第16.5話:砂漠越え(2)
ゴブリンをすべて掃討したので俺達は再び砂漠を歩き始めた。
水分や食糧等の荷物は充分確保してるのでまったく問題ない。
俺達の砂漠の横断は順調そのものだった。
半日ほど砂漠を歩くと、徐々に日も暮れて来たのでラクダから荷物を下ろして野宿の準備を始める。
役割を三人で分担して効率よく取り掛かったのであっという間に準備が完了した。
「今日は俺が料理を作るよ」
「ルクスって料理ができたのね」
「ルクスさんの料理はすごく美味しいんですよ」
「それは楽しみね」
ロゼは笑顔で俺の料理を楽しみに待っている。
俺は炒飯を作ろうとフライパンに油を敷いた。
すると、ロゼが手で遮って慌てて制止する。
「ちょっ、ちょっと待って!? ルクス、あなたいま何しようとしてるの!?」
「うん? 油を引いて炒飯の材料を炒めようかと思っているんだ」
「炒める!? 炒めるってなに!?」
どうやらロゼは炒めるという調理法を知らないようだ。
食文化は国によって大きく異なると聞いているので、ロゼが炒める手法を知らないのもそれが理由かもしれない。
俺は丁寧にロゼに炒めるという調理法を説明した。
「す、すごいわ。焼くと茹でる以外にそんな調理法があったのね。油なんて『炮烙の刑』でしか使わないと思っていたわ……」
それはそれでマニアックすぎる。
俺はロゼの言葉に苦笑した。
炮烙とは、多量の油を塗った銅製の丸太を渡し、その熱された丸太のうえを罪人に裸足で渡らせる刑罰である。
その後、炒飯の調理を実演し、数十分ほどで作り上げてしまう。
今回はシンプルな炒飯を味わって欲しかったので、玉ねぎやにんじんなどの王道野菜に加えて、味付けも塩胡椒のみだ。
「ほら召し上がれ」
「い、いただきます」
ロゼはスプーンで炒飯をすくいおそるおそる口へと運ぶ。
すると、ロゼの顔面に笑顔が咲いた。
「すごく美味しい! これが炒飯! こんなに美味しい料理初めて食べたわ!」
一心不乱に炒飯をかき込み、一分もしないうちに平らげてしまった。
「おかわり!」
「ロゼさんもすっかりルクスさんに胃袋を掴まれちゃいましたね」
「ええ! こんなに美味しい料理を食べられるならルクスの子供になってもいいわ」
アリアンナも俺のことをママと以前呼んだが、俺は彼らとそこまで歳が離れてないんだけどな。
「ルクスさん。私にも炒飯を作ってください」
「あいよ。材料ならたくさんあるからお腹いっぱいになるまで作ってやる」
「やったー!」
こうして、俺達の楽しい夕食の時間が過ぎていった。
【強さの段階】
神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人
【登場人物】
ルクス:化境の武人。
ロゼ:天魔の一人娘。
アリアンナ:エルフ族の女の子。
【読者の皆さまへ】
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