表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/110

第5話:霊力武装

 深呼吸して内功を練る。

 すると、全身に雷天龍の霊力が駆け巡り、体が一枚の羽根のように軽くなる。


 霊力武装。

 雷天剣の基本の一つ。

 雷天龍の霊力を纏うことで、様々な物理法則を無視できるようになる。


 ゆっくりと手を伸ばして鉄格子に手を触れる。

 たったそれだけで、鉄格子が大爆発を起こして視界から消し飛んだ。

 俺の前方では唖然となっている看守。


「お前達は俺を怒らせた。よって、これから処刑を開始する。懺悔の用意はできているか?」

「ふ、ふざけやがって! 神に許しを請うのは貴様の方だ!」


 看守は剣を抜いて襲い掛かってくる。


「しゃあっ!」


 振り下ろされる刃を俺は避けることなく全身で受け止める。

 すると、俺には傷一つつくことなく、奴の剣だけが粉砕された。


「なにっ!?」

「今の俺の強度は、この世で最も硬度のある鉱物、オリハルコンと同じ硬さだ。何人たりとも俺に傷一つつけることはできない」


 俺はそう答えて、右腕を大きく後ろに振るう。


「《雷掌底》!」


 看守の腹めがけて掌底を放つ。

 攻撃が直撃すると自然界の雷に匹敵する凄まじい電撃が看守の全身に流れる。

 バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!


「ぎゃああああああああ!?」


 看守は悲鳴を上げて消し炭となる。

 白目を剥いて口から黒い煙を吐いた。

 そのまま地面に仰向けで倒れた。

 奴が戦闘不能になったのは言うまでもない。

 このダメージ具合なら一か月は入院確定だろう。


「何が起こったんだ!」

「おい見ろ! 邪派のアイツが牢屋から脱出してるぞ!」

「殺してやる!」


 すると今度は別の看守たちがゾロゾロとやってくる。

 その数は十人を超える。

 剣を抜いて一斉に襲い掛かってきた。

 軽功を身に着けている者もいて、身軽になって空を飛ぶように迫ってくる。


 しかし、俺は奴らよりも何十倍も速い速度で移動して全員を拳でねじ伏せていく。


「がふっ!」

「ひでぶっ!」

「めめたっ!」


 攻撃を当てるたびにカエルの潰れたような声を上げて壁や地面に叩きつけられて戦闘不能となる正派の武人達。


「な、なんだあいつ!?」

「いくらなんでも速すぎる!」


 俺が速いんじゃない。お前らが遅すぎるだけだ。

 俺の基本速度は雷速。

 雷と同じ速度で移動できるに過ぎない。

 超一流の武人なら神速で移動できるらしいので、俺はまだまだひよっこに過ぎない。

 まあそれでも彼らのような有象無象の武人を成敗できるだけの強さはあるが。


 俺は奴らをまとめて一掃するために両手に霊気を集約させる。


「絶招一式『迅雷一閃(ライトニング)』」


 すかさず同時に前方に突き出して技を放つ。

 極太の光線が発射されて、視界の先にいる武人達を建物ごとまとめてふっ飛ばした。

 武人達の醜い断末魔は雷鳴によって一瞬でかき消された。

 今の一撃で建物は半壊。


 綺麗な星空が上空に広がっていた。

 外はとっくに夜になっていたようだ。

 のんびりと夜空を眺めたかったが、その前にアリアンナを助けるのが先だと判断する。


 意識を集中させて全方位にアリアンナの霊気を探る。

 アリアンナは西の方角にいることがわかった。

 障害となる壁は拳で破壊しながら一直線に向かっていく。


 片手で数えられる秒数でアリアンナのもとへと到着した。

 アリアンナは両手を手錠で拘束されて壁際に繋がれていた。

 看守から暴力を振るわれたみたいで、服の一部が破かれていた。


「アリアンナ!」

「ルクスさん! 無事だったんですね!」

「俺は大丈夫だ。すぐに助けるから少し待ってろ」


 俺はそう伝えて近くにいる卑劣な正派の看守をにらむ。

 奴は、俺の姿を確認して酷く狼狽えていた。


「よくもアリアンナに酷いことをしてくれたな。生きて帰られると思うなよ」

「ひっ!? お、お前。俺達の後ろに誰がいるのか知らねえのか!」

「知ってる、聖女セレナードだろ」

「そりゃあ知らねえだ……な、なにぃ!? セレナード様がいるのがわかってて喧嘩を売ってるだと!?」

「セレナードによく伝えておけ、今度俺達に手を出すと命の保証はないとな」


 俺はそう告げて、看守に向けて巨大な雷撃を放った。

 この日を以て、この街に拠点を構えていたエメロード派の支部はすべて壊滅した。



 ◇ ◇ ◇


 翌日、ルクス達が去った街にやってきたセレナードは、壊滅的な被害を受けたエメロード派の建物を見て絶句した。

 ルクスと戦って病院送りになった正派の武人は実に50人にも及ぶ。

 奇跡的に死者は一人もいなかったが、そのすべてが一か月以上の入院となった。


 この情報を受けたセレナードは、表向きは笑みを浮かべつつも内心激しく怒り狂っていた。


(ルクスめえええええええ! 聖女である私に大恥をかかせるなんて絶対に許せません! 秩序神エメロードに誓って必ずこの世から抹殺してやります!)


 セレナードはルクスに復讐を誓った。

 白銀の妖精という異名を持つほどの絶世の美女であるが、その内面性は大きく歪んでいた。

 そして、彼女には残念な情報だが、彼女の復讐が成就することは永久にやって来ない。

 なぜなら、彼女が潰そうとしているルクスという武人は、彼女の想像を遥かに上回るほどの超一流の達人であったからだ。

 セレナードがその事実に気づくのはまだまだ先の事になる。

【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

アリアンナ:エルフ族の女の子。

セレナード:エメロード教の聖女。エメロード教のためなら手段を選ばない恐ろしい女。


【読者の皆さまへ】

この小説を読んで


「面白い!」

「続きが気になる!」


と思われたら、↓の☆☆☆☆☆ボタンを★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!

多くの皆様に読んでもらうためには、どうしてもブックマークと星が必要となります! 

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この話の終わりに よくありがちな この先〇〇は無い的な事を入れたがるが 結局の所 ネタバレである 蛇足
[一言] 奇跡的?何言ってんだか。 雷速って事は、雷と同じ速さなんだよ?つまりは、殺す事なんて造作もないのに、わざわざ全員生かしておいたんだと思うよ。 伝言を伝えさせる為にね。 それにしても、弱…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