第65話:巨魔試験(1)
今回はプロローグ回となります。
ルクス達がすべてを丸投げしたのでザインの功績が天元突破してます。
最近、領民の間でとある噂が流れるようになった。
若干16歳ながら上弦巨魔級に匹敵する『化境の武人』がいる。
名前はザイン。
朱雀団の団主であり、現在の階級は魔頭級。
魔頭級とは、
天魔>巨魔>魔将>魔頭>魔卒>魔徒からなる階層の一つであり、優秀な武人ではあるが、超一流武人とはいえない者達。
大多数が二流武人で、頭一つ抜けてる者がギリギリ一流武人の領域に入っている程度。
だから、ザインが巨魔の中でも最上位とされる上弦巨魔に匹敵する強さを持つ武人だと信じる者は誰もいなかった。
しかし、ザインは数々の偉業を成し遂げた。
・巨魔級とされる盗賊の頭『死風刀血』の粛清。
・超一流武人の吸血鬼『シャルロット』の討伐。
・街を襲ってきた数千体もの魔物をたった一人で討伐。
・吸血鬼の帝王『バルディッシュ』を一騎打ちにて叩き潰し、日蝕異変を解決。
彼はたった一人でこのような偉業をすべて成し遂げたのだ。
まさか、一介の魔頭にこのような優れた逸材が眠っているとは、天魔の最側近である大軍師『天枢』はザインという青年にこれ以上にないほどの興味関心を抱いていた。
「教主様。このザインという青年ですが……」
天枢は、垂簾の向こう側にいる『天魔』に話しかけた。
「うむ、魔頭にしておくにはもったいないな。今すぐにでも巨魔に昇格させたいくらいだ」
「私も教主様と同じ考えでございます。ですが……」
「……?」
「彼を正式に巨魔にするためには、巨魔試験を合格してもらう必要があります」
「ふむ。軍功だけで上げることは難しいのか?」
「これほどの功績なら一応可能かもしれませんが、大多数の巨魔が大きな反発を起こすでしょう。ただでさえ、《巨魔殺しの白狐》が国内を暗躍している今、これ以上の不安要素は作りたくありません」
「なるほど……天枢の意見は尤もだ。それではますます、ザインには巨魔試験を受けてもらいたいものだ」
「左様でございますね」
天枢は、天魔の言葉にニコリと微笑んだ。
それから、天魔は思い出したようにある少女の名前を口にした。
「ところで、『あの子』に関してだが……」
「『ロゼ様』のことでございますね」
「ああ、そうだ。あの子もそろそろ巨魔試験を受けさせてもいいんじゃないかと考えているんだが、天枢よ。そなたはどう考える?」
「少し早いかと思います」
「なぜ?」
「剣功は素晴らしいですが、精神面に一部未熟さがありますゆえ、いま巨魔試験を受ければ高い確率で死ぬでしょう」
「ふむ……高い可能性か……」
「…………」
「天枢よ、人はいつか死ぬ。死を恐れてあの子の可能性を先延ばしにしてたら、いつまで立っても私を超える事は出来ないと思うのだが」
「……!! たしかに教主様のおっしゃる通りでございます」
「あの子に伝えよ。これより二週間後、《インフェルノ》にて巨魔試験を開始すると」
「はっ! 教主様のお言葉、必ずやロゼ様にお伝え申し上げます!」
天枢はそう告げると、その場から霧のように消えた。
こうして一夜にして、
天魔神教の勢力図を大きく塗り替えるとされる巨魔試験開幕の報せが国全体に伝わった。
【強さの段階】
神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人
【登場人物】
天魔:天魔神教の教主。ロゼの父親。
天枢:天魔神教の大軍師。
ザイン:青龍団団主。二人から化境だと勘違いされている。
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