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ケース3

 3人目の客は店主の友人で、活発な元アスリートだった。

 「ケガしちまってなあ、親もうるさいし、いっその脳みその方を運動できない様にすれば、諦めが着くかなって考えたんだ」

 そう客の男が言う。店主はその日初めて施術を行う事に葛藤を覚えたのか、複雑な表情を浮かべて押し黙った。

 「おいおい、友人だからってためらわないでくれ、仕事として、いつも通りやってくれればいいんだからさ」

 むしろ客の方が滞りなく施術が終わる様にそう促すと、店主は自分の気持ちに折り合いをつけたのか

 「よし、分かったよ」といい準備を始めた。そして店主は運動連合野という、運動を司る部位を切り取るよう器具を設定し、またもやチョキンと音が鳴った。すると客の体を重心を失ったようにガクンと不均衡な体勢になる。

 「本当に体が動かん、こりゃいいや」客は興奮気味にまくしたてる、口の動きにも影響が出ているのか、口の端に唾が溜まって汚れている。

 「そうか……。じゃあ、いつもやってる掛け声をやるぞ。“いらない部分はサッパリ捨てて、文明開化の音がする”」

 店主はこれまでの客に対するそれとは明らかに態度の違う、後悔の混じった声色でいつもの文言を繰り返した。


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