第21話:獣王剣(1)
草木のない乾燥した砂漠から背丈の低い草木がチラホラと生い茂る荒野へと風景が変わっていく。
その先には大きな都市があり、ロゼによるとカルネと呼ばれる街だそうだ。
強固な石材で建設された城壁が都市の周囲を囲っている。いわゆる要塞都市と呼ばれるものだろう。国境の近くという事もあり、防備に力を入れており、外敵の侵入を防ぐことに特化している。
正門の前には屈強が兵士が何人も立っており、俺達の姿を確認すると不審な目つきで観察し始めた。
「この辺では見かけない顔だな。どこの所属だ?」
「ここに所属してるわ」
ロゼは兵士に宝剣を見せる。
すると、兵士の一人は表情が大きくゆがみ、慌ててロゼに平伏した。
「"天魔宝剣"様でしたか。これは大変失礼しました」
「気にしなくていいわ。それがアナタ達の仕事ですもの」
「はは~!」
俺の隣にいるアリアンナが俺の耳元で囁く。
「ロゼさんって本当にすごい方なんですね。正体を知った人がみんな平伏してますよ」
「彼女が側にいればどんな関所も簡単に通れるだろうな。本当にありがたい限りだよ」
ロゼの持つ圧倒的な権威はアビスベルゼを旅する上でとても有用だ。
ロゼのおかげで、トラブルなく俺達は門を通過した。
その後、俺達は比較的大きな宿屋に宿泊した。
この街には一週間ほど滞在する予定なので、その間の宿泊費を前払いで支払った。
さて、今回の部屋の図式であるが、ロゼも俺と一緒の部屋に宿泊したいと言い出したのだ。
「べ、別に、ルクスと一緒がいいと言うわけではないわ。
天魔の娘だとわかると、変な輩が近づいてくるかもしれないから、その対策も兼ねて三人で泊まった方が効率的だと思ったの!」
ロゼは赤い顔をしながらそう早口で述べた。
俺はどちらでも良かったので、ロゼの希望通りに三人部屋を選択した。
宿泊代もこっちの方が若干割安になるしね。
都心部ということもあり、客室は上品であり、上客に向けたような配慮が行き届いていた。
「久しぶりのお布団ですごく嬉しいです。今日はぐっすりと眠れますね」
「ええ。砂漠越えで最近疲れがたまっていたから、すごくありがたいわ」
二人とも部屋を気に入っており、ベッドの近くでそう述べている。
その後、俺達は宿屋に併設している大浴場へと向かう。
残念ながら、混浴ではなく男女別々であったので、ラッキースケベ的なイベントは起こらなかったが、ここ数日の疲れは完全に取れた。
変な輩とも遭遇せず、その日は特に何事もなく終わった。
問題が起こったのは翌日の朝だ。
宿屋の一階にて、身長が2メートル以上もある巨大な武人が店の出入り口をふさいでいたのだ。
動揺する店員に、威勢よく名乗りを上げる大男。
「ここに天魔宝剣が宿泊してると耳にした! 炎天四剣のギラグがやって来たと伝えろ!」
【強さの段階】
神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人
【登場人物】
ルクス:化境の武人。
ロゼ:天魔の一人娘。
アリアンナ:エルフ族の女の子。
【読者の皆さまへ】
この小説を読んで
「面白い!」
「続きが気になる!」
と思われたら、↓の☆☆☆☆☆ボタンを★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!
多くの皆様に読んでもらうためには、どうしてもブックマークと星が必要となります!
よろしくお願いします!