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第18話:砂漠越え(4)

 引き返してると、緩やかな丘の上にロゼが立っていた。

 どうやら先ほどの戦いをそこから眺めていたようだ。


「ルクスの言葉は本当だったのね。それで、彼らの正体はわかった?」

「いや、結局最後までわからなかったよ。もしかすると盗賊の類なのかも」

「盗賊にしては強すぎるわ。陣法も使えるし、ここまで隠密能力の高い達人達も中々いないわ。相当訓練を受けているはずよ」

「盗賊の線が薄いなら、あまり考えたくないが、武術連盟が送った刺客だろう。彼らは俺に対してあまり良い感情を持っていないからな」

「殺し屋を送ってくるなんて完全に黒道の手口ね。

 正義面して他の武術を侮辱するから、武術連盟のことは元々嫌いだったけど、今回の一件でもっと嫌いになったわ。

 ルクス、彼らと縁を切って正解だったわね」


 口座を氷結されたり、神官が襲って来たり、逮捕されて処刑されそうになったりと心当たりが多すぎる。

 さっきの奴らも武術連盟の刺客だと考えたほうが最も自然だろう。

 そして、武術連盟とは二度とかかわらないようにしようと心に誓った。


 翌日、俺達は早朝のうちにその場を出発した。

 アリアンナも大切な仲間なので、隠し事はせずに、刺客のことはしっかりと話しておいた。


「えー!? そんなことがあったんですか!? めちゃくちゃ危険な状況じゃないですか今のルクスさん!?」

「考えが甘いわね、アリアンナ。武人というのは命を狙われてこそ一人前なの。達人級の刺客達を瞬殺するルクスは最高にクールだったわ!」


 昨夜は真面目な話をしていたのに、今日になるとロゼは昨日の戦いを賛美するようになった。

 そういえばロゼは、初対面の俺にバトルを仕掛けてきたほどの戦闘狂だったな。


「案ずるな、アリアンナ。砂漠を越えればそこはもう天魔神教の地だ。武術連盟から命を狙われる可能性は限りなくゼロに近づく」

「それならいいんですが……。それにしても、刺客を送ってまでルクスさんを消そうとするなんて、人間サンの悪意は本当に怖いです……」

「まったくだな」


 アリアンナの言葉に同意しつつ、俺達三人は新天地を目指していった。

 平和主義の優しい武人がたくさんいると言われている理想の国『アビスベルゼ』はもうすぐそこだ。



 ◆ ◆ ◆


【セレナード視点】


 クルセイダーは教会を裏切ることができないように特殊な霊具を持たされている。

 セレナードのような超上級国民は、それを活用して彼らの生死を判別したり、遠くから指示を送ったりできる。

 だが、今日は違っていた。

 本来、一日ごとに送られてくるはずの定期連絡が、突然届かなくなった。


 それも一人や二人ではなく全員だ。

 セレナードは不審に思って通信機を取り出し、彼らと連絡を取ろうと試みる。



 しかし……

 ピーピーピー。


 誰とも繋がらなかった。

 それはつまり、彼らが死んだ事を意味していた。

 無意識のうちに、彼らに投じた教会の費用を頭の中で計算する。


 *******************

 達人級の武人七名:約70億メルの損失。

 霊具七つ:約7億メルの損失。

 →計77億メルの損失。

 *******************


 ドンッッッ!!!!!!!

 セレナードは怒りのあまり机を両手で打ち叩いた。


「おのれえええええええ! ルクスめぇええええええええ! こいつらを雇うのに私がどれだけ枢機卿に頭を下げたと思っているんですかあああああああああああああ!」


 叫ぶだけでは怒りが収まらず、セレナードは杖を振り回しながら半狂乱になる。


「はぁ……はぁ……はぁ……。ルクス、これで終わったと思わないでください。必ずやアナタを殺して差し上げます」


 セレナードはそのように誓った。

 すると、突然。


 コンコンコン。


 セレナードが現在止まっている宿屋の寝室の扉をたたく音が聞こえた。

 セレナードが扉を開けるとそこには、不安そうな表情を浮かべているスカーレッドがいた。


【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

ロゼ:天魔の一人娘。

アリアンナ:エルフ族の女の子。


【読者の皆さまへ】

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