表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

アイルランド教会

アイルランドは英国グレートブリテン島の横にあります。アイルランドが英国と近いために昔から両国に争いは絶えることがないのでございます。


世界史を紐解きますとアイルランド島全体が英国になっていたり北部だけが英国だったり。かなり厄介な両国でございますね。喧嘩ばかりしてますなあ。


拙僧は日本の本山本部からの同期がアイルランドに行きなさいと指令を出すものですから首都ダブリンに向かうところとなりました。


ダブリンは"水溜り"の意味になるそうでございますね。なにやらダランとした感覚に思いますがどうでしょうかね。拙僧のようなチャランポランな男には最適な街かもしれませぬまずは行ってみよう。


拙僧ロンドンから飛行機でアイルランドのダブリンと思っていましたがなんと陸路でございました。


ユーロラインバス(国際路線バス)でトロトロと夜行で行くことになりました。ロンドン-ダブリンのバス旅行でございます。


おっとバスなのかちょっとご説明をいたしましょう。ロンドン-リバプール(港)-ダブリンと途中にリバプールを訪問しなくてはなりませんからですね。リバプール聖堂に拙僧は教義に参ります。


「リバプールと言えば」

拙僧はザビートルズでございました。あの世界的に有名な4人がリバプール出身でございました。


曹洞宗の学校在学中ではロックバンドを組み(笑)拙僧は木魚の乱れ打ちをいたしました。木魚も大小種類がありますからね。曹洞の木魚ドラマーと呼ばれリンゴスターになっちゃいましたね。得意はイエローサブマリン。人気はあまりなかったですなあ。袈裟のままお釈迦さまの前でやってしまったのがまずかったかなイヒヒっ。


さてリバプール聖堂で厳かな気分になりました。知っておりますか?リバプール聖堂ではあのポールマッカートニーがオコチャマ時代に声楽隊に参加をされてございます。讃美歌を歌ったそうでございます。敬虔なるカソリック信者ポールマッカートニーでございましたね。改めて拙僧は尊敬したくなりました。


さてカソリック信者になりましたらいよいよダブリンでございます。アイルランドの水たまり、ダブリンに進行でございますよ。夜行バスは海をフェリー航路を使い行きます。


今のアイルランドのダブリンは芸術の町文化の交差点となっております。


全世界にその名ダブリンを発信でございます。


中心はTempleBar(テンプルバー)。それでございます。


拙僧はテンプルバー=お寺の酒屋さんかと訳しており、

「ダブリンのカソリック僧とアイルランド僧侶が居酒屋経営しているのか。宗教活動しながら啓蒙や啓発に力を入れてその挙げ句が芸術や文化の発信に繋がったのか」

などと解釈いたしました。ケェーまったく違っていましたなあ。ガッカリさんでございます。


アイルランド宗教はカソリック。

あの英国のヘンリー8世が宗教改革を英国だけでなくアイルランドダブリンにまでヨイショヨイショと広めて参りました。16世紀のことでございますね。ダブリンはそれまではアウグストゥス宗派修道院(アイルランド独自)でございましたからかなり混乱を来たしましたね。ヘンリー8世はなんせ強引なおっちゃんでございますからやれと命令したら梃子でも動かない。体重もかなりありますから動かすのは至難の業でしょうなあ。


アウグストゥス修道院を退かしたら英国からサー・ウィリアム・テンプルという高官がこのエリアを支配することになりました。あらまアイルランドだけど英国領でございますね。そりゃあ混乱しますなあ。


サーウィリアムテンプルはこの地(川の南)に交易の関税を作って数多くの国際的な交流を持っていたようですね。


街も流行りました。行く人来る人国際的なもの。ゆえに文化が栄え交通の要所になったようでございます。交易のために倉庫が作られ人夫が多数必要となり取引のための商人も集まる。商店街が発展をしたしだいでしょう。


ところが後に税関は川の南から移転をされてしまいサーウィリアムテンプルさんの土地は錆びれてしまいました。交易のために人がまったく行き来しないからでございます。


1960年代には川南のテンプルバー所有エリアの倉庫跡や商店街跡にポツポツと人が住みつき出して来ます。空き家に住みついて音楽を奏で絵画を描きと芸術を始めたわけでございます。単に場所を提供しただけのことですけどね。この時代あたりから芸術の街テンプルバーに様相が一変したというしだいでございます。


