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第68話:巨魔試験(4)

 その帰り道。

 なにやら人混みができていた。


「何かあったのでしょうか?」


 アリアンナが疑問符を浮かべている。他の二人も同上の反応。


「ルクス。あの中心で何が起きてるのか知りたいから、いますぐ私を風車してちょうだい!」


 俺は頷くと、霊力武装を纏って筋力を上げ、要望通り、彼女の右足を掴んで剣のように頭上でブンブンと回転させた。


「ぎゃあああああああああああああ!?」


 ロゼは大きな悲鳴を上げて気絶した。


「たぶん風車じゃなくて肩車ですよね……」

「間違えたロゼさんも天然ですが、それを素直に受け取るルクスさんもかなり天然ですよね」


 アリアンナと凛花は苦笑いを浮かべて呆れている。

 すると、ロゼの声に反応したのか、人混みの中心からザインの声が聞こえてきた。


「ろ、ロゼさん! そこにいらっしゃるのでしたら、ボクを救出して下さいませんか!?」


 なにやら助けを求めてるようだが、肝心のロゼは絶賛気絶中。

 仕方ないので俺が助けるか。

 俺は地面を蹴って人混みの中に音もなく滑り込む。

 群衆たちの足元を縫うようにすり抜けていきザインの元に到着し、一瞬でザインをその場から救出した。


 ザインを救い出した俺はそのまま近くに屋根に着地した。

 ザインが突然いなくなったもんだから周囲の人々は困惑している。

 俺はこちらの姿が気づかれていないのを確認し、北西の方にザインが走って行ったと叫んだ。

 するとそこにいた人々が我先に北西方向へと走って行った。


 俺はそれを確認すると、ザインの方を見た。

 現在、ザインはお姫様抱っこのような体勢で俺に抱きかかえられていた。


「ルクスさん……?」

「ザインよ。一体なにが起きていたのか教えてくれるか?」



 その後、俺達はすぐに朱雀館へと戻り、ザインから話をきいた。


「ルクスさん達が毎回ボクに丸投げをするせいで、ボクの名声が凄まじいことになってしまったんです。上弦巨魔級やら、素手でハイオークを倒せるやら、目からレーザーを放てるやらもはや妖怪の類みたいな状況です」


 あらゆる面で俺達が適当な対応をしたせいで、そのしわ寄せがすべてザインへと流れたようだ。

 可哀想なことをしてしまった。

 ロゼとアリアンナも苦笑いを浮かべている。


「……とすると、噂は全部嘘だと広めればいいのでしょうか」


 アリアンナが確認するように聞いた。

 頷くザインに対して俺はすぐさま待ったをかけた。


「待て。なにもすべてを嘘だと認める必要もあるまい。そんなことをすれば逆にザインの評判が地に堕ちるぞ」


 世間で認知されてしまったものを修正するのは案外難しいものだ。

 対応を間違えると逆に呪いとなって跳ね返る。


「ですがこのまま嘘を貫き通すのも難しいと思いますよ。あの調子じゃ、巨魔級に匹敵する依頼が飛んできてもおかしくありません」

「うへぇ!? そ、そんなの困りますって! それならまだ評判が下がる方がマシだ!」


 ザインも凛花の言葉に震え上がる。

 俺は大きく腕を組んで対応方法を考えた。


「それならいっそ、嘘をまことに変えてみるのはどうだ?」

「あのー、それってどういう意味ですか?」

「そのまんまの意味だよ。噂通りの超一流武人になればいいってこと。幸いにもザインはいま一流武人だ。もっと修行をがんばれば超一流に至れるはずだ」

「それね。私もルクスと同じ意見よ。私だって天魔の娘としての重圧があったから誰よりも頑張れたもの。上弦巨魔級と思われている重圧をこれからの修行に活かせばもっと強くなれると思うわ」


 俺達の言葉にザインはハッとなり、しばらく考え込んだ。

 そして、急に立ち上がったと思ったら、俺達に深く礼をした。


「皆さん。色々と迷惑をかけました。お二人のアドバイスを胸に刻んでこれからの修行へと生かします」


 どうやらザインも逃げるのではなく強くなる道を選んだようだ。

 彼が強くなる道を選んだのなら、俺も少しくらいは修行を手伝ってやろうかな。

 とうっすらと考える俺であった。

【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

アリアンナ:エルフの女の子。

ロゼ:天魔の一人娘。

凛花:朱雀団のメンバー。

ザイン:朱雀団団主。


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