5話 水槽の観察
雷神が溶岩湖に飛び込んで行ってしまい、仕方なく自分も続いた。
別に熱いとかはないのだが、ただすごく見ずらい。溶岩だから透き通ってる訳でもない。雷神の姿はいつの間にか消えていた。見えないまま直進すると、どこかに着いた。
「ここが闘技場だ」
小さな滝に囲まれ、大きな階段が下へと続いている。降りると、色んな人たちがおり賑わっている。
そして円形の観客席の真ん中に、謎のバリアに包まれている大きいステージがあった。
「あれが戦うところですか?」
「そうだ。まあ、とりあえず観戦をするのもいいだろう」
「面白そうですね」
どうやらお金を賭けるのは自由らしいので、一旦何も賭けず観戦する。
「さあ!今回のソロバトルもラストまで来ました!1位を決める決定戦です!赤サイドはソロバトル無敗の男『モリカワ』!青サイドは金棒使い『ドント』!勝敗は核を壊した方の勝利!レディー......ファイト!!」
なるほど。モリカワは素手、何か神の力を持っている可能性がある。そしてドントは金棒、だがよく見ると何やら仕掛けが施されて、少し違和感。これは面白そうな試合になりそう。
「さあ来い!分かると思うが私は水使いだ!そりゃここを水で満たすよなあ!」
手のひらから滝のように流れる。
「それは相手との相性を見ていっているのか?」
金棒が花の形に開き、回り始めた。
『森の水槽』
水の中で鋭い牙の魚がどんどん形成された。しかも同色で見えにくくなっている。
『魚影』
金棒の回転により、水の中をスイスイ移動する。さらに中心から弾丸が放たれた。
魚は弾丸により次々にやられていく。
「両者共に凄まじい攻防です!果たして勝つのはどちらか!」
「もう終わらせてやる」
『魚雷』
金棒が閉じたと思ったら、まさかの金棒ごと発射された。
もう弾はモリカワの目の前まで来ている。
「くっ......」
『圧縮壁』
貯めた水を全て一箇所に集め、壁として弾の前に構える。
弾は轟音と共に爆発した。
「圧縮壁は、まだ生きているッ!」
『水弓』
瞬きする間もなく敵の核を貫いた。
「......勝者、モリカワ!!」
ウオオオー!!と歓声が鳴り響く。僕にとっても面白い試合だった。
「いやー、面白かったな」
「はい。特に反撃の反撃とか面白かったです」
「じゃ、次の『特殊デュオバトル』までよく休んでおけ」
「......え、もう応募したの!?」
「最初の説明があまりにも退屈でな」
「......分かりましたよ」