第86話:勇者の現在(1)
【ロベルト視点】
一方その頃。
セレナードを殺した勇者パーティの生き残りであるロベルトとスカーレッドは、セレナードが管理していた魔王討伐費用を使って毎日豪遊していた。
街一番の旅館に泊まり、風俗に行きまくって毎日贅沢三昧。この世の春を謳歌していた。
「俺は勇者だからね」
ロベルトは笑いながらそう答え、隣にいるスカーレッドも笑顔で同意した。
しかし、そんな生活も長くは続かず、一か月ほどで底をついてしまった。
お金がない。
どうする? とお金を稼ぐ方法を考えた時、ロベルトが思いついたのは民間人を殺す事だった。
一般的な民間人の財産が1万メルだと仮定し、100人殺せば100万メルになる。
民間人がロベルトに勝てる可能性などゼロに等しいので無限にお金を捻出できる計算になる。
その案をスカーレッドに告げるとスカーレッドもすぐに同意した。
「私もそれに賛成だわ! 勇者パーティは国の未来を背負ってるんですもの!」
「だが一つ問題がある。犯罪者になるかもしれないという点だ」
「そこは大丈夫よ。セレナードとルクスのせいにすればいいじゃない。特にセレナードなんて私達を裏切ったんだから悪人であるべきよ」
「ふむ、たしかに」
ロベルトは大きく頷いた。
そしてさっそく二人は近くの村に出向き、そこにいる村人たちを惨殺した。
女子供老人関係なく、生きていると面倒なので皆殺しだ。
「たすけてえええええええ!」
「あっははは! 逃がすわけないじゃない!」
「目撃者は全員死んでもらわないと困るんだよね♪」
村人たちは必死に逃げ惑うが、広範囲を一度に攻撃できるスカーレッドやロベルトの手によって次々と惨殺されていく。
その結果、村は1時間程度で屍の山になってしまった。
「よし、スカーレッド。家を回ってお金をかき集めよう」
「ええ♪ 良いことした後は気持ちがいいわね!」
二人は一軒ずつ家を見て回る。
その結果、10万メルもの大金を確保した。
しかし、それは二人にとっては満足できる金額ではなく……。
「少なすぎでしょwwwwwww」
「こいつらホントゴミだ。せっかく頑張ったのに、お金を全然持ってないからまったく集まらなかった。死ねよ」
ロベルトはそう悪態をついて、近くに転がっていた遺体の頭部をボールのように蹴った。
パーンと破裂する音がした。
「どうするロベルト。こんなはした金じゃ大して遊べないわ」
「お金を持ってそうな家に焦点を当ててそこからゲットする方が良さそうだ」
「じゃあ次はもうちょっと大きな街を襲いましょう」
「そうだね」
もはや自分の欲望を満たす事しか眼中にない怪物達は次の獲物を求めて歩き出した。




