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第48話:神医(1)

 イェルと呼ばれる神医はどこにでもいそうな幼女であった。

 髪色はピンク。

 前髪は綺麗に切り揃えられ、サイドはそこそこ長い。

 頭頂部には冠をかぶっている。

 その冠には皇帝が付けてるような長い脚が差さっている。

 オリエンタルな紺色の衣装を身に纏っており、手先が見えないほどに袖が長い。

 胴回りから股にかけてのスリットはとても深く、白い脚がはっきりと露出している。

 太ももフェチにはたまらない衣装と言えるだろう。

 スカートがない代わりに、大事な部分は、陰陽の紋章が刺繍された前掛けで隠れている。

 相貌から服装にかけてすべてが高水準。

 鼻筋もスッとしており、顔全体のパーツもバランスが良く、成長すればかなりの美人になりそうだ。

 もう少し俺が若ければ彼女が気になっていたかもしれないね。


 それはさておき、

 イェルは胡乱な目で俺達を見つめている。

 俺は一歩前に出て彼女へと丁寧にお辞儀をする。


「夜分遅くに申し訳ございません。連れの者が深刻な内傷を負いまして、いますぐ治療して頂きたいのです」


 事情を説明すると、イェルはロゼを一瞥し、面倒くさそうにため息をついて俺達を屋敷へと招き入れた。


「内傷を負うほどの相手だったのですか?」

「俺が強すぎたんだ」

「楽しそうな人生で何よりです」


 イェルは興味なさげにそう返事を返し、診察台にロゼを乗せるように指示した。

 俺はロゼを仰向けに寝かせる。

 イェルは、小さな子供が使用するような踏み台に乗って、ロゼの治療を始めた。

 彼女の着ている衣装の袖が異常に長いため診察の際も手の先は見えない。


「ここに来る前に経穴を数か所衝きましたね」

「ああ、走火入魔に陥りかけていたから、俺が勝手に衝いた」

「ここまで完璧な点穴を見たのは久しぶりです。医者である私ですら乱れた霊脈を遮断するのは難しいというのに……」


 イェルは冷や汗をかいて俺のやった応急処置に驚いている。

 なんか知らんけど、もしかして褒められてるのか?

 点穴とは、経穴を衝いて気の流れを調節する技術の事だ。

 俺が使用する武術、雷天剣では《霊糸》を制御する高度の繊細さが要求されるため、もしかするとその技術の恩恵かもしれない。


「いずれにせよ、不幸中の幸いですね。もしアナタの応急処置がなければ、内功に後遺症が残っていたかもしれないです」

「やれやれ、ロゼの奴め。随分と無茶をしやがって……」


 イェルの言葉を聞いて、俺は改めてロゼに呆れてしまった。

 彼女は全力で戦えて満足できたかもしれないが、その後の対応をする俺の身にもなって欲しいものだ。

 ロゼが目覚めたらちゃんと説教してやらないとな。

 霊脈の治療は20分ほど続いた。

 治療が終わり、イェルが大きく息を吐いて踏み台から降りた。


「治療が終わりましたです」

「ありがとうございます先生。このご恩は一生忘れません」


 臣下の礼によく似た感謝の礼を行う。これは、江湖では最大限の感謝を伝える意味合いがある。

 一方、イェルはそっけない反応であり、それが仕事だからとクールに返事をした。

 外見は幼い子供であるが、医術の腕前は一流であることがわかった。


「治療は済みましたが、しばらくを経過を見たいので入院を提案するです」

「もちろんだ。イェル先生のお言葉に従うよ」

「うふふ、良い金蔓ができたです」


 と袖で口元を隠しながら上品に笑う。


「あの、普通に聞こえてるんですけど」


 冗談なのか本気で言ってるのか妙にわかりづらい雰囲気漂う不思議な幼女に俺は苦笑した。


【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

イェル:神医。

ロゼ:天魔の一人娘。


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