婚約破棄したいのですよね?
婚約破棄はどこか遠い世界で起こる、一つの事象だと思っていた。
一部の特殊な事象として、婚約を理不尽に破棄された人には同情します。
ですが、やはり稀なケース。
それでも大半の婚約はその通りに遂行される、はずですわ。
でなければ、婚約することの価値すらも失われてしまいます。
私にも婚約者が存在しているのだけれど、まさか。
まさかそんな展開あるわけ無いじゃないですか〜。
相性バッチリなんで、そのような心配は一切無用です!
そんな感じで婚約破棄自体は、どこか他人事のように思っていた——けれど。
風向きは不意に変わっていった。
追い風は一瞬にして向かい風となって、状況は一変する。
多数の要人が集まり衆目に晒される中で、婚約者は意気揚々と宣言した。
「シルエスタ——お前とはもう終わりだ。婚約を破棄させてもらう」
ついには自分自身が婚約破棄される立場となってしまっていた。
パーティーに集まった参列者から動揺が走る。
彼らの表情は婚約破棄された私を嘲笑っている、というわけではなく皆一様に目を見開いて狼狽えているように見えた。
そして婚約破棄を宣言したヘルティア王国の王太子エリュンは一人の女性を呼び寄せ、会場の内の人たちに紹介する。
「名はメルウィーナだ。この方を新たな妃として迎え入れる」
「とても嬉しく存じますわ」
メルウィーナの腰に手を置き、自らに引き寄せ仲睦まじく密着。
彼女もされるがままに受け入れ、恍惚とした表情でエリュンを見つめていた。
「そんな…….私はこんなにも愛していますのに……」
「ふん、誰が人の域を超えた化け物と一緒になるものか」
「そ、それは……魔法についておっしゃっておいでなのですか……?」
「——それ以外あるまい」
がっくりと肩を落としていたが、その姿を高い位置から見下ろすメルウィーナと視線が交錯する。
目が合ったことに気づいた彼女は、すでに勝ち誇ったような笑みを浮かべ私を見下していた。
「………………」
※ ※ ※ ※ ※
ふと、彼との過ごした日々に思いを馳せる。
エリュンと初めてお会いしたのは幼少の頃だ。
元来、私の家系は侯爵家の地位を有し、お父様のアルドラ家とエリュンのお父様であるヘルティア王とは立場上の親交があった。
「エリュン様——よく見ていてください」
その当時の私にとっては、お父様の付き添いでしかなかったのだけれど。
エリュンに対して、ある特技を披露して遊んでいた。
「お初にお目に掛かります。私がヘルティア王国第一王太子——エリュン・ヘルティアです」
「えっ、ボクが……目の前に…………」
姿、形をあらゆる人物へと変化させる変身魔法。
幼少から魔法の才に恵まれ、すでに頭角を表し始めていた私は身につけたばかりの魔法ということもあって、浮かれ気分のまま嬉々として披露していた。
「——す、 すごいっ……! ほんとにボクにそっくり!」
「喜んでいただき何よりです。ご所望とあれば、またいつでもご披露させていただきます」
ペコリと、終始目を輝かせていたエリュンに頭を下げる。
予めお父様からも陛下のご子息と仲を深めるようにとの言いつけもあり、掴みの一芸として実行してみたが上手くいったようだ。
無邪気な子供心を掴むには十分であり、そうして自然と仲が深まって——なんて考えていると。
唐突にエリュンはこんなことを言い始める。
「シルエスタの特技。ボクの父上にも見せてあげたいな〜」
「——へっ?」
そうして変身魔法の存在は、その日のうちに陛下の耳にも伝わり目に留まっていった。
「どうですか父上! シルエスタの魔法は凄いでしょ!」
エリュンの話を聞いた国王陛下とお父様の前で、変身魔法を実演することになった。
感触は良かったのか悪かったのか、当時の私には後者だと感じていた。
「うむ……」
感情を素直に表現してくれたエリュンの時とは違って、二人は目を見開いて唖然としていたのだ。
