのでお風呂から上がったんですけども」
「……え?魔法使ってないよ」
「あれ?じゃあボクの勘違いですかね?………フェックショイ!」
うう、冷えてきたので早く着替えましょう。置いてあるタオルで体を拭いて服を着終わると、リツが体を震わせたので水が飛んできました。冷たっ。
「あ、2人とも乾かしてあげるね」
ポルンが手を振ると魔力が動いて暖かい風がブワッと吹きました。髪の毛やリツの体が乾いてビックリです。
「ポルン、ありがとうございます」
「どういたしまして」
お礼を言い終わると、ペーターから驚きの発言が
「もしかしたら、君は魔力探知が優れてるのかもしれあせんね。それなら『魔法を使った』という勘違いも説明がつきます。魔力探知は生き物の位置や魔力量、属性が分かるので便利ですよ。これに関しては鍛えれば魔力を持つ生き物がいる位しか分からないので、最初から魔力を感じられるのは凄い事です。」
えーと、つまり熱探知機みたいなものなのかな?違うかな?
「ま、とりあえずこの事については後にしましょう。君も水分とって休んで下さい。これはトゥッタさんからもらったミルクです」
そう言ってペーターはガラス瓶を取り出して渡してきました。
牛乳飲むならこうでしょう!腰に手をあて、グイッと一気に!プハアー上手い!
「いい飲みっぷりだねー瓶片付けるよ。」
「はい、お願いします」
「うん……2人ともお休み。また明日ね?」
「お休みなさい。倒れたんですから気を付けるようにして下さい」
「はい、お休みなさい」
「ワウッ、ワウッ」
ポルンもペーターも行っちゃいましたし、ボクも部屋に戻りましょうか。
部屋に戻ると月の光で部屋が淡く照らされていました。窓から外を見ると村の様子は見えませんが、空はハッキリ見えます。日本ではプラネタリウムでしか観れない満天の星空に、昨日とは違って重ならずにちょっとズレた大小2つの月。……現実とはかけ離れた美しさですね。
――思うのは、自分の大切な人たちの笑顔
「……ねえ、リツ。ボクは直ぐじゃないけどつらく厳しい先の見えない旅に出ます。途中で死ぬかもしれない危険な旅です。無事に目的が果たせてもそれはこの世界からいなくなるという事です。……期限付きですけど友達として、相棒として一緒にいてくれませんか?」
黙って聞いてくれていたリツは大きくなって、ボクの側により優しく顔を舐めて、尻尾で優しく撫でてくれます。
「!……ありがとう、リツ」
今日も色々な事がたくさんありました。帰れないと言われ反発しましたし、ちょっとだけこの世界の勉強をしました。文化の違いも知り、言語は同じ事が分かりました。
そして…………魔法。空想の産物でしかないと言われたものを自分が使えた時は凄くビックリしたけど、嬉しくて本当に楽しかったです。使用直後に倒れちゃいましたけどね。
生きる為にも、帰る為にもそして皆の厚意を無駄にしないためにもこれから一生懸命頑張りましょう、オー!!
最後の方はちょっとしんみりしました。誰かがいると頑張れる時ってありますよね。
次回、新たな出会い!?
出会う「モノ」とは果たして何でしょうか!




