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第22話:獣王剣(2)

 入り口には2メートルを超えるほどの巨漢。肉体はとても鍛えられており達磨のように盛り上がっている。

 髪は赤く、背中には大剣を背負っている。

 年齢は30代前後のおっさん。

 そういえば、ギラグといま名乗っていたな。


「わあ! すごく大きい人!」

「何食べたらあそこまで体格が良くなるんだろうな」


 俺とアリアンナは他人事のように話をして、目の前の大男を眺める。

 一方、真面目な顔を浮かべているロゼが彼の前に立った。


「私がアンタの探している天魔宝剣よ」

「がはは! お前があの有名な天魔の娘か。随分と小さいんだな」


 小さいという言葉にカチンと来たのか、ロゼは顔を引き攣らせながら返事をする。


「小さくて悪かったわね。売られた喧嘩は買ってあげるのがアビスベルゼの慣習よ」


 ロゼはそう告げると、二言目には抜刀してギラグに斬りかかる。

 しかし、その刃は鍛えられた筋肉によって阻まれてしまう。


「むっ!? 金剛不破か……!」


 ロゼはそう叫んで、ギラグといったん距離をとった。

 剣を中段で構えながら大男をジッと睨み据える。


「ルクスさん。"金剛不破"ってなんですか?」

「体を鋼のように硬くする技術のことだ」


 と、俺はアリアンナに端的に説明する。

 すると、大男が自慢げに豪快に笑う。


「がははははは! その通りだ! 幼い頃から鍛えてきた俺の肉体はどんな強固な防具よりも硬いぜ!」

「ふんっ。筋肉ダルマになれば勝てるほど武術の世界は甘くないの。それをアナタに教えてあげるわ」


 ロゼはそう叫ぶと体内の霊力を開放して体に纏う。

 一流武人の象徴ともいえる《霊力武装》である。

 この状態になれば常人では考えられないスピードで動くことができる。当然、生半可な攻撃もすべてシャットアウトだ。肉体の限界を超越できるといっても過言ではない。


 ロゼの姿が文字通り消えて、一瞬でギラグの膝元まで踏み込んだ。


「なに!?」

「実家に帰りなさい、三流」


 ロゼの一振りでギラグの体が吹き飛んだ。ギラグは向かいにある壁にたたきつけられて白目を剥いて気絶した。


「す、すげえあのお嬢ちゃん! あんなに強そうな人を一瞬で倒すなんて!」

「やっぱり筋肉キャラってかませなんだな!」

「かわいくて強いなんてあんな子と付き合いたいなぁ」


 戦いを眺めていた周囲の野次馬が思い思いの感想を述べた。

 納刀して、俺のところへと戻ってくるロゼ。


「やるじゃない」

「当然でしょ。私は天魔の娘よ。有象無象に負けるほど弱くはないわ」


 ロゼはクールに答えた。


「ただ、こんな街中で喧嘩して大丈夫なのでしょうか?」


 アリアンナは不安そうにそう口を開いた。


「大丈夫大丈夫。この地では、武人同士の喧嘩は日常茶飯事なの。弱い奴が悪いという共通思想があるから罪には問われないわ」


 そういえば、以前も似たようなことをロゼが言っていたな。


「ルクス。アナタもここで暮らしていけば、さっきのような輩に絡まれることもしょっちゅうあるはずよ。その時は遠慮なくぶっ飛ばしていいわよ」

「あの、ロゼさん。アビスベルゼって武人たちが仲良く暮らす平和な土地って聞いたんですけど。言っちゃなんですけど、完全にスラム街のノリじゃないですか」

「平和な土地? そんなこと言ったかしら。忘れちゃった(^^♪」


 こ、こいつ。

 俺たちを騙したな。なんて奴だ。


「とはいえ、武人ではない一般市民や官軍を殴るのは基本NGよ。弱肉強食とされるこの土地でも最低限のルールはあるから逸脱しないようにね」

「わかってるよ。俺は誰かさんみたいにいきなり剣を抜いたりしないから」

「うふふ。わかればよろしい」


 ロゼは笑顔を浮かべながら満足そうに頷いた。


【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

ロゼ:天魔の一人娘。

アリアンナ:エルフ族の女の子。


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