なんか期待していた感触と違って反応が薄い。きっと取るに足らない魔法と思われたに違いない。
当然ながら陛下の御前で魔法を披露するなんて初。なんなら人前で見せたのもエリュンが初めて。
急な無茶振りに口から心臓が飛び出そうなくらい緊張しているし、陛下の期待に応えられなかったらどうしようと。
そんな不安な感情が私を苛んでいた。
「——あ、あのぅ…………」
場に静寂が訪れた。
この重苦しい空気に耐えきれず、気を落としていると。
徐にお父様が口を開いて尋ねてくる。
「シルエスタよ。その変身魔法はどこで覚えたのかな?」
「え、えーっと……お父様の書斎にあった本を読んで、見よう見まねでやってみたのですが……」
「それで、出来るようになったと」
「はい……」
これから怒られるのだと思っていました。
お父様の書斎の本を、許可無く勝手に読んでいたこともそうですし、その上魔法の会得まで。
嵐の前の静けさと言わんばかりの沈黙に、身に沁みて感じる重圧。
自然と恐怖に支配されていった。
すでにもう尋問は始まっているのだと。
そして誰かが近づいて来る気配を肌で感じながら、小さく震えていると。
「す、素晴らしい魔法だ。その歳ですでに完成された変身魔法を展開するとは!」
「——えっ…………?」
意外な反応だった。
てっきりお父様の逆鱗に触れて、怒られるとばかりに思っていたのに。
まさか陛下自らが歩み寄り、何度か肩を叩いて賞賛を送って来るとは思いもよらなかった。
「クロディス殿——末恐ろしい才能だ。貴方の御息女の持つ魔法の素養は目を見張るものがある。さすがアルドラの血筋を引く者と言うべきかな?」
「お褒めに預かり恐悦至極に存じます。ですが……まさかシルエスタが変身魔法を扱えるとは——」
「シルエスタ。君は優秀な魔法使いになれるだろう。これからも精進したまえ」
「——はいっ!」
陛下からのお言葉に、強張っていた頬を緩める。
そしてより一層、魔法の魅力に取り憑かれていった。
※ ※ ※ ※ ※
今となっては遠い昔にも思える懐かしい記憶。
それから数日経ったある日、正式にエリュンと婚約を結んだという話になっており寝耳に水だった。
だけど嫌というわけではなく、むしろ嬉しさの方が勝っていた。
彼が本格的に魔法の道へと背中を推してくれたのだ。
エリュンに対して、少なからず好意は抱いていた。
婚約者として接触する機会も増え、エリュンに対する感情も日を追うごとに増大していく。
あの時から抱いている、彼に対する気持ちは今も変わらない。
だけど、あれから五年の月日が流れ、エリュンは変わってしまった。
もうすでに、思い描いていた昔のエリュンではない。年月が人柄を変えてしまったのだ。
今の彼には当時の思い出すらも、覚えているのか分からない。
どんなに愛し続けていたとしても、彼の感情は今回のように違う方向に向いてしまう。
「エリュン様。私は貴方に対しての気持ちは変わらず、今もなお愛し続けているというのに……」
「そうだろうな。お前は俺に何をされようが、ずっとそればかりだったな」
それでも、彼を愛すると決めていますの。
浮気をされようが、こうして観衆の前で婚約破棄を宣言されようが、エリュンに向ける好意は変わらない。
だとしても、困りましたわね。
これまでも似たような事案は発生していました。
だけどその度に仏の心で、笑みを絶やさぬまま見過ごして来たけれども、その結果ここまで大掛かりなことをして来るとは。
「私、言いましたよね? 次また“浮気をやったら”、と念押しもして差し上げたのに」
「関係ないね。その警告も何度目だ? いい加減意味を成さないことに気づいた方がいいよ?」
明らかに自らに非があるのにも関わらず強気な姿勢を崩さないエリュン。
ただ貴方が考えているほど、周囲の人たちは楽観的では無さそうよ?
