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第49話:神医(2)

 ロゼが目覚めるまで少し時間があるので、その間に俺は一度朱雀館へと引き返してアリアンナに事情を説明した。


「承知しました。ロゼさんの怪我が治るまでこの地で暮らしましょう」


 アリアンナは快く了承した。

 彼女は現在、朱雀隊の団員である凛花より武功を学んでいる最中なので、今回の一件はアリアンナにとっても朗報となった。


「それにしても、ロゼさんの知り合いを傷つける方がいるなんて許せませんね。もし出会ったら必ずや成敗してみせます!」


 そう意気込んではいるがそれは物理的に難しいだろう。

 ロゼの話が正しければ、相手は少なく見積もってもロゼ以上の実力者。超一流武人である事は明白であるため、《霊力武装》や《霊力の掌握》の段階に至らなければ決して勝つ事はできない。

 まあ、こういうのはアリアンナの気持ちが一番重要であるため、本人の実力云々の問題はこの際置いておこう。

 アリアンナも俺からマジレスされたくて言ってるわけじゃないだろうしね。


「俺はしばらく病院と朱雀館を行き来する。アリアンナはその間も引き続き鍛錬を忘れないようにな」

「わかりました。今度ロゼさんと再会できる頃には霊力の発動くらいはできるように頑張ります」

「おう、頑張れよ」


 アリアンナにそう伝え、来た道を引き返して病院へと戻った。

 ロゼが目を覚ましたのは、その日の正午頃だった。

 病室のベッドにて眠っていたロゼが突然開眼し、勢いよく起き上がった。と、同時に腰に手をやったが、剣を身につけてない事に気づいて小さく鼻を鳴らす。


「お前の剣なら二つとも俺が持ってるよ」


 俺はそう告げてロゼに二つの剣を見せた。

 一つは、ロゼの愛剣である宝剣。もう一つは、自身が天魔の娘である事を隠すために用いる訓練用の剣。

 どちらも肌身離さず身につけているが、普段は後者を使っている印象がある。宝剣はよほどの事がなければ使ってこない。


「ルクス。ここはどこ?」

「町の病院」

「ということは、あのあと私は気絶したのね」

「気絶というか《走火入魔》に陥りかけてたぞ。こっちはマジで焦ったんだからな」

「ごめんなさい。アナタにはたくさんの迷惑をかけたみたいね。すごく反省しているわ」

「反省してるならいいんだ。ここには敵なんていないから横になりな」


 いつまでもベッドの上に立っているのは馬鹿っぽいので、俺はロゼに横になるように指示を出す。

 ロゼは大人しくそれに従った。

 俺はそっとロゼに布団をかけてあげた。

 ロゼはというと、仰向けの体勢で俺の顔をジッと見つめている。


「どうした?」

「ルクスってこうしてみるとイケメンなのね」

「お前は突然いったい何を言っているんだ?」


 いきなりそんなこと言われると恥ずかしくなってくるだろ。


「アナタの顔を近くでこうしてマジマジと見つめる機会なんてこれまでなかったから、いま顔を眺めながらふとそう思ったの」


 人からかっこいいと言われることは悪い気はしないのだが、知り合いから面と向かって言われるとむず痒くなる。


「馬鹿なこと言ってないで早く寝て傷を治せ」

「うふふ、照れてる照れてる。それに、いま起きたばかりだから眠れるわけがないわ」


 俺の反応を見て、ロゼは嬉しそうに笑みを浮かべている。

 普通の女の子らしい笑顔であった。

 彼女の言葉をそのまま受け入れても良かったが、なんだかそれだと負けた気がするので、今度は俺の方からロゼの真正面に顔を近づけて、決め顔でこう告げた。


「眠れないなら今日は一日中お前を見つめてやろう。ロゼ、お前の純真な笑顔はどんな綺麗な花よりもかわいい」


 自分で言うのもなんだが、すげーキモい男だと思う。

 しかし、俺の感想とは異なり、ロゼの反応は大きく違った。

 顔が爆発し赤くなり、布団で自身の顔を半分近く隠しながらもじもじとし始めた。


「うぅ……いきなりそんなこと言わないで。アナタの顔を直視できなくなったじゃないの」

「さっきのおかえしだ」


 お互いに恥ずかしい気持ちになりながら、俺達はお互いに平和な時間を享受した。

【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

ロゼ:天魔の一人娘。

イェル:神医。


【読者の皆さまへ】

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