今ではなんとノーベル文学賞もテンプルバーから輩出しています。たいしたもんだなあ。

「ノーベル賞をイエーツが獲得したことから世界の芸術さんがテンプルバーに行ってみようかになりました」

聞くと日本からも大学教授クラスが学術研究のためにわざわざやってきているそうです。まあ拙僧は芸術と美女には無関係ですから立ち入った内容はわかりません。


拙僧は夜行バスに揺られはるばるダブリンバス場に到着いたしました。

「夜行とは疲れますですね。ああ腰が痛いなあ。さてここで拙僧はアイルランド教会の方を待ち合わせいたします。英国教会はケイトみたいなとびきりの美人女子高生がアシスタントだったからなあ。アイルランドも期待したいなあ」


アイルランドは美人が多い国でございますからね。そうそうダブリンからちょっと北にいかれたエリアにはボイン渓谷なんかがございますね。ボインでしょうね、たぶんボインだろうなあ。行きたいなあ。


そうそうアメリカ合衆国は移民の国でございます。その移民の大多数が英国はメイフラワー号に搭乗してバージニアに最初渡ったわけでございます。その後にも様々に移民はアメリカ大陸に渡りましたですね。その移民の大半をアイルランド系がしめたんでございます。


1840年頃にはアメリカの北も南も含めて50%以上がアイルランドだったらしいですね。今は約15%ぐらい。有名なアイルランド系アメリカ人は第35代ケネディ大統領。ジョンFケネディ大統領は現役時代にアイルランドのダブリンを訪問して満の聴衆から拍手喝采だったでございました。ブラボー我が郷里の英雄ケネディが大統領に出世したあっですね。


現在のジョージブッシュ大統領もアイルランド系でございます。こちらも同じくアイルランドはダブリンを訪問されたそうですがあまり評判は芳しくはなかったらしいでございますね。

「アチャアチャアでございました」


拙僧はアイルランド教会の方を待ち合わせでございます。

「なかなか姿見せてこないなあ。時間があるからアイルランドについてネットで検索しようかな」

とバスステーション近くインターネットカフェを探してみました。アイルランドはユーロ通貨ですから楽ちんでございます。


ちょっと歩いたらカフェはありました。拙僧さっそく入ってみます。アイルランドもそうですが欧州のパソコン環境は日本語対応になっていますね。まあ拙僧は英語も大丈夫ゆえに不自由はありません。(笑)


さっそくパソコンに向かいます。曹洞サイトを開示して拙僧のメールチェックから。

「アチャアチャアなんや」

拙僧の個人サイトに本山本部の同期からメールがありました。

「悪い悪い副主官どの(拙僧)。アイルランド行きの日程一日間違ってしまった。悪いからサァ一日ボサッとその辺りで暇潰してくれないか。明日になればアイルランド教会が迎えに行くから。ホテル代は後から請求してくれ。いいだろ一日休みが出来たと思ってくれよ。まずは業務連絡だけ」

なんたる無礼!だから同期の指令は嫌でございます。拙僧またまたダブリンの街で腹が煮えくりました。


まあ怒ってばかりでも芸がありませんからダブリンを市内観光致します。

「噂のテンプルバーに行きたいなあ。地図見たら歩いて行けないこともないですなあ」


トボトボとテンプルバー(河の南岸)目指し行きました。ダブリンはロンドンと異なり少しのんびりした街でございますね。街は英語の文化圏ではありますが英国人と違う雰囲気があります。なにやら老紳士の気品のような。古ケルト民がいらっしゃるというべきか。