特に陛下は象徴的な反応をなされていて、普段の威風堂々とした振る舞いからは様変わりしてしまい、らしからぬお姿で頭を抱えて険しい表情へと変わっていた。
「こんなにも一途にエリュン様を想って、尽くして来たというのに…………」
「お前のその重すぎる愛に俺はもううんざりしていたんだ!」
憤慨するエリュンに、その場の空気は凍りつく。
だがそんな中、エリュンに詰め寄ろうとした人物がいた。
私のお父様だ。我慢の限界を迎えたお父様が血相を変えて彼に詰め寄ろうするが、誰にも気づかれないように静止魔法でさりげなく止める。
他にも数名に同じく静止魔法。その全員が私の親族だった。
身内の受けた屈辱により、アルドラの血が騒いでしまったようだ。
本当にエリュンを血祭りにしかねないので、それは望むところではないの。
「婚約者がエリュン様の隣にいつもいることは至極当然のことですわ」
「毎日のように俺の部屋に居座ることもか!」
「ええ、寝食を共にすることも婚約者の務めですわ」
他にもエリュンは知らないかもしれないけど、彼を一日中つけ回して行動パターンを日記に記す等もしてたけれど、愛しているのだからこんなの当たり前ですわ!
しかしまあ、幼い頃とは変わってしまったとはいえ、素直に怒りを露わにする姿も可愛らしいですわね。
エリュンの鈍感さというか、目の前のことに真っ直ぐな姿は幼少の頃と変わってなくて嬉しく思いますわ。
でも、どうやら彼らはこの婚約の意味を何も分かっていないみたいね。
エリュンの婚約を決断成された、陛下のお気持ちを何も理解されないようでさぞ心を痛めているご様子。
「エリュン様。今すぐ婚約破棄を撤回なさるのでしたら、此度の一件水に流すことに致しましょう。ですが——」
「何度でも言う! 俺はこの婚約を絶対に破棄する! そのために俺は要人の多いこの絶好の舞台で、既成事実とするために宣言したんだ!」
「左様にございますか——残念でなりませんわ」
頑なに心を入れ替えるつもりは無いみたいね。
とはいえ、少し迷いは生じていた。
実行されれば、と思うと本当に彼のためになるのか?
理想とは程遠い今のエリュンであったとしても、彼を愛していることには変わりない。
ここに来て、失うことが惜しいと思い始めていたのも束の間だった。
ポツリと一言呟かれる——「かわいそっ」と。
その瞬間エリュンに対して、情けによって繋ぎ止められていた一本の糸がぷつんと切れていた。
あの女だ。何も知らず、ただエリュンにくっついているだけで良い気になっているメルウィーナという女。
蚊帳の外の人間がエリュンに向かって、何気なく放たれたであろう哀れみの一言により、私は一から理想を追い求めると決心した。
なるほど——エリュン様のお気持ちはよーく理解致しました。
彼にはそう言い残して、私は歩みを進め始めた。
ヘルティア王国最大の権力者の元へと——
「では陛下、密約通りに進めるということでよろしいですね?」
「——やむを得まい。エリュンの処遇はシルエスタの好きにしたまえ」
「は、はぁ……?」
場内には沈黙が訪れる。
陛下の発言に異議を唱える者は誰一人としていなかった——当事者の一人を除いて。
「な、何の話だよッ! 父上ッ! どういうことですか!?」
鬼気迫る顔で陛下の元へと、ズカズカと詰め寄ろうとするエリュンの前に私は立ち塞がった。
王太子に対する狼藉に、エリュンは私を取り押さえるよう命じるが、誰も彼の指示に従おうとはしない。
彼は一人で苛立ち続けるだけだった。
「今更慌ててももう遅いのです。忠告したはずですよ。次また“浮気をやったら”と——」
「だからそれが何だと言うのだ? いつものことだろう。意味のない警告をして満足しているのは——」
「ええ。その意味のない警告では、エリュン様に反省の色が見えませんでしたので、陛下と事前に取り決めさせていただきましたわ」
「——な、なに?」
