表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/110

第91話:結婚式(2)

 医務室で目が覚めると隣にはロゼがいた。

 そして、天魔が話した内容を彼女の言葉から告げられた。


「ルクス。アナタはお父様に負けてしまったの。そのせいで、サロス地方という広大な領地をもらい、上弦巨魔という特権階級になって、次期天魔の私と結婚することになったのよ」


 なんということだ。

 俺が意識を失っている間にそんなことになっていたなんて。

 領土をもらうということは、そこの領主をしなければならないということだ。巨魔という役職だって特権階級には違いないが、何かしらの任務が天魔より発令されるはず。

 働きたくないでござるを地で行く俺には天魔の要求があまりにもハードすぎたのだ。


「そんなに頭を抱えるなんて、やっぱり私なんかと結婚するのは辛いわよね……」

「え? 結婚ってなに?」

「いま言ったばかりじゃない。アナタはお父様にすごく気に入られて、天魔の家系に婿養子として迎え入れられることになったのよ。その結果、次期天魔の私と結婚することになったの」

「ロゼとの結婚……」

「アナタが悩むのもわからなくはないわ。剣しか取り柄のない私と、アビスベルゼの外から来たアナタとでは価値観が合うわけ……」

「お前との結婚は別に嫌ではないぞ」

「へっ!?」


 ロゼは驚いた表情を浮かべ、俺の言葉に目を丸くする。


「最初は変わった子だなと思っていたけど、ロゼには色々とお世話になったし、この国の価値観をひっくるめてロゼという女性には好意を抱いている。流石にいますぐに結婚、とまでは考えていなかったが、いずれ誰かと結婚すると考えた時にロゼの顔が浮かんできたことは何度かある」

「そ、そうなんだ。私と一緒になるのが嫌じゃないんだ」

「イヤになるわけなんかないだろ。俺が悩んでいた時、お前は俺を助けてくれた。だから俺はロゼを拒絶したりなんかしないよ」

「ルクス……」


 ロゼは涙目になって感極まりギュッと俺に抱き着いてきた。

 年相応のロゼの姿に俺は愛しさを覚えた。


「お前こそ俺との結婚は嫌じゃないのか? 俺なんかより、もっとアビスベルゼらしい武人がいるだろう」

「ルクスより素敵な男性は他にいないわ。私だって武人のアナタではなく男性としてアナタが大好きなの!」


 どうやらロゼも俺との結婚を望んでいるようだった。

 相思相愛だったことが判明したことの嬉しさ半分、別の不安も浮上してきた。

 これまでの女性関係をリセットしなければならないという点だ。


 俺の周りにいる女性は癖の強い女性ばかり。

 アリアンナは祝福してくれそうだが、めっちゃ俺に懐いていたからちょっと罪悪感がある。俺がこの先結婚するかもしれない女性第一位はこれまでアリアンナだったからな。実際俺もアリアンナの事がロゼと同じくらい好きだった。


 イェルは……まあなんとかなるでしょう。俺が一方的に恋心を抱いていただけで、イェルは俺のことをさほど意識してなかった。というか、こんな時にイェルの顔が思い浮かんでくるって、俺ってもしかしてロリコンなのかもしれないな。


 セレナードは、つい最近俺の事が好きだと判明したが、俺はさほどセレナードのことを女性としては見ていない。剣士としては尊敬しているが、二回も暗殺者を送ってきやがったし、あの時の恨みが完全に消えたわけでもない。マイナスからゼロに戻ったというだけで、好感度的には女性陣の中で一番下だ。

 俺はやっぱり最初から優しい女性が一番好みさ。


 俺はこれまで関わった女性の顔をチラホラと思い浮かべながら、ロゼとの結婚のためにそれをすべて記憶から消去した。

 剣術もそうだが、俺は一度決めたら過去は振り返らない。


 ロゼと結婚すると決めたからには、ロゼを幸せにできるような男性を目指すぜ!!!

 俺の方からもロゼの背中に手を回し、優しく抱きしめた。こちらの意識が完全にロゼに向いたせいか、これまで以上にロゼが魅力的に見えてきた。



 とある偉人が言っていた。

 おっぱいの大きさで人を好きになるわけではない。好きになった人のおっぱいの大きさが一番好きになるのだ。


 この理論はおそらく正しいと思う。

 なぜなら、めっちゃいまロゼとイチャイチャしたいと思っているからだ。

 ちょうどいま医務室だし、周りにロゼ以外誰もいないみたいだから、俺はロゼと合意の上でめっちゃスキンシップした。


 その後、ロゼと共に、天魔のいる屋敷へと向かった。

 島の中では、天魔城の次に大きな屋敷で、セキュリティも非常に厳重であった。


 ロゼが宝剣を見せるとあっさりと通してもらい、俺達はそのまま天魔のいる謁見の間へと案内された。

 天魔は広間の一番奥で玉座に座って俺達を待っていた。

 彼の隣には別の男性もいたが、ロゼ曰く、彼は側近中の側近である大軍師らしい。


 大軍師は俺の姿を自身の顎髭を撫でながら観察していた。

 彼の方から何かを話したりはしなかったが、ジロジロとみられるのはあまり良い気分はしなかった。


 ロゼは天魔に俺が結婚を合意したことを報告した。

 天魔は非常に喜んでおり、「それなら結婚式の日時と場所も決めないといけないな」と大軍師に告げていた。


「お父様。結婚式の段取りは私達でやるわ。だから余計な事しないで」


 ロゼはズバッとそう言った。天魔はショボーンとした表情になった。


【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ロゼ:天魔の娘。巨魔試験にトップの成績で合格して巨魔に選ばれた。


【読者の皆さまへ】

この小説を読んで


「面白い!」

「続きが気になる!」


と思われたら、↓の☆☆☆☆☆ボタンを★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!

多くの皆様に読んでもらうためには、どうしてもブックマークと星が必要となります! 

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