テンプルバーエリアはすぐわかりました。商店街がゴチャと詰まった形でございました。パブがかなりあります。

「こりゃあ僧侶の居酒屋だぞ」


テンプルバーの入り口には看板が掲げられ目指す店やギャラリーがすぐわかるでございますね。

「拙僧はどれを見るかな。芸術には疎い拙僧でも楽しんでいけるモノはなにかな」


看板は美術・画廊・ライブハウス・映画館・アミューズメントパーク・歌劇など。商店街はそれらのビルに乱雑に入居しております。

「わけわかんないから1丁目から順番に行きましょう、ハハ」

1丁目はギャラリーでございます。現代アートギャラリーはアバンギャルドな絵画がズラリでございます。

「見ているだけで頭がクラクラしてまいりますね。目が回るやあ」

拙僧頭を傾げながら絵画を鑑賞していましたらギャラリーの女店員がにこにこしながらやって参りました。

「どちらの絵画がお好みでございますか?」

拙僧は買い付けのお客さんに見えたようでございます。

「いやあちょっと見ているだけでございますから」

なんて言いながらギャラリーを出て行こうとしますと。

「あの仏教系の和尚さま(プリースト)でいらっしゃいますか」

拙僧の袈裟姿を見てでございます。さよう日本から参りましたと返事いたしましたら、

「和尚さま。しばらくお待ちください。只今ギャラリーのオーナーを呼んでまいります。どうぞゆっくりなさってくださいね。あのお茶は紅茶ですか、珈琲でしょうか」

拙僧急に待遇がよくなってしまいました。気を付けていないと高い絵画を買わされますぞ。安くても10万円ぐらいでしょうしね。

「うん?ちょっとちょっと100万円でございました。アヘー」


待たされて遇いましたギャラリーオーナーは絵描きさんでございました。細身の芸術家タイプでしょうね。

「おおわざわざ遠い東洋からアイルランドにいらっしゃいました。よく我がギャラリーに来てくださいました。さあさあゆっくり絵画を見て行ってください。お気に入りがありましたら遠慮なくおっしゃってくださいね」

拙僧は出された紅茶を飲みながらオーナーの説明を聞きアバンギャルド絵画を鑑賞でございます。

「アバンギャルド絵画を一枚買って本山に送ってやろうかなでございます。あの同期に売りつけてやろうかなあ、アッハハ」

一通り説明されましたら

「和尚さまひとつお願いがあります。その東洋の仏教服(袈裟)をデッサンさせていただけませんか」

なんと拙僧をデッサンしたいとおっしゃる。うへぇ、嬉しいでございますね。


さっそくポーズを決めてオーナーに描いて貰うことになりました。いやあ照れますなあ。曹洞のキムタクの拙僧ですから。

「うん?何か質問でございますか」


デッサンされながらアシスタントの女性があれこれオーナー(画家)のことを教えていただけました。アイルランド画家の中でもかなり有名画家さんだそうでございます。アバンギャルド作風だそうで肖像画すらも嵐か台風かのごとく描き出すそうでございます。

「さあ和尚さま。出来上がりました。東洋の神秘はアバンギャルド作風に適していますね。簡単なスケッチですが後に絵の具を入れ絵画に仕上げてみたいですね」


バァーン!拙僧キムタクとご対面でーす。

「アガ!なんじゃあ」

スケッチにはなにやらタコがグニャアと座っているようなものでございましたね。なぜ拙僧がこのようなタコになるの?はてはてわからんなあ。次に行こう。


テンプルバー2丁目に拙僧は向かいます。美術関連のストリートからライブハウスに行こうかなと思います。

「拙僧は木魚乱れ打ちを得意とするロックンローラーでございます。よし燃えるぞぉ」

ライブハウスはかなりの数ありますね。

「どれにするかな。出演バンド名はハウスの看板にはあるのですが名前を見てどんなバンドかはわからないでございます」

店の外に出ているアンチャンにどんなバンドが出演かなと聞いて一軒入って見ましたでございます。ソフト&メローなロックだと言いますね。では入場料を払いライブハウスのドアを開けたらでございます。

「ゴワアー!やかましいなあ。ウグッ、拙僧心臓が止まりそう。助けて〜」

大変なロック騒音でございました。ビルの工事現場の騒音と飛行機騒音でございましょうかね。慌てて拙僧は退散でございます。まるで大怪獣ゴジラの出現みたいでしたね。ああっやれやれでした。