「もし、エリュン様がもし“婚約を破棄する”と決断なされることがあれば————エリュン様の“全権利はシルエスタ・アルドラへ譲渡される”、とね」
「はぁ? な、何を言って……?」
「——もうエリュン様はもう、私のモノになったということです」
「——そ、そんな話通るわけないだろッ!」
「エリュン様の意思は関係ありませんわ。あぁ——それにしても楽しみですわ! これからどう育てて行きましょう!」
静まり返った場内で、エリュン一人が激昂する。
しかし、周囲の要人たちの視線は冷たいままだった。
「父上! これ全部シルエスタの出任せ、ですよね? 勝手な妄想を口にしているだけ、ですよね…………?」
「………………」
「ち、父上…………?」
陛下からの反応は無言だった。
思っていた言葉が返って来ることはなく、エリュンはおぼつかない足取りとなってあからさまに狼狽え始めていた。
徐々に自らの置かれている状況を理解し始めたようだ。
「お前は一線を超えてしまったのだエリュンよ。もう儂にシルエスタを止めることはできん」
「そ、そんな……はずはッ!」
あぁ! エリュンからゾクゾクするような熱い視線がッ!
でも元はと言えば貴方の行いが招いた結果。私としてもこの展開を望んでいたわけではありませんの。
今の大好きなエリュンがいなくなってしまうことには変わりないのですから。
「エリュン様が婚約破棄を宣言した時から、この結末は決まっておりましたの」
いずれこうなるのではないかと、前々から危惧はしておりました。
従って予め手を打っておく必要があったのですが、しかし同じような懸念を抱いていたのは私だけではなかったのです。
陛下、そしてこの国の要人たちも同様の悩みを抱えられていた。
「陛下はこの国の未来を案じていらっしゃる。アルドラ家の令嬢である私との婚約で平和な未来が訪れるのであれば、これほど幸福なことはないでしょう」
「な、何を言っているのだ?」
「貴方には理解出来ないでしょうね。陛下が結んだこの婚約の意味を理解されず、簡単に破棄してしまうようなエリュン様には——」
アルドラの血族を敵に回す——即ち国家の危機を意味している。
それはそうだ。幼少の頃から少数しか扱うことの出来ない規格外な魔法を操る、私のような存在がゴロゴロいるのだ。
敵に回られるほど厄介なことはない。
「お、俺はそんな約束知らない! 無効だ! 無効に決まっている!」
「しかし、周りの皆様方はそうは思っていないご様子ですわね?」
相変わらず要人たちは沈黙を続けていた。
父親であるはずの陛下ですら、この国のために犠牲になってくれと言わんばかりに動じずに身構えるだけ。
無言の圧がエリュン一人に注がれていた。
此度の密約は、双方に利があった。
アルドラ家を正式に王族へと迎え入れるかわりに、エリュンの全権利は私へと譲渡される。
一見、アルドラ家側のみが得をする話のように思えるが、そういうわけでもなかった。
アルドラ家を迎え入れることで、陛下の不安は払拭される。
今後脅威となる可能性のあったアルドラ家と、敵対する可能性が無くなったことで陛下の地位はより強固なものとなっていくだろう。
残念ながら可哀想な方も一人——”今の“エリュンは不本意な結末で終わってしまうのかもしれないけれど。
ただ私にとってはどうでもいいことなのです。
どんな形であれ、エリュンが手に入ればそれでいい——たとえ、今のエリュンに婚約破棄を告げられたとしても。
「現在のエリュン様は婚約者ではありません——強いて言うなら私の“所有物”という扱いですわね」
そう。だから今後彼に何をしようが何の問題も生じない。
意のまま理想のエリュンを現実のものにして見せますわ。
「ち、違うだシルエスタ! これは何かの間違い、行き違いだっただけなんだ! 俺は初めからお前のことだけを想って——」
あらあら。
