2話 神の力
なんだこの……血の海のようなものは?なんでこの上に立っているんだ?風神の能力の内なのか?
いくつもの疑問を抱きながら周りを散策し始める。
~数秒前の現世~
「ありがとう。これで隙が出来た」
雷神は豆粒のような風神を見つめ技を撃つ。
『迅雷烈筒』
音を置き去りにし、青い光と共に強靭な雷が放たれる。
「これが全て……囮だったのか……だが、お前の位置もこれで分かった」
風神は一気に近づく。
「体が消える前にお前も殺してやる」
『自爆』
「はぁ……貴様はそうすると思ったよ」
鼓膜が破れそうな爆発音。長い間続く斬撃に、雷神は敗れた。
~現在の地獄~
「チッ、もう少しで粉微塵に出来たのに。だが、少なくとも引き分けたのは大きかったな」
急に血の海から人間の形が生成され、雷神に変わった。
「あれ?今、血の海から出てきませんでした?」
「ああ……まさか、この世界を知らないのか?」
「はい……」
そう思うのも当然か。ここに来て、慌てることも無く、何かを尋ねることも無く、戦闘に入っちゃったからなぁ。
「ここから出るのも距離的に時間がかかる。その間に、説明でもしてやろう」
「ありがとうございます!」
こうして歩きながら説明を聞くことになった。
「まず、死んだ自覚ってあるか?」
「あるっちゃあります。ただ、気づいたのは自分が炎のようなもの出していたからなんですけど」
「死んだ直後から神の素質があったのか。だいぶ稀だな」
「そうなんですか?というか、そもそも神って?死んだんだったらなぜ意識があるんですか?ここはどういう構造なんですか?」
「あー、えっと、そうだな。まず神というのは、死んだ後に何かの能力を見出し、それを使いこなすものだ。そして能力を見出すためには、 死ぬ前に何か突出した力がある かつ 精神力がとても強くないといけない。」
「別に突出した力なんてないと思いますけど」
「本人は気づいていないことも多いからな」
「ちなみに僕が死ぬ前、隣で爆発が起きたのと僕の燃える能力って関係してたり?」
「多少はあるだろうな。ま、とりあえず本題に戻るぞ。能力を見出すのは死んだ前でも後でも変わらない、つまり、死んだ直後に能力に目覚めるというのは、もともと突出した力があり、精神力が強いためなんだ」
「なるほど。じゃあ死んだ後なのになぜちゃんと意識があるんですか?」
「記憶や意識っていうのは精神の中にある。そして今肉体のように見えている自分の身体は、記憶の中の自分の姿をコピーしているだけ。そこに仮の意識の核、ああ、本物の核はここの地獄にあるぞ。それで、仮の核をコピーした肉体に埋めれば、死んだ世界に自分の肉体があるように見える」
「へぇー!つまりここにあるのは仮の身体で、本物の核は地獄にあると」
「そういうことだ。あ、ほら。上の層に上がる階段が見えたぞ」
赤い半透明の階段が、血の海に浮いているようにあった。階段の先は、宙に浮いた木のフレームの中の、違う空間に繋がっている。
「続きはどこで?」
「まあ、この先の宿で泊まってるときとか……か?」
僕と雷神は長い階段を上る。