拙僧心臓がひっくり返ったところで宿を決めもう休みたくなりました。

「地図だと近くに観光案内があるはずでございますね」

ちょっと歩いて発見致します。インフォメーションのビルに入ってみたら観光客がわんさかでございます。気になるのは日本人観光客の多いことです。聞くとロックグループのU2の宿に泊まりたいとの希望が大多数だそうでございます。ハア〜


翌日拙僧はアイルランド教会の方と無事にお逢いしました。若い女の子を期待しましたら老紳士でございました。


こうしてダブリンの本部に到着でございます。協会ではカソリックの教義を少し講義いただいて後は拙僧の出番となります。


アイルランドは世界でもっともキリスト教会(カソリック・プロテスタント・正教)に崇拝をする国民として有名でございます。拙僧も心してお釈迦さまの心、道元禅師の教えを伝えて参りたいと張り切ります。


ダブリンは大学とアイルランド教会を回り後は地方講演でございます。いずこの教会も信者の皆さん真剣に拙僧の教義を聞かれこちらも熱が入ります。頑張りますですよ。


地方講演は拙僧ボイン渓谷に行きたいなあと思っていたんですがボインには教会がありません。あらあッがっかりさん。


ダブリンから南西に進むとリムリクという片田舎がございます。リムリクは湖水地方としてアイルランドの観光地になっています。湖ばかりそこらここらにあるんでございますね。日本ならば富士五湖でしょうか。

「和尚さまリムリクにはちょっとした噂があるのでございますよ」

アイルランド教会の事務はソッと耳打ちでございます。

「噂?なんでございますか」

湖ばかりだから若い娘が身投げされて化けて出るとか。ゾッとしますなあ。


リムリクのカソリック教会は森と湖の中にございます。その教会はまるで森の妖精が出迎えてくれそうなものだそうでございます。白雪姫と7人の小人たちでしょうか。


拙僧は教会の事務さんと二人で向かいます。その場所というのがリムリクの奥も奥でございます。アイルランドには山岳新興はないのでございますが森や自然は崇拝しているようでございます。湖畔の教会はなにやら由来を見ましたら、

「湖の(あるじ)の怒りを沈めたまえと書いてありますね。この湖になにかあるじさんがいらっしゃって悪さをしそうな感じ雰囲気でございますね」


拙僧は湖面を眺めながらなんのことかなとちょっと疑問に思う程度でございました。湖はリーン湖と村では呼ばれております。


夜は教会でミサが執り行われキャンドルの炎が鮮やかな教会でございました。信者さんは皆さん敬虔な気持ちになられキリストさまも幸せなところでございます。キャンドルの中最後に拙僧が教義でございます。拙僧もミサの厳かな中でアーメンを唱えながらお釈迦さまを説いて参ります。しかし線香と日本のろうそくがないと雰囲気が出ませんなあ。


教義の後はリムリクの子供たちにちょっとした質問攻めでございましたね。日本はどこにある、なぜリムリクまで来た、寿司は旨いのか。拙僧の袈裟は人気でございました。よく後ろから引っ張られました、アッハハ。意味が違ってますけどね。


さあ夜です。拙僧はリムリク教会の二階に部屋を取っていただいて事務さんと仲良く就寝でございます。事務さんはかなりの年輩でございます。

「和尚さま。このリムリク教会の存在の意味はわかりましたでございますか。こんな森と湖しかないようなところにある教会」

夕飯をいただきお互いにシャワーを使いベッドに入っての頃でございました。


事務さんは話を続ける。


リムリクの湖水地方は今でも大自然が至るところに残りアイルランド国立公園になっている。その自然を保護をするために出入り禁止エリアを設けてもある。

「さらに禁止区域の意味がもうひとつあります」

事務さんはさらに声を秘そめて拙僧に言います。


なんでもリムリクのこのリーン湖には(あるじ)がいるというのが禁止区域に関係があるようでございますね。

「和尚さま。子供のような話だと私を笑いなさるな」

事務さんは真剣な眼差しで拙僧を睨みつけました。はて?なんでありましょうか。事務さんは若い時にこのリムリク教会のミサに参加をされて今宵の様に敬虔な気持ちでベッドを取り就寝されたそうでございます。


