表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/110

第2話:襲撃されました

 パーティを追放されてからというもの俺は酒場を転々と巡ってやけ酒に勤しんだ。

 気がつくとすでに一週間が経過していた。

 しかし、時間が経ったことで沈んでいた気分も随分と回復した。

 今ではある程度の冷静さを取り戻している。


 武人としての自分をすべて捨てて辺境でスローライフを送ろう。

 俺はそう決意して《武術連盟》が管理する銀行へと預金を引き出しに向かった。


 武術連盟は国中の武人を管理する中央組織。

 王家には属しておらず、"四大門派"の掌門人が顔役となる。

 掌門人とは、それぞれの門派の各トップのことで、

 武術連盟の場合は四人いる。


 武術連盟の施設では、クエストを行ったり、パーティを組んだり、銀行のようにお金を預けたりできる。

 本日限りで武術連盟とは縁を切る予定なので全額お金を引き出そうと思った。


 だが、信じられないことが起きていた。


「俺の口座が氷結してる?」


 預金を引き出そうと思ったのに、名簿から俺の名前が削除されていたので1メル足りとも引き出すことができなかった。


 おいおいおいおいおいふざけんなよ正派の連中。

 やっていいこととやっちゃいけないことの違いもわかんねぇのかよ。

 俺が体を張って稼いだ金返せよ!


 近くの受付に抗議するも、受付はマニュアル通りの事務的な対応をするばかり。

 まったく話にならなかった。

 怒りで血管が切れそうになった俺は、すぐさま外に飛び出して町外れの公園まで全力で走った。


「死ねぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!」


 公園の中央で俺は全力で叫んだ。

 魔王軍よりも口座を氷結した武術連盟のほうが100倍殺意が湧いた。


 そして、更なる面倒事が俺の目の前に飛び込んでくる。


「お前が噂のルクスだな」

「この邪道め」

「エメロード様に代わって成敗してやる」


 見知らぬ神官達が俺に近づいてきて俺を取り囲んだ。

 人数は三人。

 全員男性。

 白色の神官衣装を纏っており服装に個性はない。

 彼らはすべて手には剣を握っていた。


 敵意を持った不審な奴らが近づいてきたので、俺は注意深く彼らを睨み据える。


「お前らは何者だ? 俺と友達になりたくて近づいてきたわけでは無さそうだな」


 すると、中央の神官が俺の質問に代表で答えた。


「我らは《武術連盟》に所属する剣士。白道の象徴である"四大門派"を受け入れず、邪道へと身を落とした貴様を成敗するために"エメロード大教会"より参上した」

「"神聖剣"か。三人いるということは《天底の型》の使い手と考えたほうがよさそうだな」

「むっ!? この一瞬で我々の流派を見抜くとは……邪道剣士の割にはなかなか勉強してるようだな」


 神官は感心したように自身の顎を撫でた。

 もう片方の手は腰の剣に手を当てている。


「どういたしまして。あなた方に好かれるようにたくさん勉強しましたからね」


 俺は皮肉交じりにそう答えた。


 ちなみに今の発言自体はマジだ。

 俺も俺なりに友好的な関係を築こうと努力はした。

 まあ無理だったが。


 彼らの雰囲気を見た感じ、戦いは避けられないみたいだ。

 彼らと対峙する中で、俺は改めて"四大門派"の基本情報を頭の中で整理した。


 ◇ ◇ ◇


 四大門派。

 王国で主流となっている巨大な剣術派閥。


 神聖剣、紅蓮剣、白氷剣、獣王剣。

 この四つは、この国の剣術の縮図、そのものと言っても過言ではない。


 王国に暮らす武人なら、必ず四つのどれかに属していると言われるほどの絶大な影響力がある。

 メイン武器は必ず剣。

「剣以外の武器はすべて邪道」と断言するほど剣術を妄信している。


 門派ごとに本部が存在しており、今回の"神聖剣"は"エメロード大教会"を本拠地とする宗教系の門派だ。


 光属性の武功を得意としており、《結界》や《回復》などのサポート技が多い。


 そして今回、彼らが習得してる"天底の型"は、攻撃役の剣士一人に対して、残り全員でサポート技をかけるものだ。

 重要なのは、どいつが攻撃役であるか見極めることだが、目の前の相手は馬鹿正直に一人が攻撃の構えを取って、残り二人がサポートの構えをとった。


 技を放つ前段階からそれぞれの役割を敵に教えるとか三流もいいとこだ。

 少なくとも、彼らに対して《雷龍刀》は使わなくても良さそうだ。


 攻撃役の握る剣の刀身に、サポート役が自身の剣をくっつけて大量の霊気を注ぐ。

 すると、攻撃役の剣が光り輝いた。


「邪道に堕ちたルクスよ! 貴様に神罰を下す! いざ、参る! ホーリースラッシュ!」


 一直線に俺へと向かってくる。

 刃の矛先は俺の顔面。

 俺は刃をギリギリまで引き付けてクルリと身を翻して奴の刀身を素手で掴んだ。


 次の瞬間、俺の注ぎ込んだ霊気によって刀身が破壊された。


「なにっ!?」

「そんな単純な剣の軌道では魔将一匹倒せないぞ」


 俺はそのように忠告して奴の顔面に裏拳を放つ。

 奴は鼻血を吹き出しながら吹き飛んで奴の背後にいた残り二人を押しつぶすように倒れた。



【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。


【読者の皆さまへ】

この小説を読んで


「面白い!」

「続きが気になる!」


と思われたら、↓の☆☆☆☆☆ボタンを★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!

多くの皆様に読んでもらうためには、どうしてもブックマークと星が必要となります! 

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] すごく続きが楽しみです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