第8話:謎の少女(2)
「この旗に書かれている天魔神教って、ちょうど今向かってる『アビスベルゼ』の国教ですよね?」
「もしかするとこの村は天魔神教の支配下なのかもしれない」
「へー。それは運がいいですね。砂漠を越えずともアビスベルゼの村にたどり着きましたよ」
アビスベルゼとは隣国の正式名称である。
「ルクスさんルクスさん。後半の"天魔神教"はわかるんですが、前半の"強尊弱死"ってどういう意味なんでしょうか? さっぱり意味が分かりません」
実は俺もよくわからん。
天魔神教の素晴らしい協和思想から考えるに、これはきっと良い意味に違いない。
「"強いと尊敬されるが、弱いと魔物に殺されてしまうので、一生懸命強くなりましょう"という意味だと考えられる」
「おおおおお! なんかそれっぽいですね! やっぱり天魔神教ってとても優しい素晴らしい流派なんですね!」
アリアンナは旗に向けて笑顔で拍手する。
すると、俺達の様子を遠くで眺めていた少女が近づいて来て、俺達に声をかけた。
外見の年齢は14歳くらい。
オリエンタルな衣装を纏った黒髪の女の子。
長いツインテールが年頃の少女らしさを感じさせる。
「ねえねえアンタ。いま、天魔神教を素晴らしいって言わなかった?」
「ええ、たしかに言いましたが、何か問題でもありましたか?」
「ううん。その逆よ! 私達の国の人間じゃないのに、ここまで天魔神教を絶賛してくれる方がいてすごく嬉しいの! 天魔神教はすごくいい流派なの!」
どうやら彼女は天魔神教の信徒のようだ。
「天魔神教は四大門派でなくても受け入れてくれるというのは本当か?」
「ええ! もちろん受け入れるわよ。ただし、強さは絶対必須よ! 武人で最も大事なのは圧倒的な強さですもの! 弱い武人なんていらないわ!」
少女は腕を組んでドヤ顔でそう答えた。
「それならルクスさんは大丈夫ですね。すごく強い方ですから」
アリアンナは横からそう答えた。
すると、少女がピクリと言葉に反応する。
「へえ、アンタ強いんだ。良かったらこの私と手合わせしてくれないかしら?」
少女は俺にそう聞いてきた。
俺が武人とわかるや、すぐに勝負を挑んでくるところをみると、自分の実力に相当自信があるらしい。
「ああ、別に構わないよ。手合わせの場所はどこにする?」
「ふっ、育ちがいいわね。だけど残念。天魔神教は即戦闘が基本なの。戦う場所にこだわっているようではまだまだね。このままだといずれ殺されそうだし、特別に私がアンタを鍛えてあげるわ!」
そう答えるや否や、少女は即座に剣を抜いて襲い掛かってきた。
突然の戦闘開始に少し驚いたが、瞬発力には自信があるので、俺は右足を鞭のように振るって蹴りを放った。
少女の振り下ろす剣を上空へと弾き飛ばした。
さらに、そのまま空中回し蹴りの体勢に移行し、目を見開いている少女を蹴り飛ばした。
「はうっ!?」
少女は声を上げ、地面をゴロゴロと転がる。
そのままピクリとも動かなくなった。
どうやら手合わせは俺の勝ちのようだ。
【強さの段階】
神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人
【登場人物】
ルクス:化境の武人。
アリアンナ:エルフの女の子。
【読者の皆さまへ】
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