そして深夜になりました。ベッドの中で寝ていたらリーン湖の方から何かザワザワと。そう何かが湖面を泳ぐ水切り音がしたと言います。その音がやかましくなったり消えたと思うとまた聞こえたり。


深夜に魚がザワザワと泳ぐのはなにか不吉なことの前兆かとついには目が冴えてしまいました。


そこで月明かりを頼りにして湖面を見に部屋を出たそうでございます。月明かりは湖面を照らし充分な明るさだったそうでございます。


しばらく湖面を見ていたらザワザワと泳ぐ音が近くに参りました。ああ魚が泳いでいるなあ、でっかい感じだ。


月明かりの下を泳ぐ魚は近くに来るとなんとその姿を現しました。立派な背鰭があってとてもでっかい魚でしたね、で、ではありません!ありゃあ魚じゃない。


それを見た瞬間に腰が抜けたそうでございます。

「で、出たあ。大怪獣だあ」


ハア!拙僧は話を聞いて返事に困ってしまいました。

「リーン湖に怪獣がいるのですか。怪獣と言いますとゴジラかな」

事務さんは見たそうでございますね。その怪獣目撃談は誰も信じてはくれなくて大変つらいとか。


で今夜はよい機会だから拙僧と湖面に行き怪獣を見て見ましょうと言い始めたわけでございます。このリムリク教会は湖の怪獣の怒りを鎮めるためにあるのだからとか言い出してしまいました。


拙僧の教義の中に民の暴動を鎮めるためを説いていますからそれを拡大解釈されているようにも受け取れます。


しかし拙僧は勇気を出して怪獣を見ましょう!


深夜に怖い思いをしながら湖面を見ております。時折風が吹き月明かりは暗くてちょっと期待できません。水切り音ぐらいならわかるかなと耳を澄ませてみました。

「なんにもないでございますね。ザワザワと泳ぐ魚もいないようでございます。風で森が騒がしいくらいでございます」

半時間ぐらい湖面を眺めておりました。が何もありません。拙僧たちは諦めて部屋に戻りました。


眠いなあっ。とさっさとベッドに潜り込んでしまいました。時計は深夜の2時でした。


その時でございます!確かにザワザワと何か泳ぐ音が湖から聞こえました。異様な音、何か大きい魚がザワザワと泳ぐ感じでございます。

「ワアッ、いたのか怪獣!よし見て見ましょう」

拙僧目をギンギンに開いて部屋を出ました。事務さんも同じで張り切りついて参りました。


外は風が強い様子。森の木は異様に揺れ動きいかにも何か出て来そうな雰囲気でございます。怪獣映画にはかようなシーンがありますね。風が吹き荒れ怪獣が出現して村の民を食べちゃう。

「怪獣が出て来ると怖いなあ。拙僧は食べられてしまうのかな。拙僧は脂身ばかりで美味しくないでございますですよ」

かなり足はブルブル震え始めてしまいました。

「だって怖いんだもん。お化けや怪獣あまり好きではないなあ。好きなのは井上和香だけでございます」

湖面を割り怪獣なのか魚なのかザワザワと泳ぐものが現われました。体長は4メートルぐらいはありそう。刺身にしたら美味しく頂けますか。

「お魚にしては大きいから怪獣でございますね。しかし月明かりが暗くボンヤリとしか見えません。鯉のでっかいやつに見えなくもないでございますね。魚は魚でしょう」

ともかくリーン湖の怪獣が出現しましたから拙僧は両手を合わせ念仏を唱え始めます。この怪獣が暴れたりしないように一心に祈って参ります。仏の心を怪獣に伝えておかなければなりません。


怪獣はザワザワザワザワと拙僧の近くを泳ぎやがて湖に消えたようでございます。祈っていた拙僧は汗ビッショリでした。いやあ疲れました。


朝のリーン湖は物静かなものでございました。鏡面の湖でございましょうかね。昨夜のざわめきは一体なんでございましょうか。拙僧改めて読仏をいたしましてリーン湖をリムリクを離れることに致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