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第80話:巨魔試験(16)

 イェルの懸命な治療のおかげで、セレナードは無事息を吹き返した。

 意識を取り戻したのはそれから一時間後のことだった。

 虚ろな瞳で、俺の顔を見つめるセレナード。


「ルクス……私……」


 俺は彼女の額に手を置いて優しく撫でる。


「お前の剣は本物だった。だから俺もお前の覚悟を信じるよ」


 俺は、はっきりとそう伝える。

 すると、彼女の瞳が涙によって大きく潤む。


「本当に……ごめんなさい……」

「もういいんだ。いまは体を治す事だけに専念しろ」

「うん……」

「セレナード。次はちゃんと事情を話してほしい。これでも俺、お前の事は武人として本当に尊敬してたんだ」


 今度は俺自身も彼女に想いを伝えた。

 その言葉にセレナードは一瞬驚き、恥ずかしそうに頬を赤くする。

 彼女が見せた素直な反応にこちらも自然と頬が緩む。

 随分と遠回りな道になってしまったが、お互いの気持ちをぶつけあったことで、最終的に俺とセレナードの関係は修復された。



 ………

 ……

 …


 一方その頃、

 アリアンナは真っ青な表情を浮かべてその場に立ち尽くしていた。


「あ、あのロゼさん。どうして私までつり橋を渡っているのでしょうか?」


 ゆっくりと視線を下におろすと、そこには鋭利な刃が無数に広がっている。

 そして、ところどころに白骨死体が転がっていた。

 つり橋から落ちた者がどうなるのかをまざまざと教えているようであった。


「巨魔試験に参加するからじゃないの?」

「いやいやいやいやいや! なに言っているんですかアナタ! 参加しませんよ! なんで私まで参加する状況になっているのかを詳しく聞きたいんです!」

「そりゃあこの島にいるんですもの。試験官だってアリアンナを参加者だと思って試験会場に連れて行くでしょうよ」

「いやああああああああああああああああ!? ルクスさん助けて下さいぃぃぃぃ!」

「あ、アリアンナさん。騒ぐのはやめて下さい! つり橋が揺れると危ないですって!」


 アリアンナの背後にいるザインが悲鳴を上げる。

 現在、アリアンナ・ロゼ・ザインの三人はチームとなって行動を共にしている。

 巨魔試験は第一次試験・第二次試験・第三次試験に分かれており、第一次試験の内容は、三人一組で本部から与えられた任務をこなす内容であった。


 アリアンナは普段からロゼと行動を共にしてるため、試験官も彼女が参加者だと勘違いし、そのまま試験会場まで誘導した。

 アリアンナは天然なので素直についていき、そして今に至るわけだ。


「アリアンナ! ここまで来たらもう腹をくくりなさい! 巨魔試験に参加した時点で死ぬか生きのこるかの二択しかないのよ!」

「そんなあああああああああ!?」


 アリアンナの絶叫が周囲に響き渡った。

【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

セレナード:エメロード教の元聖女。現在は転生して7歳の少女になっている。

ロゼ:天魔の一人娘。


【読者の皆さまへ】

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