1.片頭痛からの異世界
「痛すぎる。あ〜、やっぱり。台風かぁ」
仕事から帰宅し、付けっぱなしにしていたテレビから天気予報が丁度流れてきた。
「飲みたくない」
痛み止めを毎回飲むのも身体に悪そうだし。
「でも、痛すぎる」
今夜は特に酷い。
諦めた椿は、薬を飲んで暫く落ち着くまで転がろうと、スーツのままソファーに倒れ込むように横になった。
✢〜✢〜✢
『おーい』
なんか聞こえる。
『おかしいなぁ、そろそろ目覚めていいはずなんだけど。おーい』
おいおい煩いなぁ。私は、そんな名前じゃないし。
「おーい、そろそろ起きないとカラカラに干からびるぞー!」
「ちょ、グラニー先生、そんな耳の近く大声駄目ですよ!」
バチッ
遠くから聞こえていたはずの声が、いきなり耳元で響き、その大きさに耐えられず目を開けた。
「やっとお目覚めか」
目の前には濃いイケオジが。その隣には、十人中九人は可愛いというであろう、大学生くらいの金髪碧眼の青年が、心配そうに私を見ている。
「え、どういう事?」
全く理解できない。私は、仕事から帰宅し頭痛薬を飲んでソファーにダイブしたはず。
「えっと、何もわかりませんよね。まず、此処は安全な場所ですが、聖女様のいた世界ではありません」
落ち着いて〜と青年がなだめてくるが、そもそも混乱しているだけで、キレてはいない。
「ちょ、ちょっと待ってください。えー、此処は私の家じゃない」
イエスと頷くイケオジと青年。
「で、日本じゃない」
うんうんと青年は嬉しそうに頷きが増えた。
「で、せいじょ?とは」
ピシッ
二人は指差しはしないものの、それぞれ指先を私に向ける。
「あのな、あんたは死んだんだよ。で、ウチの女神様が引き抜いたわけ。あんたからすれば、死んで異世界に来たわけよ」
「ちょ、先輩!言葉を選びましょうよ!」
青年が、一生懸命イケオジにアドバイスをしている図を見ながら、更に私は困惑していた。
「ほら、元の世界での今のあんただよ」
イケオジが、顎で示さした空中に、突然デカデカとスクリーンが映し出され、そこにはベッドに、シャツが出だらしない姿でいくつかの管につながれている私がいた。
「え、私って死んだの?」
「だから、さっきから、そう言ってるだろ?やっと理解したか」
イケオジのヤレヤレという仕草を横目に見て、私は、再び眠りに、いや気を失った。