ようやくご自身の置かれた立場を理解していただいたようで。
見事なまでの手のひら返し、滑稽なとこもとっても可愛らしい。
「そうですわね。もう少し早く、改心なされていらっしゃればよろしかったのですが——私も貴方と同じく頑なな女でして、もう理想を追い求めると決めてしまいましたの」
「シルエスタッ! 本当はメルウィーナのことなんて好きでも何でもないんだッ! 婚約破棄は撤回するから!」
婚約を破棄してまで、選んだ女性を切り捨てる暴挙に走る。
陛下と婚約者を前にして情けない姿で懇願し続けるが、どんなに愛らしく見えても今のエリュンには交渉の余地はない。
「メルウィーナ殿はいかがですか?」
「——あ、あ、その……」
「あらあらダンマリですか。私の靴を舐めて命乞いをするのであれば、助けて差し上げようかと思っていたのですがね」
先ほどから空気になるのに、徹し始めていた悪い虫さん。
あの一言が無ければ、私はまだ仏の心でいられたのかもしれないのに。
「——さようならでございます」
容赦なくメルウィーナに魔法をかける。
周囲の要人たちの歓声を一身に受け、全身を淡い光が包み込んでいく中、徐々に彼女の身体に変化が見え始めた。
「——え、えっ! 何ですのっ! い、いやぁ!!!」
泣き叫び続ける彼女の身体は、意図せず肥大化を続けていた。
顔も身体もパンパンに膨れ上がって、まるで風船みたい。
割ると爆発するのかしらね?
「——な、何だこれは…………メ、メルウィーナ……?」
さてと、次はエリュンの番です。
そんなに怯えなくても、メルウィーナみたいに醜い姿に変えたりしません。
むしろ幸福すら感じるかもしれませんね。
「今の貴方も好きですが、それよりも私は————」
あの日を境にエリュン様は随分とお変わりになられた。
幼少の頃を彷彿とさせる、とても無邪気で愛くるしいお姿を周囲に振り撒くようになってから評判も良い。
皆から愛される存在へとなっていた。
「——シルエスタ! また変身してっ!」
「エリュン様は変身魔法が大好きですね! いいですよっ!」
「わっ! 僕が目の前にいる! すごいすごい!」
エリュン様は手を叩いて大喜び。
変身魔法を見て、無邪気に喜ぶ姿は昔の彼と同じで相変わらずだった。
思い描いていた姿が体現されて、何とも微笑ましい気分。
「シルエスタ……どうしたの? 何で泣いているの?」
「——い、いえ……少し昔のことを思い返して、しんみりしてしまっただけですわ……」
「元気出してね! ボクはシルエスタのそばにずっといるから」
「嬉しく思いますわ。エリュン様と一緒ならば私は何も要りません——」
そう言って彼は私の元へ歩み、ずっと寄り添い続けてくれた。
すでに大人な感性を身につけつつあるのかもしれない。
計画は順調だった。
今のエリュン様は、もう昔のエリュンとは違う。
今までの彼はもういない。
全てを造り変えた。
彼のこれまで成長してきた肉体も、積み重ねてきた記憶も全部私の意のままに幼少の頃へと遡り、理想の姿を再現した。
その場限りの“変身”よりももっと強力で、根本から造り変えることの出来る魔法——“改造”によって。
しかし、今はまだ道半ばだ。
理想に大幅に近づいたものの、まだ育てている最中。
成長具合によっては、以前のエリュン様のような思わぬ方向へ向いてしまう可能性もあり得る。
こんなところで憂いている場合ではない。
これからもしっかりと、今のエリュン様を導いて行く必要がある。
そして、いずれは二人でこのヘルティアの支配を現実のものへと——
今はもう少し幼少の可愛いエリュン様を眺めながら、成長過程を楽しませていただくことと致しますわ。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
最後にブクマや☆☆☆☆☆でポチッと評価していただけると嬉しいです。
【追記】誤字報告ありがとうございました!