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第24話:獣王剣(4)

 宿屋に戻った俺は夕食まで時間があったので風呂へと一人足を向けた。

 脱衣所で服を脱ぎ、宿泊者が利用できる大浴場へと足を踏み入れるとそこには今朝ロゼにボコられたあの大男がいた。

 故郷に帰れとロゼに煽られていたが、まだここに居座っているようだ。


(アイツもこの宿屋に泊まっていたのか。またロゼにちょっかいをかけなければいいが)


 彼はロゼの正体を知っている。

 ロゼの方が遥かに強いとはいえ、面倒事に巻き込まれるのは俺も遠慮願いたい。

 とりあえず、俺からは特に接触をかけずに、体を洗おうかね。


「うむ? おお! お主はたしか、あのお嬢ちゃんの連れか!」


 げっ。

 一瞬で気づかれてしまった。

 あの場では極力目立たないようにしていたが、どこかでロゼと会話するところを見られたのだろうか。

 見かけによらず洞察力はあるようだ。


「たしか、炎天四剣のギラグだったか?」

「いかにも。朝は情けない姿を見せてしまったが、俺はまだあのお嬢ちゃんに勝つことを諦めていないぜ」

「ロゼに勝負を挑むのはお前の勝手だが、しつこい男は嫌われるからほどほどにしろよ」


 俺はクールにそう返事を返した。


「がはははは! 連れからもあまり歓迎はされてないみたいだな!」

「俺は平和主義なんでな」

「それなら俺も迷惑をかけないようにしないとな!」


 ギラグは豪快に笑った。

 どうやらロゼに対して恨みを抱いている様子はないようだ。むしろロゼの強さを認めており、発言にも嫌味を感じない。

 少なくとも悪人ではない。関わり合いになりたいかというと話は別だが。


「お主、名前は?」

「ルクスだ」

「武人か?」

「まあ一応な。ほとんど引退してるよ」

「ふむ、引退してなければ勝負を挑んでいたのに残念だ」

「勘弁してくれ」


 彼もロゼに負けず劣らず戦う事が大好きな性格のようだ。

 とはいえ、霊力武装ができない武人なので、強さはたかが知れてる。

 この調子で誰彼構わず戦いを挑んでいけば、いずれ死ぬだろう。


 頭の中で彼の今後を静かに分析する。


「特に話がないなら俺はもう自分の作業に戻るぞ」


 俺はギラグにそう告げ、壁際へと寄って一人で体を洗う。

 ギラグの視線を感じたが、特に何かしてくるわけでもなく、入浴は特にトラブルなく終わった。

 大浴場から寝室へと戻ると、アリアンナが午後に勧誘から貰ったチラシを熟読していた。

 部屋を見渡したが、ロゼの姿は見当たらない。

 どこか出かけたのだろうか?


「獣王剣に興味があるのか?」


 背後から呼びかけながらテーブルの上に手をのせた。


「興味がないわけではありませんが、ルクスさんに武術を学んでる途中ですのでそっちが優先です」


 まだ身体ができていないので、正式な修練はもう少し先になるが、アリアンナは現在俺から座学を学んでいる。

 俺の訓練を優先してくれる彼女の発言は、教えている俺からするとすごく嬉しく感じた。


「私が気になったのは、獣王剣に弓を用いる型が存在するかどうかです」

「あー。そういやあの青年、色々な型があるとか言ってたな」

「もし弓を用いる型があるなら知っておいて損はないかと思いました。ルクスさんも弓術に関する武功は知らないって前に言ってましたし」

「たしかに弓術は俺も門外漢だな」

「それに、私が武功を身につければ、いざという時にルクスさんを守ってあげられます」


 アリアンナはニコリと柔らかい笑みを浮かべた。

 彼女のその優しい言葉は俺の心を温かい気持ちにした。


【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

ギラグ:筋肉に自信がある武人。

ロゼ:天魔の一人娘。

アリアンナ:エルフ族の女の子。


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