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第27話:獣王剣(7)

 山賊を全滅させた俺は彼らを全員縄で拘束する。

 逃げ出そうとする者もいたが俺が電撃を放つと全員大人しくなった。


 その日のうちに次の街へと到着した。

 門番へと事情を説明して盗賊たちを全員突き出した。


「アナタ方が捕まえて下さった山賊には我々も頭を悩ませていたんです。成敗して下さりありがとうございました」


 すると、その町の人々達は涙を流して喜んだ。


「す、すごい!? 賊を捕まえただけでこんなに喜ばれるなんて!」

「良かった。ここでは正当に犯罪者が裁かれるんだ」

「以前はルクスさんがなぜか罪人扱いでしたからね」

「アンタ達、今までどんな無法地帯で暮らしてたのよ……」


 門番から歓迎されて街の中へと入場する。

 今回はロゼの正体を明かす必要がなく、一般の旅人として歓迎された。


 前回の街と比べると規模が小さい。

 それでも、最低限の施設は揃っているので生活には困らないだろう。

 国が同じなので文化面も同じみたいだ。

 

 町に到着したころには日も暮れていたので、その日は近くの宿屋で一泊した。

 翌朝、地元民より美味しい食堂を教えてもらったので、俺達はその食堂へと足を運んだ。

 扉を開けて周りを見渡す。

 武人や一般人などが入り混じって食事を取っていた。

 客の数はたいへん多く、地元でも人気な食堂であることが伺える。

 店内を見渡していると、突然、大きなキツネ耳を頭部に生やした獣人の女の子が駆け寄ってきた。


「あっ、ゾロ様。もー、ずっとここで待ってましたよ。一体どこに行かれていたんですか」


 は?

 なんだこいつ。

 いきなり名も知らぬ女性から話しかけられて俺達は困惑する。


「えっと、人違いでは……? 彼はゾロじゃなくて」


 と、ロゼがここまで口を開いたタイミングで、女性が「お願い。いまは私に話を合わせて」と小声で懇願した。

 彼女の視線の先には俺と同年代くらいの青年が立っている。


 詳しい事情はわからないが彼と揉めていたのかな。

 それで、俺達が近くを通りかかったから、それを利用して彼との話を断ち切ろうとしていると見た。

 困っているようだし今回は話を合わせてやるか。


「悪い。随分と待たせてしまったな」

「ごめんなさい、テッド。連れが来たみたいだから話はまた今度ね♪」

「貴様、この俺が青龍団のメンバーなのを知っての振る舞いか。今回の一件で朱雀団への支援の話はなくなったと思え」


 テッドなる人物は、ピキピキと額に青筋を浮かび上がらせて激怒している。

 一触即発のような雰囲気だったが、流石に公衆の面前で剣を抜く事はせず、テッドは乱暴な足取りで店から出て行った。


 それを確認したケモミミ女は大きくため息を吐いて、俺達に対して深々と頭を下げた。


「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。突然のことで困惑なさいましたよね。彼も、いまのが私の演技だと気づいてますので。皆様にご迷惑が掛かることはないと思います」

「俺は別に気にしてないが大丈夫なのか? 支援がどうとか言ってたぞアイツ」

「あいつ。私の師匠を馬鹿にしたんです。そんな奴らの支援なんてこっちから願い下げです」


 ケモミミ女は鼻息を荒くして怒りを露わにする。

 理性より感情が先に動くタイプか。

 まずいな。

 こういうタイプが一番面倒くさい。余計なトラブルを運んでくるからな。


「それな。師匠を馬鹿にされたら黙っていられないわよね。私だったらその場で首を刎ねていたわ」


 感情で動く野蛮人がここにもいた。

 笑顔で同意するロゼに、俺とアリアンナは苦笑する。

 俺が記憶してるだけでも二回、ロゼは突然相手に斬りかかっている。

 目の前にいるケモミミ女の対応はロゼ的には大正解なのだろう。

 一方で、俺はあまりそういうのは気にしない。

 イラッとはするが、やはり利益の方が優先であるからだ。


「あはは、アナタ様とはなんだか話が合いますね。

 おっと、紹介が遅れました。

 私は朱雀団に所属している凛花(リンファ)です。

 剣の流派は獣王剣で、

 《蛇の型》を習得しています」


 凛花は丁寧にそう答えた。

 名前が若干東方大陸傾向(オリエンタルチック)なので、"百年戦争"よりも昔から暮らしていた先住民なのだろう。


「凛花さんか。俺は旅人のルクスだ。この二人は俺の連れで一緒に旅をしている」

「どうも、エルフ族のアリアンナです」

「ロゼよ」


 アリアンナとロゼはそれぞれ凛花に挨拶を交わした。


「ルクスさん、アリアンナさん、ロゼさんですね。先ほど迷惑をおかけしましたので、今回の食事代は私が出しますよ」

「え? 大丈夫? お金が必要なんじゃ?」

「私のポケットマネーで出すので問題ありません。それに、師匠の教えで、助けていただいた方には礼を尽くすようにと教えられていますから」


 先ほどの一件を引き合いに出して俺達にお礼をしたいご様子。別に損する話でもないので俺達は快く彼女の誘いを受け取った。


【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

ロゼ:天魔の一人娘。

アリアンナ:エルフ族の一人娘。

凛花:獣王剣の使い手。


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